新幹線車内公衆電話の廃止

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2021年3月22日 05:01

先日、新聞である記事に目が留まった。

それは、「新幹線内の公衆電話6月に廃止」との、小さな見出し…

読めば、携帯電話普及による利用客減少に加え、2020年12月までにJR各社の全新幹線で携帯電話の電波が入らない「不感地帯」が解消されたため、とあった。

最近は、コロナ禍で売上が急減した「車内販売」の廃止を目にしたばかり…
記事のとおり、多くの利用客には影響や関心の無いことのように思われるが、何でも廃止でよいのか…との個人的所感は否めない。

それは、さておき、新幹線の公衆電話の歴史を、手元の時刻表で調べてみた。
1965年6月号を見ると、「今月のお知らせ」にはこう書かれてあった。(以下抜粋)

「ひかり」「こだま」に公衆電話が設けられます。
6月1日から、東海道新幹線の「ひかり」と「こだま」の車内と、東京・横浜・名古屋・京都及び大阪等の各地区の電話と通話ができるようになりました。
車内からかける場合、あるいは車内へのかけ方など、55頁の「列車電話案内」をご覧ください。

引続き、55頁をみると…

車内からのかけ方:ビュッフェにある電話室で、車内の電話係に通話先の電話番号をお申し込みください。
車内へのかけ方:次の番号へ申し込んでください。

以上であるが、通話料金は「列車の位置」と「通話先局名」によって、3分あたり100~400円の区分が記載されていた。

参考までに、当時の物価を調べると、銭湯28円、映画350円、新聞購読料が月極450円等とあり、新幹線内の電話料金がいかに高かったか、察しがついた。

車掌長個人としても、新幹線公衆電話は懐かしい思い出がある。
それは、中学時代の親友がひとり旅の帰路、名古屋から新幹線に乗ることを事前に知っており、サプライズで自宅から車内へ掛けたこと。

電話に出た友人に聞けば、車内放送で「東京都〇〇区からお越しの〇〇様、お電話が入っております…」などと呼ばれ、ビックリするやら恥ずかしいやら…でも、貴重な体験をした、と言っていた。

当時は、プライバシーや個人情報というものが、今日ほど、その扱いに敏感ではなかったこともあるが、たしか差し支えなければ、呼ばれる人の所属会社名も車内放送でアナウンスされていた記憶もある。

その後、そのサプライズに目覚めた車掌長は、新幹線に乗る親や他の人にも、幾度か掛けたりしたものだが、自宅の固定電話代がかさんだことは、「時効」としていただこう。

そんな昔の記憶が、古き良き頃の鉄道旅行時代を知る自分を慰めてくれるのが、せめてもの救いでもある。
なにはともあれ、時代の流れには抗えない…

そして、自分が歳をとったことも、無論、逆らえない…

 

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