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1963年10月号

JTB時刻表1963.10

通巻第452号
表紙:こだま型機関車(品川操車場にて)【撮影:藤原進氏】
   "こだま"型の機関車は、時速100キロメートルでつっ走るものの持つスピード感にあふれている。そのスピード感を強調するために、低いアングルからそのメカニックな美しさをとらえてみた。
頁数:680
価格:150円
参考:国鉄初乗区間2等10円、1等20円。
    東京~大阪:3930円(特別急行1等)、1980円(特別急行2等)
    東京~伊丹(航空機):6000円
当時の出来事(昭和38年10月):10/1信越本線碓氷峠区間のアプト式の旧線廃止。複線粘着運転方式へ。

読みどころ:

国鉄関連(今月の話題)~10/1全国ダイヤ改正のあらまし~

(以下本文抜粋)
国鉄では、信越線軽井沢~長野間と常盤線高萩~平間の電化が完成したり、横川~軽井沢間の新線が開業されたこと、また430両にも及ぶ電車や気動車の新車両が落成したのを機会に、東北・信越・常盤・東海道・山陽線等に急行・準急列車の大巾な増発運転、気動車を電車に置き換え、またスピード・アップ等が行われるため、これに伴って全国的にダイヤ改正が実施されます。

この度のダイヤ改正は非常に広い範囲に及んでおり、その改正の実施期日も10月1日からですので、それまでは9月号をお使いになっていただき、おまちがいのないようご注意ください。

☆ダイヤ改正のあらまし

①東北・奥羽・磐越西線関係
 上野~盛岡間に気動車特急「つばさ」が1往復新設(上野~福島間は現在の秋田特急つばさに併結。
運転開始は車両落成の関係で12月上旬予定。
 上野から仙台・山形・秋田・新潟間にそれぞれ1往復ずつ、合計4往復の急行、上野~福島・黒磯間にそれぞれ1往復の準急が増設。
②信越線関係
 上野~長野間の客車はすべて電気機関車で運転され、急行列車も現在の気動車3往復が電車化されるほか、4往復の増発と準急から急行に格上げされるもの1往復を加えて、全部で8往復の急行が運転される。
③常磐線関係
 水戸~平間の客車列車は全部電気機関車で運転されるほか、上野~平間の準急"ときわ"はすべて電車準急となる。
④東海道・山陽・九州線関係
 東京~大阪間に寝台急行"すばる"、大阪~西鹿児島間には急行がそれぞれ1往復ずつ新設される。
⑤そのほか
 房総線・仙山線・大船渡線・花輪線・紀勢線及び四国線関係等にもそれぞれ1往復から最高4往復の気動車準急が増発運転され、ご旅行に一段と便利なよう、輸送力は今までよりグンと増強されました。
 また、多数の列車増発に伴って、列車愛称名の変更された線区がありますから、ご注意ください。
⑥路線延長と新駅開業(10/1から)
 能登線:宇出津~松波開業、7駅新設。岩日線:河山~錦町開業2駅新設。
 ほかにも、岩内線、関西本線、姫新線、福塩線、木次線、山口線、予算本線等に新駅開設。
⑦秋の臨時列車

時刻表見やすく、使いやすく今月号から56頁増を断行、次のような編集の改善を実施

①優等列車が一覧できる「特急・急行・準急列車早わかり表」新設
②目的駅がすぐ引き出せるよう九都市からの「国鉄主要駅への掲載頁案内」を新設
③遠距離旅行者の便をはかり、「主な幹線連絡表」の充実
④索引の便をはかって、詳細な「線名別目次」の掲載
⑤索引地図に周遊指定地を図示して、接続社線を引きやすく
⑥乗り換え利用者の多い支線区(例えば伊東線・日光線等)の連絡時刻を、それに関連する本線中に挿入したり、使用に便利なよう特に幹線区において、表の区切りを変えるなど、編成替えを行った。
⑦好評を得ている「次の掲載頁」欄を幹線区に増設。
⑧東京・上野駅の「入線時刻」(始発駅において列車がホームに入ってくる時刻)の掲載や列車の編成表の中に、車掌の定位置を表示。
⑨座席指定列車やビュッフェ、1等寝台個室等わかりやすい各種記号の新設
⑩主要駅間運賃表、主な駅の案内図、寝台車の見取り図、観光地コース案内等、その他ご利用者本位の編集に務めた。

航空関連(時刻表掲載の航空会社と主な営業路線)

①北日本航空:道内路線、札幌~八戸~東京、札幌~函館~秋田
②藤田航空:東京~大島、八丈島(※8/17、八丈富士墜落事故発生)
③日東航空:大阪~徳島・高知・新居浜・別府・白浜・串本・志摩・名古屋
④富士航空:佐渡~新潟(冬季運休中)、東京~大分・鹿児島、鹿児島~種子島
⑤東亜国内航空:広島~松山・高知・大分・米子・防府・北九州、鹿児島離島路線など
⑥全日本空輸:東京を中心に全国の地方空港を結ぶ路線
⑦日本航空:東京~札幌、大阪、福岡、沖縄を結ぶ幹線

会社線(私鉄・バス・船舶・その他)

①長距離急行バス案内(一部抜粋)※距離、運賃、所要時間は最終目的地までのもの
 渋谷~軽井沢・長野(東急)230.0㎞、700円、7時間
 西武新宿~軽井沢・鬼押し出し(西武)176.2㎞ 600円、5時間20分
 東京~横浜・小田原・箱根町(箱根登山)350円、4時間30分
 東京~会津若松(東北急行バス)800円、7時間35分
 東京~前橋・水上・谷川岳(東武)470円、6時間10分
 東京~渋川・伊香保(東武)350円、4時間25分

【巻頭特集】

今月の窓~東北の秋~

(以下、本文抜粋)
明るくて色彩豊かな裏磐梯高原。暗い感じがしないでもないが、それだけ山国らしい親しみと、落ち着いた雰囲気を感ずる十和田周辺。みちのくの深みゆく秋を磐梯は黄色で、十和田は紅を表している気がする。東北の対称的な二つの地域を旅するには、10月という月を逃すことはできない。
写真紹介:猪苗代湖、吾妻スカイライン(浄土平・吾妻富士)、蔦温泉、十和田湖、中尊寺ほか

国鉄写真ニュース~10月1日から全国ダイヤ改正~

信越・東北・奥羽線などに特急・急行・準急増設。
10月1日から、全国のダイヤ改正を実施します。
今回の改正は、信越線軽井沢~長野間の電化完成と、約260両に及ぶ新製車両(電車・気動車)の落成にともない、特急・急行・準急計約100本を増発し、主要幹線の輸送力を増強するものです。
おもな新設の列車には、上野から東北・磐越西線経由新潟行の気動車急行「いいで」をはじめ、上野・秋田間の客車急行、上野・山形間の気動車急行、上野・長野間7往復の電車急行、上野・仙台間の電車急行などがあります。

特急・急行・準急列車早わかり(今号から新設の一覧表)

特急列車は24本。うち特急寝台列車は「さくら」「みずほ」「あさかぜ」「はやぶさ」の4本。

哲×鉄が選んだ「広告シリーズ」

ビュッフェ(前々号新設コーナー)

☆読者1名から9月号の感想が寄せられた
 今までよりグッと上質な紙を使っている。表紙もイカシテマス。毎号が表紙が楽しみ。
☆編集後記(本文抜粋)
 長野電化・平電化・430両の新車落成、優等列車、普通列車合わせて130本の大増発…全国ダイヤ改正号を完成させて、余りにもコクのあったのに、今更ながら嘆息しているのがいつわらざる心境です。列車の増発に備えて増頁改編計画を開始したのが5月の初め、6月下旬には改正ダイヤ案を入手して種々検討。いずれも毎号発行の間隙を縫っての作業です。9月号を早めに締め切ると、8月中旬には全員原稿作成の旅館合宿にはいりました。思えば10月号完成までには、ロングランの強行軍であったわけです。ダイヤの10月改正が恒例となってしまった近年は、旅館のあてがいめしで"真夏のヤモメ暮らし"が、年中行事化して来たようです。(佐藤常治)

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