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時刻表と旅をする。近くに、遠くに。過去へ、未来へ。

1963年12月号

JTB時刻表1963.12

通巻第454号
表紙:電車急行「せっつ」【撮影:波多野健一氏】
   オレンジとグリーン、湘南電車ですっかり親しまれた色。
   東海型として西は広島、北は新潟まで縦横無尽に走りまわっている電車急行である。
   「特急なんかに負けるもんか」-ちょっと引きしまったツラ構えに見えませんか。
頁数:680
価格:150円
参考:国鉄初乗区間2等10円、1等20円。
    東京~大阪:3930円(特別急行1等)、1980円(特別急行2等)
    東京~伊丹(航空機):6000円
当時の出来事(昭和38年12月):12/28山手線で103系電車(ウグイス色)運転開始。1984年まで21年間生産。

読みどころ:

国鉄関連(今月の話題)~年末・年始のご旅行には、行きも帰りも便利な臨時列車で~

(以下本文抜粋)
国鉄では、旅行者の最も多い12月20日から1月15日までの、年末・年始にかけて、昨年度よりずっと多く、準急以上の列車だけでも、延べ3,000本以上、普通列車も1,700本も運転されて、混雑緩の緩和とご旅行の便宜とがはかられます。また、本文に掲げている特急・急行等の不定期列車も同時に運転されますから、あわせてご利用ください。
なお、1月中旬から3月中旬にかけては、湘南方面へお出かけの方に最適の、早春の臨時列車も多数運転されます。いずれもとじ込み付録としましたから、すいている便利な臨時列車で、楽なご旅行ができるようプランをたててください。
※混雑の緩和をはかるため、次のようなことが行われます。
1)上野駅の混雑緩和をはかるため、12月28日~1月1日の間、上野発東北線関係の長距離夜行列車は、品川始発と変更されたり、
2)東北・高崎線の上り列車を大宮または赤羽終着、
3)東京駅の混雑緩和のため、東海道線の上り列車の一部を横浜または品川終着に
4)座席指定制を中止したり、食堂車の連結を休止、また寝台車を座席車として使用するなどの一時的な措置がとられますから、付録をご覧になって、おまちがいのないようにご注意ください。

☆盛岡特急"つばさ"が12月5日から運転開始されます
 「12月上旬から運転予定」で本文に掲げていた、東北線上野-盛岡間気動車特急"つばさ"が12月5日から運転を開始されます。
☆新らしくできた線と駅
赤谷線…新江口(五十公野~米倉間)、山内(米倉~赤谷間)
芸備線…白木山(中三田~狩留家間)
吉都線…東高崎(万ケ塚~高崎新田間)
また、12月1日から鹿児島線博多駅が移転したため、鹿児島線、筑肥線のキロ数が変わりましたから、運賃計算の際はご注意ください。

☆10月1日から特急券・寝台券・座席指定券等の発売日が1週間前と3週間前発売とに変更。

時刻表見やすく、使いやすく前々10月号から56頁増を断行、次のような編集の改善を実施

①優等列車が一覧できる「特急・急行・準急列車早わかり表」新設
②目的駅がすぐ引き出せるよう九都市からの「国鉄主要駅への掲載頁案内」を新設
③遠距離旅行者の便をはかり、「主な幹線連絡表」の充実
④索引の便をはかって、詳細な「線名別目次」の掲載
⑤索引地図に周遊指定地を図示して、接続社線を引きやすく
⑥乗り換え利用者の多い支線区(例えば伊東線・日光線等)の連絡時刻を、それに関連する本線中に挿入したり、使用に便利なよう特に幹線区において、表の区切りを変えるなど、編成替えを行った。
⑦好評を得ている「次の掲載頁」欄を幹線区に増設。
⑧東京・上野駅の「入線時刻」(始発駅において列車がホームに入ってくる時刻)の掲載や列車の編成表の中に、車掌の定位置を表示。
⑨座席指定列車やビュッフェ、1等寝台個室等わかりやすい各種記号の新設
⑩主要駅間運賃表、主な駅の案内図、寝台車の見取り図、観光地コース案内等、その他ご利用者本位の編集に務めた。
▶前号(11月号)から、主な列車愛称名の由来を該当線区で欄外に説明を付した。

航空関連(時刻表掲載の航空会社と主な営業路線)

①北日本航空:道内路線(利尻~稚内は冬期運休中)、札幌~八戸~東京、札幌~函館~秋田
②全日本空輸:東京~大島、八丈島(※先月号まで藤田航空が運航していたが、墜落事故を起こした)
③日東航空:大阪~徳島・高知・新居浜・別府・白浜・串本・志摩・名古屋
④富士航空:佐渡~新潟(冬期運休中)、東京~大分・鹿児島、鹿児島~種子島
⑤東亜国内航空:広島~松山・高知・大分・米子・防府・北九州、鹿児島離島路線など
⑥全日本空輸:東京を中心に全国の地方空港を結ぶ路線
⑦日本航空:東京~札幌、大阪、福岡、沖縄を結ぶ幹線
⑧関汽エアーラインズ:大分~別府・阿蘇・熊本 ※ヘリコプターで運航
⑨中日本航空:名古屋・大阪~金沢・富山 ※大阪~名古屋50分、1,900円
 

会社線(私鉄・バス・船舶・その他)

①長距離急行バス案内(一部抜粋)※距離、運賃、所要時間は最終目的地までのもの
 渋谷~軽井沢・長野(東急)230.0㎞、700円、7時間 ※善光寺号・信濃路号
 上野~湯田中・丸池(長野電鉄) 935円(冬季950円)※下り:奥信濃号・志賀高原号、上り:武蔵野号・千代田号
 西武新宿~軽井沢・鬼押し出し(西武)176.2㎞ 600円、5時間20分 ※第1・2あさま号
 東京~横浜・小田原・箱根町(箱根登山)350円、4時間30分
 東京~会津若松(東北急行バス)800円、7時間35分
 東京~前橋・水上・谷川岳(東武)470円、6時間10分
 東京~渋川・伊香保(東武)350円、4時間25分

【巻頭特集】

今月の窓~温泉旅行~

(以下、本文抜粋)
汲んでも汲んでも湧いてくる温泉。もうほんとうになくなるぞ、といわれながらも、毎年どこかで新しい温泉が掘られていく。日本ほど温泉に恵まれた国はないし、日本人ほど温泉を楽しむ国民はいないでしょう。これから忘年会や慰安旅行、家族ともどもの温泉旅行と、私たちの心は温泉へと誘われていきます。
資料(見開き2頁):全国の主な温泉地案内として、全国有名温泉地の「第一印象」とともに、最寄駅に関連する列車が調べやすいよう、時刻表掲載頁を掲載。
とくに「第一印象」は、主観的な一行コメントが見ていて非常に楽しい。
一例
熱海:あらゆる点で日本一、いや世界一かも…
白浜:ニョキニョキと旅館が林立したのに驚いた
湯の山:若い人に人気があるのは、山があるから。
湯の川:トラピストがあるせいか、清潔である。
飯坂:東北で深夜も賑わっている唯一の所
伊香保:階段が多いのでトレーニングに良い

写真紹介:熱海、団体宴会風景、玉川温泉、川湯温泉、乳頭温泉、浅虫温泉ほか、翌日のプランとして散歩、魚釣り、ゴルフ、買物の光景

国鉄写真ニュース~九州・四国の常春の最南部に、指宿枕崎線と中村線開通~

本土の最南部の鉄道として知られている南九州枕崎線の建設は、このほど西頴娃(にしえい)~枕崎間の工事が完成し、10月31日から南薩鉄道と結んで、常春の薩摩半島一周の「指宿枕崎線」として、営業を開始した。また、12月中旬に四国土讃線終点から南へ4駅を新設して、土佐佐賀まで中村線が開通する予定だが、このあたりも暖かい南のくに、四国最南部足摺岬から南伊予への旅は、いちだんと便利になる。

特急・急行・準急列車早わかり(前々号から新設の一覧表)

特急列車は24本。うち特急寝台列車は「さくら」「みずほ」「あさかぜ」「はやぶさ」の4本。

哲×鉄が選んだ「広告シリーズ」

ビュッフェ №5

☆読者1名から投稿有。熱烈な鉄道ファンで旅行や写真撮影には交通公社の時刻表が一番役立つとの旨。また、編集者の苦労を理解しつつ、印刷のよくない頁や私鉄関係の頁を増やしてほしいなどの要望も伝え、来秋の新幹線開業への激励も綴られ、編集者からお礼のコメントもある。
☆編集後記(本文抜粋・原文のまま)
1月号も予定通り校了にした10月中旬、九州方面に出張した。18時30分発の特急"あさかぜ"で東京をあとにし、一夜明けたら、列車はもう秋晴れの山陽路を走っていた。しかも安眠できたベッド代が700円(ハネ中段)だから安上がりである。
一方、去る10月のダイヤ改正時から設定され、本文に掲載していた、東北線特急"つばさ"も雌伏2ヶ月、12月5日からディーゼル・カーの響きも軽快に、東京と盛岡を結んでつっ走ることとなった。時刻表を眺め、爽涼たるみちのくの晩秋を窓外に眺めつしているうちに盛岡に着く。この間わずか7時間30分。楽しき旅は「便利な特急で」というところです。(佐藤)

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