JTB時刻表を集める「哲」のサイト 哲×鉄

時刻表と旅をする。近くに、遠くに。過去へ、未来へ。

鈴木哲也JTB時刻表愛読30周年記念

哲×鉄のトップページに、二冊の時刻表が写っている。
1980年5月号と2010年4月号だ。

この写真のモチーフは、JTB時刻表愛読30年の起点と一通過点を象徴化。
携帯電話は出逢った人々とのつながりをイメージ。
ペンはその想い出を綴ることを表現したものだ。

「30年」と一言で言えば簡単だが、一冊一冊の時刻表を眺めていると、その「時の連なり」は自分史であるとともに、世の中の急速な移り変わりであったことに気付く。

自分史としては、大学卒業後に数回の転職を経験し、決して平穏だったとは言い難いが、何よりの宝物はそこで出逢った方々と共有した時間であり、その皆様に心から感謝したい。

中学から高校、大学では色々なことを教わった恩師の方々。
そして、共に学び、遊び、旅をした友人たち。
社会に出てからは、仕事での関わりはもちろん、職場を離れて旅を共にした皆様方。
どれもが珠玉の財産だ。

世の中の変遷史としては、この30年が日々の暮らしや価値観が急速に変わった時代の過渡期だと言える。
黒電話からプッシュホン、コードレス、ポケベル、携帯電話、スマートフォン…
ソアラからシーマ、セルシオ、プリウス、アイミーブ…
これらは、人と人とのつながりと、モノの価値観が変わったことを実感させる代表例だと思う。

家に1台だった他者との通信手段は、いまや個人がダイレクトに結ばれ、便利であり煩わしさがなくなった。
一方、携帯は娯楽まで手中にした。他者と関わらずに楽しんだり、無言で暮らせることを可能にしてしまった。
また、パワーや豪華さを誇った車は、環境に優しい「単なる移動」手段がメインテーマとなりつつある。
運転そのものの楽しさや、その車を所有するまでの苦労と手に入れた時の満足感に幸せを見出す者は、いまや絶滅危惧種かもしれない。

車掌長は、この30年間に人々が享受した便利さがもう少し緩やかなスピードであったら良かったと思う。
せっかく便利なモノが生まれても、その恩恵を楽しむ時間がどれもあまりに短く、矢継ぎ早に次の便利さが与えられ、そのテンポやサイクルに何の疑問や違和感を持たないようなってしまった。

だが、そのテンポやサイクルを維持するために、失ったものに気付くのが今後だと実感する。

もはやこれ以上に便利になるよりも、1人1人の生活が豊かな気持ちで過ごせる「時の流れ」になってほしい。
愛読した過去のJTB時刻表を眺めると、そんな願いを抱く。
そして、過去の時刻表には、今後を豊かに生きるヒントがあるように思う。

(ただいま停車中)

 

JTB時刻表愛読の軌跡

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