JTB時刻表を集める「哲」のサイト 哲×鉄

時刻表と旅をする。近くに、遠くに。過去へ、未来へ。

毎月購読開始(中学時代)

憧れを抱く。コンプレックスを背負う。
中学時代を一言で表現すればこんな感じだろうか。
その両者が平衡を保てたのは時刻表と旅のおかげだった。
どちらも今振り返れば、成長には欠くことのできない栄養素だったと思う。
憧れがあるからその実現を目指し頑張れる。
逆にコンプレックスがあるからそれをバネに、或いはその欠点を補おうとして他の部分が秀でてくる。
大切なことはコンプレックスを自覚し、受け入れ、他のことに転換をしようとすることに気付くことだ。
それは時に、自分だけの力ではできないこともある。
他者の援助やきっかけで何かを見い出したり、変わることにつながることもある。

中学入学を境に勉強が一段と難しくなり、数学と英語が一気に苦手科目となった。
小学3年生で分数につまづいて以来、学校で教わる算数は苦痛だった。
時刻表で運賃や料金を計算するのは大好きだったが、面積を求めたり、文章問題のように自分に縁のないやりとりを計算するのは苦手だった。
中学では一念発起して数学を好きになろうと思ったが、出だしから「集合」という単元で「A∩B」や「A∪B」という言葉や概念が理解できず、苦手意識が加速した。

英語も小学校でローマ字をしっかり覚えなかったので、授業を聞いてもわからず、日常使わない言語を学ぶ意義を見出せなかった。
いつしか自分は「勉強ができない、わからない」というコンプレックスを背負うようになった。

そんな中、ひと時の幸せは定期的に小遣いをもらえるようになったことを機に、毎月日本交通公社の時刻表を買えるようになったことだ。
当時の中学生の小遣いの相場や使途は知らないが、自分にとっては時刻表を自分で買えることに最大の価値があった。
そして、夏、冬、春の長期休暇に出かける計画を立てては、乗りたい列車や路線、その沿線にある観光地に想いを膨らませ旅に出る憧れを抱くようになった。

中学1年のGW前、担任が家庭訪問に来た。
その日は母が仕事を休めず、仕事を休めた父が担任の対応をしてくれた。
自分も同席したが、担任と父親は意気投合したのか予定時間をオーバーして話しをしていた。
そして、父は自分が小学生の頃から一人旅をしていることまで話した。
後日、担任は学活(HR)の時間にクラスの皆に自分のことを話し出し驚いた。
小学生の頃から一人で日本中を旅しているということが広まり、認知され、鉄道のことや旅のことを質問されるようになった。
そんなことが自分の中で小さな自信となり、長所であると思えるようになった。
やがて一緒に旅に出る友と出逢え、一人旅では味わえなかった楽しさを知るようになった。

(ただ今停車中)

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