（2008年3月20日　朝日新聞「声」欄　投稿記事）
 
夜行寝台急行「銀河」。
美しい列車名であり、いまはもう存在しないことが何よりも寂しい。
数多く乗車したブルートレインの中でも、ひときわ想い出深い列車。
母の実家が兵庫県宝塚市であったことから、下り上りを含め度々利用した。
子どもの頃は寝台料金が高いと思っていたので、先に出発する座席車編成の「銀河51号」もよく利用した。

上の記事は、そんな想い出の詰まった「銀河」の記憶を形にして残したいと思い投稿したもの。
下段の寝台を譲ってくれた紳士は、未明の岐阜で降りた。
ぼくらが起きていたのを知っていたのか、降りる際に「大阪まで気をつけて」と一声かけてくれた。
そして、ぼくに「ブルートレイン～ただ今走行距離１億7500万キロ」という本をくれた。
当時日本中を走っていたブルートレインの同乗記や、列車ごとのエピソードが書かれたものだった。
この本は今でも車掌長の宝物だ。

まだ薄暗いホームに降りた紳士は、ぼくらの寝台の窓まで来て手を振り、列車を見送ってくれた。
幼い妹との旅で心が温まるシーンだった。

（ただ今停車中）