アイロン

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2014年1月26日 06:39

車掌長はアイロンがけが好きだ

勤め始めてから20数年、自分の着るYシャツにアイロンをかけている。
洗面台に引き出しのように収納でき、立ったままできるアイロン台を職人に作ってもらった。

その日使うものを1枚、朝食前にかける。
まとめて数枚かけることもあるが、1日1枚が適量だと感じる。

やり方は我流である。
そして、長袖が1枚あたり3分ほどだから、特に丁寧なわけでもない。

後身頃(うしろみごろ)からスタートし、前身頃(まえみごろ)、両袖、襟の順番にかける。
特に、襟(えり)やプリーツ、折り目に当てる時は、ささやかながら「トキメキ」を感じてしまう。

襟は「カラー」とも呼ばれ、襟台が高いものは「high collar」といい、洒落た人を表現する「ハイカラ」も、ここから来ているそうだ。

余談だが、中学時代にやたら襟の高い学生服を着用する友人を散見したが、タイ北部の首長族(くびながぞく)との関連はいまだ不明だ。

ところで、アイロンがけは「無の境地」に入れるから好きという人も少なくないらしい。
何となくわかる気はするが、車掌長の場合はアイロンがけをしながら、今日の予定や、やるべきことを頭の中で整理したり描くことの方に、意義深さを感じる。

僅か3分ほどの時間ながら、この中にその日のイメージが凝縮されている。

そして、このアイロンがけが芳しくないと、今日は慎重にいこう…などと思ったりする。
そういうときは、経験上、「気の迷い」や「心配事」があるのだ…と、心得ている。

今日は日曜日だから、アイロンがけもお休み…
 

哲×鉄ブログ本線車内放送⑨

カテゴリー:⑪番線:哲×鉄 車内放送 2014年1月18日 04:11

車掌長の所属する温泉達人会のお知らせです

来る1月21日(火)、温泉達人会がフジテレビの「カスペ!」に登場します。
時間は19:00~20:54

昨年も放映されましたが、「全日本温泉宿アワード2014~今夜決定!日本人が今一番行きたい1万円台の温泉宿~」というタイトルです。

各方面の温泉のプロが厳選した宿を紹介し、一般の人約500名が「この冬行きたい!」という観点で各宿を採点し、№1が発表されるようです。

温泉達人会が厳選した宿は、どんな結果になるでしょうか…

車掌長も宿選考場面の収録に有志として参加しましたので、、ほんの一瞬映るかもしれません。
よろしければぜひご覧いただき、温泉気分を味わっていただければ幸いです。

 

 

人の数え方

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2014年1月17日 05:32

最近の新聞で心に残ったこと

年明けから始まった連載記事で、日々の暮らしにおける素朴な視点を、著者の柔らかな感性で綴っておられるのが好きで毎週楽しみにしている欄がある。

その中で日本語の美しさ、尊さを感じる文章があったので記しておきたいと思った。

それは「人の数え方」

牛や馬は一頭、魚は一尾、鳥は一羽…など、日本語にはその生き物に対しての数え方がある。
その御方の話だと、それは「食べて残る部分」「死んでも残る部分」であると…

この考えは、とても新鮮な感動と、何とも言えぬ尊さを覚えた。

人間がその生き物の命をいただいて、人間自身の命を繋ぎ紡いでいる。
そして、その生き物に感謝の念を抱き、食べて残る部位に、それぞれの数え方の言葉を冠してきたのだと解釈できる。

その御方の話は続く…
では、人間は?と。

人は、一名、二名…
これは人だけに、与えられた数え方

「人は命を終えて、生者の手で綺麗に片づけられてなお残るものは、名だ」と…

人はなぜ一名、二名と数えるのか、日常、意識もしなかったことだったが、日本語の美しさ、尊さを実感した瞬間であった。
 

 

人生の下見

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2014年1月12日 06:11

昨日、早春の某イベントに向けて或る場所を下見してきた。

早朝出発、18:30帰着、走行距離480㎞。
専務車掌、車掌見習も一緒だったので、往復とも渋滞に巻き込まれず早目に帰ることができ、幸いであった。

車掌長は、人に頼まれて旅行を計画することがしばしばある。
その人やグループの旅行の趣旨や顔ぶれ、期待することを想像しながらプランニングするのは楽しい。

しかしながら、面識のない人の依頼には応じられないのが欠点だ。
なぜなら、これは商売ではなく「その人のために喜んでもらいたい」という願いを込めた、「形のない贈りもの」と考えるからだ。

そして、あらかじめ作られ販売されるパッケージツアーのように、自分の希望を修正・妥協してそれに合わせるのではなく、「テーラーメード」のような、その人の目的や想いに合致した旅行プランを心掛けている。

実際に下見に行ってみると、過去に行ったことがあっても随分と変わっていたり、ネット検索で調べたイメージが、実はだいぶ違うことがわかる。

今回も事前のネット検索では知り得なかったが、或るホテルの最上階のラウンジでお茶をした際、たまたま話を交わしたマネージャーさんに交渉し、スペシャルな個室を貸切予約することもできた。
ここはお天気がよければ、サプライズの場所になるだろう…と、心を弾ませた。

また、当日の行程の検証、各施設での動線、観光地等でのバスの駐車場所やトイレの有無などを確認しておくのも必須だ。

かくして、不安だったことは、どれも実地確認を済ませることができた。
あとは、当日を待つばかり。

そこで、ふと思った…
人生も下見ができたなら、もっと賢く生きることができたかも…と。

 

四万温泉で癒されて

カテゴリー:⑥番線:温泉方面 2014年1月 5日 06:17

「脱・主流派宣言」という見出し、朝日新聞を購読されている方は、ご存知かもしれない。
年明けから非常に面白い連載記事で、今朝が4人目。

誰もが目指す富士山頂を狙わず、6合目から麓を目指し散策するツアーの案内人。
「24時間営業はしない」とコンビニをたたみ、客に寄り添う酒屋を営む店主。
東京を離れ故郷の産品をPRする、地域おこしの若者。

そして、今回は「1杯50分待ちですが…」と、丹念に珈琲を抽出する喫茶店のマスター。

どの御方も、車掌長にとって共感できる、魅力ある人々だ。

24時間休みなく動く世の中…
多くの人が、何に急(せ)かされているのかもわからず、まして考える余裕もなく、日々の時間をこなしている。
それが、世の中の主流派なのかもしれない。

だからこそ、連載記事の「脱・主流派宣言」に共感してしまう。

車掌長も若い頃は、「先を急ぐ生き方」の特急に乗車していた。
だが、その行き着く先がイメージできず自分を見失い、或る時にその列車を降り、鈍行に乗り換えた。
そして、ようやく、身の丈に合った生活のスタイルやリズムを、見い出せたように思える。

経験上思うことは、本流から外れてみて、初めて見えるもの、わかることがあるということ…
濁流のような本流にも、必ず淵のような、流れの及ばない平穏な場所があるということ。

このような場所に身を置いてみると、世の中に流されず、どこに重きを置くべき価値や優先順位があるかが見えてくる。

そして、それらの蓄積が、日々の充足度をごく僅かずつながら、育んでくれることを知った。

ところで、この年明け、当車掌区でのんびり四万(しま)温泉を訪れた。
途中、どこか観光するでもなく直行し、宿で最大限滞在できる時間を楽しんだ。

渋滞を避けようと早目に出発したら、全く混まずに済み、昼過ぎには到着できた。
ここは18年前、TVチャンピオン第4回温泉通選手権に出場した際、競技の舞台となった想い出の地だ。
それ以降、何度か訪れているが、いつ来てもほとんど何も変わらぬ風景や雰囲気に心が癒されてしまう。

四万温泉が大好きな理由は、大手チェーンの飲食店やコンビニが存在しないこと。
昔ながらの個人商店が、観光客や湯治客を相手に、その地域に落ちるお金の範囲で商いを生業としている。
客の呼び込みもなく、静まりかえった温泉街を「寂しい」と感じたり、変に戸惑う人もいることだろう…

昼食に入った或るラーメン店でのこと。
年老いたご夫婦で切り盛りする、手造り餃子が自慢の店だが、店に入ったときは他に客はいなかった。
薄めの皮で包まれたアツアツの餃子と、昔懐かしい味の醤油と味噌ラーメンも、とっても美味しかった。

やがて、周りの店が満員で流れ込んできた人々で、食べ終わる頃には満席で相席にもなった。
だが、注文も取りに来ず、急ぐ気配もない親父さんに、客の苛立つ空気が漂い始めた。

そして一言、「これから注文の方40分はかかります」と…
呆れて出てゆく客もいたが、都会の何でも客に媚びて、詫びて、マニュアル通りに頭を下げるチェーン店ではないのだから仕方あるまい。
もし、そんな客と店のやりとりが「おもてなし」だとするなら、大きな勘違いだと思う。

今朝読んだ50分待ちのコーヒーの話が、そんな四万温泉での1コマを思い出させてくれた。
旅行の時でも、日常の感覚や欲求から離れたり忘れたり、のんびり過ごすこともできない本流の渦中とは何かを…