黄昏

カテゴリー:⑬番線:臨時寝台特急北斗星 2015年7月 4日 05:42

「これ、なんて曲?!」

彼女が助手席で声を弾ませる
車は対面通行の国道742号線を、颯爽と走っていた。

喜多半島を時計回りにドライブ
南端の岬で折り返し北上すると
左手に海がぐっと近づいた

「これ? トワイライトアヴェニューさ」

彼は聞かれたことだけを答え、微笑んだ
彼女は運転する彼の聞き慣れた声に、安堵した

陽も沈みかける黄昏時…
夕映えの中、ハンドルを握る彼の横顔がシルエットとなり浮かび上がっていた…

寄せては返す穏やかな波も、逆光を浴びキラキラ輝いている

魔法でもかけられたような美しい光景は、この曲のイントロそのものであった
まるで超微粒のダイヤモンドを、あどけなく手から海に撒いたかのよう…

心地良い時の流れは、いまの彼女の心とシンクロナイズ
カーステレオから流れるmelodyが、彼女の耳から離れられなくなった

♪あぁ あなたに ときめく心のまま 人知れず 寄り添いたい


つづく