4歳になった君へ

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2016年9月21日 20:52

今日は君の4歳の誕生日

昨日までは、せっかくの誕生日が台風で大雨かな…と思っていました。
けれど、起きてみたら台風は消え、薄日も射すような空でした。

きっと、お日様が台風をなくしてくれたのかもしれません。
いつもニコニコしている子が、お日様も好きなのかもしれません。

もしくは、いつもメソメソしている子を、明るくするために応援してくれるのかもしれませんね。

ちょうど、1年前、君への想いや願いを書いたものが、飛行機の機内誌に載りました。
もう、この場で公開しても良い時期かと思うので、ここで紹介します。

もうすぐ3歳になる君へ

先日、学生時代の友人の結婚を祝う会があり、ANAで佐賀へ。
2歳の息子には席は不要だが、ふとその成長に気づくと、膝上は窮屈に感じた。
そして、いつもながら「泣いて周りにご迷惑をかけませんように…」と祈る。
すでに何度か飛行機に乗せていて、毎回いろいろな工夫を試みていた。
飛ぶ時間帯を普段の昼寝に合わせ、離着陸時は耳抜き対策として授乳や飲物を与え、オムツ替えに備えて席もなるべく最後部付近を選ぶ。
また、混雑した機内では「ご迷惑をおかけします」と近くの方々に一言声をかける。
これは父である私の役目と心得た。
しかし、さまざまな事態に備えて万全と思っていても、泣く時は泣くものだ。
そんな時、私ども夫婦にとって安堵できたのは、CAの方々の息子への声かけや微笑み、眼差しなどの対応であった。

飛行機が大好きな息子も、次回の搭乗時は、自分の席が必要な3歳になる。
そんなお兄ちゃんになる君に、父から一つお願いがある。
もし、周りで泣いている子がいたら「大丈夫だよ!」と、そしてCAの皆さんに何かをしていただいたら、「ありがとう」と言ってほしい。

発語の遅れている息子だが、いつかそんな言葉が彼の口から出る日を願いつつ、空の上を飛んだ。
雨の予報だった佐賀は、晴れ間も覗く天候で、友人を祝福しているように、眼下に広がる水田も輝いていた。

(ANA機内誌「翼の王国」2015年12月号、読者投稿欄『郵便飛行』より抜粋)

あれから1年、いや、今春の幼稚園入園から約半年の君の成長は、めざましいものがありました。
まだまだ、私ども以外の人が聞けば、伝わらない言葉も多いけれど、自分の意志や気持ちを伝えられるようになりましたね。

きっと、来年のいまごろは、もっとたくさんの言葉が喋れるようになっていると思います。

お日様はきっと、いつも君を温かく見守ってくれていると思います。
そして、私どもは、いまは一緒に横に並び、手を取り、ともに歩んでいますが、いずれ、君の影になり、自分で自分の道を切り拓く姿を、後ろから応援したいと思っています。

いつの日か、そんな私どもの存在を気にもしなくなれば、一人前だと思えます。
そんな日が、やがて訪れることを知っています。

だからこそ、いまの一日一日を精一杯生きる君との時間を、大切にし向き合おうと思います。

今日できなかったことが、明日はできるかもしれない。
明日できなくても、いつかできる日がくる…

そんな心持ちでいると、1年はあっという間です。

君に合った環境や設備といった、整った「ハード」を用意したり探すのは、時間的にも、金銭的にも限界があります。
だけど、君の心に合わせる「ハート」は、いつも持ち合わせていたいと思います。

いつの日か、君が文章も読めるようになり、この乗務日誌を目にするとき、こんな想いを私どもが抱いていたことを知るときが、きっと来るのでしょう…

そんなときに呑むお酒は、きっと美味しいのだと思います。

今日は4歳の誕生日、こころからおめでとう。

乾杯!

 

回転展望台(哲×鉄車掌区慰安旅行②)

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2016年9月12日 04:47

慰安旅行2日目、目覚めると快晴の青空。

昨日までの土砂降りの雨が、嘘のような天候に目を疑った。
心は弾み、まだ寝ている専務車掌と車掌見習を部屋に残し、独り露天風呂へと向かう。

風がヒンヤリして、熱めの男鹿温泉の湯がとても心地良かった。
台風に伴う前線は抜け去り、台風一過で空気がガラッと入れ替わったようだ。

朝食後、8:30出発。一路入道崎を目指した。

入道崎を訪れるのは2回目。
日本海に突き出た白黒の縞模様の灯台が印象的。

荒々しい断崖の上に、不釣合いに穏やかな草原が広がる。
青空と蒼い海、緑の草原、白黒模様の灯台が、なんともファンタジーな光景…
そして、そこを車掌見習が嬉しそうに小走りする様子は、ポエム的でもあった。

草地の上には北緯40度を示すモニュメントもあった。
緯度1度の距離は、おおよそ111㎞とわかりやすい数字。

ちなみに東京は約35度であるから、その距離感は大体把握できる。

満足するまで滞在し車に戻ると、およそ1時間以上遊んだことになる。
広大な駐車場には観光バスが到着し始めたが、大体30分ほどでここを立ち去るようだ。

次の行程をこなすためには仕方ないのだろうが、一通り写真を撮って、土産屋を覗き、トイレを済ませるだけの所業は、なぜか、「そこに行きました」というアリバイだけを残す、非常に勿体無い旅だと思ってしまう…

各観光箇所で、このようなパターンを繰り返すと、どこも均一的な想い出に陥ってしまうだろう。
その点、観光バスに依存しない欧米系の外国人観光客は「自由」だ。
やはり、心と時間(休暇)に余裕があるのだと察する…

車を走らせ、男鹿半島西海岸を南下。
断崖上を道がうねるように続き、蒼い海を右手に見ながら走る。

こんな道はオートバイであれば、もっと爽快な気分であろう。
伊豆西海岸にも似た風景だが、俗化していない素朴な美しさに心が洗われる想いがした。
きっと、水平線に沈む夕陽も見事であろう…

男鹿市内に入り、昨日に引き続き「昭和レトロ自販機」を訪問。
男鹿水産という海産物の加工販売店の軒先に、お目当ての1台は佇んでいた。

昨日の雲沢ドライブインと同じ機種だったが、メニューは「天ぷらうどん」と「天ぷらそば」。
うどんをチョイスし、25秒のカウントダウン表示に見入った。

受取口から出された容器は、湯が溢れるほど注がれていた。
機械の調子が悪いのかもしれないが、老体の機械に敬意を払いつつ汁をすすった。

次は寒風山へ向かった。"かんぷうざん"と読む。
子どもの頃から時刻表の地図を見て気になっていた地名だ。

なんとも寒そうな山の名前だが、日本有数の芝生で覆われた山であり、この日目にした山容はとても女性的な曲線が印象的だった。

山頂には回転展望台があり、1周13分ほどで、360度の大パノラマを座りながら満喫した。
回転展望台や回転展望レストランも、昭和の時代には結構存在していたと思うが、今や貴重な名所だと思う。

ちなみに、車掌長が大好きな回転展望レストランは、有楽町にある東京交通会館15階の"銀座スカイラウンジ"。
飲食単価も高く、なかなか訪れることはできないが、眼下を行き交う新幹線や、「東京」を実感できるパノラマが何よりのご馳走だと思う。

この日は、回転こそしないが、展望台下にあるレストランで、秋田市街を遠望しつつランチとした。

男鹿半島をのんびり観光した後は、今日の宿泊地である「あいのり温泉」を目指した。
 

雲沢ドライブイン(哲×鉄車掌区慰安旅行①)

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2016年9月 9日 05:11

今夏の哲×鉄車掌区慰安旅行の行先は、秋田!

昨夏は高知だった。
理由は、車掌見習が夢中だった「アンパンマン」に因んだため。

アンパンマン列車乗車や、アンパンマンミュージアム訪問を旅程の軸とし、車掌長の目的である温泉や観光は後付け的に散りばめた。

今年の行先を考えるにあたり、「いま何が夢中なのか?」を、6月頃専務車掌と話し合った。
行き着いたモノは、ブルートレイン「あけぼの」であった。

BS12chで放映中の「記憶に残る列車シリーズ」が、車掌見習のお気に入り番組。
トワイライトエクスプレスや北斗星、カシオペアなど、今は走っていない列車が走る風景や車両形式を淡々と紹介する内容。

この手の番組は、車掌長が夢中になってしまうものだが、専務車掌がたまたま録画したものを車掌見習に見せたところ「ド・ハマリ」で、その後、車掌見習が繰り返し見ていて車掌長もその番組を知った由。

アンパンマンは昨年で早々に卒業!?し、他のアニメや戦隊ものは興味がない様子…
昨年、興味が最高潮のときに、高知に行っておいた良かったと実感した。

前述の番組で、車掌見習は「あけぼの」が特に好きだった。
ならば…「あけぼの」を見せたり、乗せてあげたいと思うのが親心。

だが、「あけぼの」は既に廃止されて久しく、どこかで保存されていないか…と探した。
すると、秋田県の小坂町に、保存どころか宿泊できる「あけぼの」の存在を知った。

「即予約を!」と、ネット上の空室状況を見たら、既に8月最後の日曜しかなかった。
A寝台個室を1室確保でき、この時点で今夏の行先と日程が定まった。

8/26~29の3泊4日で、まずは空路ANA便で大館能代空港に降り立った。

今回の旅行は、週間予報が出た時点で台風の影響で芳しくなく、初日は大雨。
しかしながら、今日の旅程は雨でもさほど影響のない内容で、一路角館駅へ向かった。

お昼過ぎに角館駅到着。
駅隣接のホテルで、稲庭うどんをすすった。

食後、先ずは車掌見習を喜ばすために、秋田新幹線「こまち」乗車を企んでいた。
角館から大曲までを往復するだけのことだが、初体験としては充分。

今まで本やビデオ、東京駅等で見るだけだったが、片道10分ほどの乗車でも、「乗る」体験は大満足だったようだ。
大曲駅は、明日の花火大会に訪れた人々で早くも賑わっていた。

再び角館駅に戻り、車で今日の宿泊地である男鹿半島へ向かった。
その途中、今度は車掌長のお目当てスポットを仕込んでおいた。

今春、NHKのニュースでも話題になった、秋田港にある昭和レトロの「うどん自販機」はご存知の方も多いだろうが、調べたら秋田には他にも貴重な昭和の自販機が棲息していることがわかった。

その存在を知ることができたのは、有名な"味わいの昭和レトロ自販機コーナー「懐かし自販機」"さんのサイトであった。

盛岡から秋田を結ぶ国道46号。その仙北市内でいまやバイパス開通で交通量も減った道沿いに現れる「雲沢ドライブイン」に、名機は佇んでいた。

コンビニやファミレス繁栄の陰で、ドライブインという名前自体が、記憶の奥から萌芽のように"トキメキ"を感じさせてくれた。

高速道路が今ほど発達していなかった頃、日本中の国道にドライブインは存在し、トラック運転手たちに愛されてきたのだろう。

それを裏付けるように、この雲沢ドライブインの駐車場も広々として、24時間営業の大きな看板が往時の栄華を偲ぶに十分な風格を醸していた。

店内に入ると、10台以上の自販機が整然と並び、その真ん中ほどに、お目当ての自販機は鎮座していた。
チョイスは「天ぷらうどん」か「ラーメン」だが、迷わず後者のボタンを押す、250円也。

すると25秒のカウントダウンが表示され、これがまた懐かしく味わい深いひとときであった。

定刻に取出口から差し出されたラーメンは、まさしく子どもの頃に食べた記憶そのまま。盛り付けという言葉が当てはまらない無造作に混入されたメンマと葱、ナルト、薄っぺらいハムが、「昭和の自由」な愉悦を感じさせてくれた。

これぞ、車掌長が存分に吸って育った「自由」な昭和の空気そのもので、アッパレ、感服!

今日の見た目や人目ばかりを気にし過ぎてみな平均的、面白味の薄く、息苦しい、個性を失った社会を一蹴するような清涼感に包まれたひとときであった。

ドライブインの外は土砂降りの雨だったが、世代を超え、車掌見習とすすったラーメンの味は、佳き想い出となった。

食後、ふと店の奥に目をやると、更に薄暗いコーナーがあった。
怪しげな雰囲気に誘われ奥地へ踏み入ると、昭和のテーブルゲームが並び、現役で稼働していた。

思わず着席し、インベーダーやギャラクシアンに興じてしまった。
各1ゲームずつ行い、まだまだ遊び続けたい未練を残しつつも、なんとも言い知れぬ、「昭和」への郷愁を味わい、素敵なドライブインを後にした。

今日の宿泊地、男鹿温泉郷には夕方早目に到着。
時間旅行を堪能した慰安旅行一日目であった。

 

「エターナリー」と「翼をください」

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2016年9月 5日 20:50

今日は仕事で車に乗る時間が多かった。

車掌長は仕事で独りで車に乗る時は、カーラジオを聴き流す。
1つ目の番組で、ふと昔聞き慣れた曲が偶然かかっていた。

チャップリンの映画「ライムライト」の主題歌として流れる、”エターナリー”(テリーのテーマ)だった。

この曲は車掌長の出身中学校で、16時になると校内中を静かに流れた。
そして、曲の半ばで放送委員が下校を促す定型文を読む、ルーティーンであった。

3年間聞き慣れた耳は、ふと、今日の車中で流れたメロディーに、意表を突かれた。
今思い返せば、下校の合図として、なかなか粋な曲を流していたのだなぁ…と思う。

午後、用事を済ませ再び車中の人となり、ラジオのスイッチを入れた。
すると、今度は「翼をください」を耳にした。

番組の趣旨は、ヒットしたB面の曲というものであった。

「翼をください」は、フォークグループの"赤い鳥"が「竹田の子守唄」のB面曲として発表した作品とのことであった。

車掌長世代だと、中学時代の合唱コンクールで、必ずどこからのクラスが唄っていたのではなかろうか。
また、「気球に乗ってどこまでも」や「大地讃頌」なども、人気のある曲だった。

下校の音楽や、合掌コンクールで唄った曲を、偶然にも続けて耳にし、中学時代への時間旅行を楽しんでしまった。

35年以上も前のことなのに、"記憶"というものは一瞬にして、「今」とを結びつける不思議な力がある。

確かに、自分自身が一日一日と歩んできた道だ…

その一日一日を全て、克明に覚えてなどいない。
だが、それら時間の積み重ねの生成物が、今の自分であることは、紛れもない事実。

いみじくも、森山良子さんが「エターナリー」の曲で、こう歌唱する。

♪こんなにも あなたを
愛せるのは きっと
人から人へ 伝えられる
命をもらった からでしょう

この想いは、無意識に車掌見習へ向けられる…

彼も今月、4歳の節目を迎える。

まだまだ、見るのも、聞くのも、触れることも
初めてのものが多く、ビックリして泣くことも多いけれど
そんな一瞬、一瞬の君への記憶を
車掌長も専務車掌も、大切にしてゆこうと思う。

まだ、まだ、発語がおぼつかなくても
自分の気持ちや考え、想いを、拙(つたな)くても、自信を持って伝えてみよう。
きっと、それを理解してくれたり、受け止めてくれる人がいるはずだ。

大切なことは、君が負い目を感じたり、卑屈になったり、ネガティブにならないこと。

いつの日か、君に人生のライムライトが当たる時
そんな幼かった頃の日々や出来事を
きっと、懐かしく舞台の袖で見る、年老いた自分達がいるのだろう…
 

1