時間旅行は心のビタミン

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2013年1月28日 06:38

この週末、学生時代のサークル仲間の結婚を祝う会を品川で行った。
卒業以来、二十数年ぶりに会う友も多くいた。

学生当時、社会福祉を学ぶなら我が母校か、他には東京と東北に数か所しかなく、全国から学生が集まり、みな寮や下宿生活をしながら学んでいた。

従って、今回の面々も下記のように全国各地の都府県から集まった。
栃木、群馬、埼玉、東京、神奈川、静岡、富山、愛知、京都、兵庫、広島、山口、高知、熊本、沖縄。
あいにく来られなかったが、案内状を出した仲間を加えれば、更に北海道から他県にも及ぶ一大イベントであった。

今や社会福祉を学べる学部や学科は、全国多くの大学に設置され、下宿をせずとも自宅から通えるという。
それはそれで、大変便利で結構なことかもしれないが、今回集まった顔ぶれに接すると、親元を離れ一人暮らしをして過ごした学生時代が「珠玉の時間」のように思いだされた。

今回集まったのは、サークルの会員が18名。
そして、その配偶者や乳幼児から中学生までの子どもが合わせて13名。
計31名での盛大な祝う会となった。

祝宴の舞台となった屋形船への乗船は、時間旅行の幕開けには格好の場であった。
また、宿泊ホテルでの2次会は、学生時代の想い出話で満開の笑顔。

日頃、仕事や日常生活に追われ、昔のことなど振り返る余裕もない我が世代。
しかしながら、仲間の結婚を祝う会をきっかけに再会し、当時へタイムスリップした時間旅行は、心のビタミン剤になったと感じる。

ビタミンは、それ自体はエネルギーとなる栄養素ではないが、ごく微量で他の栄養素の働きをスムーズにする働きがある。
車やバイクに例えれば、オイル(潤滑油)の役割を果たすと言える。

今回の時間旅行が、参加してくれた皆にとっても、今日からの日常が少しでも元気に過ごせるビタミン剤であったなら嬉しい限りだ。

(追伸)
このたびは、新郎新婦のTちゃん、Mちゃん、ご結婚おめでとうございます。
そして、各地から遠路、東京までお集まりいただいた皆さん、本当にお疲れ様でした。
特に富山からのご家族は、大雪でJRのダイヤに乱れがあり、さぞ大変だったと察します。

今回、皆さんのご家族にも沢山お会いできたこと、嬉しかったです。
どうぞ今後とも、こうした時間旅行を共にできることを、心から楽しみにしております。
(次回は熊本開催でしょうか?!)

それでは、まだまだ寒さが厳しいようです。
お体には気を付けてお過ごしください。

取り急ぎこの場を借りてお礼まで…
 

一服のよろこび

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2013年1月23日 04:56

今朝、いつもより40分早く自然に目が覚めた。
気が付けば、今日は1月23日。
これは縁起が良いぞ、と4時56分に乗務を開始。
すると、右上をご覧のとおり車掌長の好きな連続数字のできあがり。

…と、このようなことに一服の喜びを感じてしまう、単純な人間だ。

ところで、車掌長の朝は「金の時間」と自分で位置づけている。
この時間が24時間中、唯一「個」になれる時間だ。

楽しみは朝刊を開くこと。
車掌長は新聞を毎日3紙に目を通し、可能であれば日中さらに別の1~2紙を読む。
同じ事件や出来事を各紙がどう考えているかを見比べるのも一興だ。

テレビでも便利なコーナーがあり、各紙1面の記事を見比べて、親切に解説もしてくれるが、それは何も頭の中に残らないことに随分前に気が付いた。

ところで、今朝の某新聞で面白い記事があった。
それは、スマホ通信の渋滞だ。

スマホの通信量は、従来の携帯電話と比較して、平均35倍にもなるという。
また、昨今の急激な普及で、利用周波数帯における通信速度の低下、いわゆる渋滞が発生し、今後それは更に拍車をかけるという。

いくら機種が高速化しても、道路である通信回線が混雑しては、本来なら200㎞/hも出せるスーパーカーに乗りながら、ノロノロ運転を強いられることになる。
これは非常にストレスが溜まると察する。

今後、現在の未利用周波数帯の割り当てをしても、飛躍的な改善には至らないというから、あとはそういうモバイルと人間の付き合い方に委ねるしかない気もする。

車掌長は、スマホは持つ予定もないし、携帯も通話と連絡用のメールができれば充分なユーザーだ。
通信会社にしてみれば、なんの魅力もない客だろう。

いまや娯楽も手のひらで消費できる時代。
暇潰しもスマホや携帯が色々なアプリやゲームを取り揃え、相手をしてくれるようだ。

しかしながら、そこに費やす時間は暇潰しのつもりが、いつの間にかそれらに支配されていることに気付く。
また、ナビもスケジュール管理も便利なようだが、「自ら考える」部分の脳が退化しているのは間違いない。

目的地への行き方のみならず、人生の「生き方」もナビゲートしてもらうと、その行き着く先はどんな場所なのか…

その結論は、遠からずわかることだろう。
 

今年が節目のもの

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2013年1月20日 07:35

 

今月はプライベートの行事や出来事が多く、乗務が手薄になっている。
また、某TV放送局の依頼で調べものをするのも楽しく、予定していたアーカイブ各駅の設置工事再開は少し延期とした。

仕事よりも楽しみに時間を追われることは、贅沢なひとときと言える。

さて、そんな目先の忙しい時こそ、時間の尺度を広げた物事に目を向けたいもの。
そこで、ここ100年の中で今年が節目となるものの中から、車掌長の琴線に触れたものを幾つかご紹介したい。
歴史が浅い順に暫定ベスト7を列記してみると…

①日本初の世界遺産登録(4件)20年
②東京ディズニーランド開業30年
③中野サンプラザ開業40年
④テレビアニメ放映開始50年
⑤新見南吉生誕100年
⑥金田一耕助生誕100年
⑦田中正造没後100年

①の対象は、法隆寺地域の仏教建造物、姫路城、白神山地、屋久島だった。
現在日本での登録数は16件だが、車掌長は15件を訪問し、残すは小笠原諸島となった。

屋久島も今ほど観光客が押し寄せる前に訪れたが、時間配分を誤りお目当ての縄文杉手前で断念し、引き返したことが悔やまれる。
しかしながら、映画「もののけ姫」のモデルにもなったと言われる白谷雲水峡で、「苔むす森」を体感できたことは貴重な想い出だ。
また、平内海中温泉も良かった。

日本の世界遺産は、今後も鎌倉の社寺や富士山など、登録を目指すスポットがあり増え続けることだろう。
増えること自体は結構なことかもしれないが、そもそも世界遺産の意義を忘れてはならない。

それは某新聞記事でユネスコの要職の方が言っていたことだが、「文化の多様性を尊重する」という人類の力強いメッセージであると。

車掌長は「多様性」という考え方が大好きだ。

世の中が何でも「効率一辺倒」で、人間の面白味も工業製品のように画一化しつつあるように思う。
同じ情報媒体に触発され、同じモノを持ち、同じ消費行動をしないと不安に覚える人が多いのは現代病だと思う。

大量生産や大量消費をする社会や、それを支える企業活動ばかりが景気好況の指標と思われがちだが、そろそろ価値の多様性を大切にしないと、本当の意味での国の発展は望めないように感じる。

そして、世界遺産もビジネスに利用される限りは、本来の保全や保護、伝承という趣旨から遠ざかる懸念がある。

今年で初登録から20年の節目を迎えるにあたり、今後の20年をどう向き合っていけば良いのかを考えてみたい。
また、②~⑦の残り6つについても、時期をみて乗務日誌上に記してゆきたい。

(追伸)
皆さんは車掌長セレクトのベスト7の中で、何か琴線に触れたものはありましたでしょうか?
それら以外にもこんな節目があるというものをご存知でしたら、ぜひお知らせ願います。

 

コメント(4件)

希望者挙手さんからのコメント(2013年1月20日 23:37投稿)

こんばんは

我が地元の新京成電鉄が65周年です。
ショッピングセンターに行けば、銀座コージーコーナーも65周年で、ミスタードーナッツのポン・デ・リングは10周年(笑

個人的に感慨深いのは、ウルトラセブンの45周年ですね。
ウルトラマンシリーズの中では最も好きで、大人になった今観て思うのは、まるで現代を予言していたかのように環境問題や社会問題を取り上げたドラマであり、宇宙人を通して生まれて初めてダイバーシティ(多様性)を教えてくれた教材だったような気がします。

子供じみた節目で、失礼しました(笑

車掌長さんからのコメント(2013年1月21日 05:38投稿)

希望者挙手 様

毎度ご乗車ありがとうございます。

さすが、色々な周年モノもご存知ですネ。
新京成電鉄65周年とのことですが、この路線のカーブの多さはよく知られています。

旧日本陸軍の鉄道連隊が演習用に敷設した鉄道で、様々な形態の線路をつくり出し、カーブの運転訓練等を行っていたようです。

実際、津田沼から松戸は直線距離で16㎞ほどですが、当該路線は26㎞で結んでいます。
これでも、軍が使っていたものを直線に直したりしたそうですから、元は更にカーブが多かったのでしょう。

そんな過去に思いを馳せながら乗車し、歴史を考えるのも面白いかもしれません。

ところで、ウルトラセブンは車掌長も同感です!

それでは、次回お会いする際、仮面ライダー2号さんが営んでいる居酒屋さんに行きましょうか?

その方も、新京成のようにカーブ(紆余曲折)が色々とあったようで、現在「バッタもん」というお店を開いていらっしゃいます。

ぜひ行ってみたいと思っていましたので、ご一緒していただけますか?
同年代には郷愁深い「変身ポーズ」などに興じましょう。

(追伸)
先日も新幹線ビューの素敵なお店の手配、ありがとうございました。
さすがでしたネ。

新たな人生の旅立ちも、心より応援しております。

希望者挙手さんからのコメント(2013年1月22日 00:30投稿)

こんばんは

さすが車掌長です。地元の私でさえ知りませんでした。
そう言われれば、わずか26Kmの沿線には自衛隊の松戸駐屯地、下総航空基地、空挺部隊で有名な習志野演習場がありますね。

バッタもん、ぜひ行きましょう!
私がバイク乗りになったのは、仮面ライダーに憧れていたからです。

実は私、昨年末にバイクを買い替え、間もなく納車されますが、そのバイクはホンダのCB400スーパーボルドールというバイクです。

それはホンダの「PROJECT BIG-1」という構想から生まれたバイクで、その「PROJECT BIG-1」が昨年20周年を迎えて発売した、20周年スペシャル・エディションなのです。(昨年の周年モノです・・・笑)

機会がございましたら、ホンダのホームページを覗いてみてください。このバイク、サイクロン号を彷彿させるデザインとカラーリングなのです。
これを見た瞬間、このバイクに乗るために生まれてきたんだと思えてしまい、迷わず注文してしまいました。(受注生産のため)

何も文句を言わない家内に感謝です・・・笑

車掌長さんからのコメント(2013年1月22日 05:35投稿)

希望者挙手 様

連夜のご乗車ありがとうございます。

では、次回は「バッタもん」へ是非行きましょう!
希望者挙手さんのバイク好きが、仮面ライダーに起因していたとは、偶然とは言え嬉しいです。

仮面ライダー1号は、バイクに乗っている時に変身しましたが、2号は免許がなくバイクに乗れなかったので、あの一世を風靡した「変身ポーズ」が誕生したとのことですヨ。

バイク、早速HPで拝見。
なるほど…と、納得の感がしました。

折しも希望者挙手さんも節目の年ですから、想い出深いパートナーになりますネ。
そのようなタイミングで、大きな買い物をするのは共感します。
(やはり直観的に良いと思ったものは手に入れないと、のちのち後悔が募りますよね!)

車掌長も学生時代に自動二輪(中型)の免許を取得しましたが、当時の教習車がCBX400Fでした。
とても扱いやすく、トルクも太くて安心感があり、良い乗り心地だったと記憶しています。

4件のコメントがあります → まだまだコメントお待ちしてます!

車掌見習に教わったこと

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2013年1月12日 21:11

そんなに泣くほど お腹の減ることがあるのか

そんなに泣くほど 眠いことがあるのか

そんなに泣くほど 怒ることがあるのか

そんなに泣くほど かなしいことがあるのか

そんなに泣くほど さびしいことがあるのか

なんの意図も 作為もない感情を

もう おぼえているはずもない そんなぼくらの遠いむかしの感情を

車掌見習が教えてくれた

そして

こんなに和むほどの 笑顔があるのか… を
 

コメント(2件)

希望者挙手さんからのコメント(2013年1月14日 00:57投稿)

こんばんは

子供から教えられることって、本当に多いですよね。
私が子育てで悩んだ時に見つけた詩を紹介したいと思います。

マリオン・B・ダーフィーの「父母の祈り」です。
この詩によって、私は大切なことを思い出すことができました。

ただ、マリオン・B・ダーフィーという作者が誰かよくわからないのですが・・・?(謎)


*父母の祈り*

神よ、わが子が自分の道を歩めるように、
わたしが歩みたいと望んだ道を子どもに強いることがないように、
神よ、力を与えてください。

わたしにできなかったことを子どもに強いて、
苦しめることがないように、
神よ、わたしを守ってください。

わが子が歩みゆく遥かかなたを見据えて、
今のわが子の過ちを見守らせてください。
ゆっくりと成長するわが子の姿を、
優しい心で見つめることができますように。

些細ないたずらに微笑みかける時と、
悪しき行いを毅然とたしなめる時、
その二つの時を見分ける英知を与えてください。

わが子の怒り狂うことばや、押し黙る孤独な姿に、
悩み苦しむ子どもの叫びを聴き取ることができますように。

そして、深い淵を越え、子どもに歩み寄り、理解しあう事ができるよう、
わたしに力を与えてください。

できないことに目を留めていらだち、怒りの声を上げるのではなく、
わが子が上手にできたことに目を向けて、喜びのことばで褒めることができるよう、
わたしを導き、力を与えてください。

わたしが心からわが子を大切にすることによって、
子どもも、心から人を大切にすることができますように。

わが子が力強く自分の道を歩めるように、わたしは子どもを送り出したい。
神よ、どうかわたしに、その勇気を与えてください。

車掌長さんからのコメント(2013年1月14日 09:43投稿)

希望者挙手 様

毎度ご乗車ありがとうございます。

そして、素晴らしい詩を教えていただき、ありがとうございました。

全くこの詩のとおりであると、共感しました。
これが誰にでも簡単にできることではないことも、痛感しました。

希望者挙手さんが仰るように、何かの折、自分が迷ったり悩んだときの道標になります。

どんな乗り物にも、目的地へ到着するために人間の技術や判断を支援したり、ミスを軽減させる装置やルールがあります。

しかしながら、人を育てる際に「世の中」という列車に乗ると、自分がいまどこを走っているのか、わからなくなることがあるように思います。

もちろん、世の人々と同じ列車に乗って同じ時代を走っているのですが、その列車自体が自分の求める目的地に向かっているのか、乗り間違えたのではないか…など

同じ列車からの車窓を見る中で、あれ?これ行先が違うんじゃない?…と夫婦にしろ、親子にしろ、どちらかが気付いたり、互いにをそれを共有できれば、どれほど素晴らしいかと思うのです。

話は変わりますが、車掌長が中学の時に出逢い、共感した俳句があります。

「咳をしても 一人」

自由律俳句と言われるものですが、型にとらわれない自由さと、それと表裏一体である「個」というものへの覚悟を感じたものです。

車掌長が小学生の頃から一人旅をしていたのは、好奇心が人一倍強かったこともありますが、両親の仲が良くなかった家を「出たい」という気持ちも強かったのです。

子供の力ではどうしようもない、改善できない生活環境を、自分が変わることに変化の糸口を見出し、自ら旅に出るようになりました。

しかしながら、一人旅をしていて車内や観光地で、家族団欒の光景を目の当たりにすると、寂しくてというか、本来は他のことで満たされるべきはずものがあるのではないか…と涙したり、幼心ながらに感じたものです。

話が長くなりごめんなさい。

これからの人生のB面は、今回教わった詩も大切に胸の内にしまい、いつでもそれを開ける心持ちでいられるようにしたいと思います。

改めて、お礼を申し上げます。
ありがとうございました。

2件のコメントがあります → まだまだコメントお待ちしてます!

サンライズ出雲の旅

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2013年1月 6日 06:44

今朝の新聞に嬉しい記事があったので一筆。

「幸せの女子会寝台」という見出しの記事。
内容は「寝台特急サンライズ出雲」が、若い女性の間で人気だという。
その行先が、一夜明ければ良縁を叶えるという出雲大社のお膝下であるのも一理あるようだ。

記事によれば、旅行情報誌るるぶの2013年版「松江・出雲・石見銀山」の編集長は、この列車を「縁結び寝台特急」と紹介したそうで、とても素敵なネーミングだ。

サンライズ出雲は東京駅を毎夜22:00出発。
仕事を終えてからでも乗れるダイヤが功を奏し、金曜日は昨今の女子人気もあやかり乗車率が99%にもなるという。

また、全車個室(ノビノビ座席を除く)の安心感と、内装が住宅メーカーとの共同開発による居住性の快適さも人気の秘訣だろう。
寝るまではどちらかの部屋で酒や肴、スィーツを持ち寄って女子会に興じ、就寝時はそれぞれの個室に戻れるのも使い勝手が良いと思う。
また、ベッドの向きがレールと並行しているので、寝心地も自然な感じであろう。

サンライズ出雲はサンライズ瀬戸との併結運転。
岡山で分かれそれぞれの目的地である出雲市と高松へ向かう。
以前は多客期に、広島や下関、松山までの臨時運行もあった。
電車であるため、機関車の付替えや方向転換の問題もないので、行先の運用は色々考えられる。
あとは、運行のためのJR各社間の調整が壁かもしれない。

車掌長は、昔ながらのブルートレインの客車寝台の乗り心地が好きだが、このような電車寝台列車の需要や人気が高まって、新たな定期運行や車両の新造につながれば夢のようだ。

寝台列車の旅は、高速夜行バスの安さや、飛行機の速さにはかなわないが、自分の自由な「時間」と「空間」がある。安さや速さをよりも、上質な時間の「豊かさ」を求める人が増えることを願う。

また、寝台列車には独特な旅情があるのも、多くの方々に体験してもらいたい。
窓に流れ去る見知らぬ街の灯や、規則正しく刻むレールの音。
何よりも、自分自身の内面と向きえ合える時間が担保された乗車時間に価値がある。

急ぐ旅ではないがゆえ、その列車に乗っている間は、物思いに耽(ふけ)る思考の自遊空間だ。

考えてみれば、列車での移動時間というものは、日常から非日常への心を切り替えるための「所要時間」なのかもしれない。
夜行列車であれば、一夜明けることが絶妙な演出となる。

飛行機であれば切り替わる間もなく目的地に着いてしまい、心は日常の延長ままのような気もする。
夜行バスは渋滞で時間通り到着しないこともあり、日常のストレスが更に溜まりそうだ。

寝台列車の旅には、巧みに非日常へと誘う心理的な仕掛けがあるのだと思う。