モルゲンロート

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2014年5月 6日 05:13

GW後半、北信州を訪れた。

目的は「モルゲンロート」を見ること。
モルゲンロートは、ドイツ語で「朝焼け」という意味だが、特に朝日を浴びて山肌が赤く染まる山岳美を指す言葉として知られている。

哲×鉄車掌区では、本格的な登山はできないが、麓からそんな美しさを堪能したいと願い、白馬に宿をとった。
せっかくの機会なので、天候しだいで1泊では見られない場合を想定し連泊とした。

それも、大きな窓のある宿にこだわって探し、意中の宿を手配。
部屋はもちろん、「北アルプス側」を確約されるプランを奮発した。

初日の夜、翌日の天気予報は全国的に「晴れ」とのこと。
日の出の時刻よりも前に目覚ましをセットし、床に就いた。

心が昂(たかぶ)ったせいか、目覚ましは鳴る前に止める結果となった。
カーテンを開け、アルプス上空に目をやると、雲がないことを確認できた。

まだ夜明け前の山々を見ながら、窓辺の椅子に腰かけ、静かに物思いに耽(ふけ)った…

次第に空が白み始め、黒い物影だった山容が、表情を見せ始めた。
だいぶ明るくなりいよいよ日の出という頃合いで、その瞬間を共有しようと専務車掌を起こした。
車掌見習には申し訳ないが、まだ対象年齢には至らぬという判断で、夢の続きを見てもらうことにした。

やがて、山の頂付近から陽が当たりはじめ、モルゲンロートの幕が切って落とされた。
徐々に山肌を染めながら、太陽の光が降りてゆく…
まだ残雪も多く、柔らかなピンク色となった山肌は、お化粧を施したような美しさであった。

陽が昇りきると、快晴の青空の下で残雪が眩しいほどに光り輝いた。
外の空気は凛とした冷たさがあったが、日差しは強く、不思議なパワーを享受する想いであった。

ところで、小学校の音楽の授業で「モルゲンレーテ」という合唱を習ったことを思い出した。
それは、子どもが弾くピアノの練習曲のような、優しい旋律だった。

今も歌われて続けているのかはわからないが、歌詞の意味もわからず歌ったのを覚えている。
♪わこうどのむねに モルゲンレーテ

時代や時は流れても、自然美を愛する心は忘れないでおきたい…