雪の美術館(哲×鉄車掌区慰安旅行)

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2014年9月 2日 05:30

来道3日目。次の滞在先であるニセコへの移動日。

昨夜は台風北上の影響で、風雨ともに大荒れの様相であった。
一夜明けると雨は止んでいたが、外は風が強く、空は雲が足早に流れていた。

9時にホテルを出発し、ニセコへの約300㎞の一歩を踏み出した頃、晴れ間が覗きはじめた。
途中、旭川市内に立ち寄り「雪の美術館」を訪れた。

ここは、北陸の「中谷宇吉郎・雪の科学館」とともに、以前から訪れてみたい場所であった。

しかしながら、昨今の「アナと雪の女王」の大ブームにより、施設が物語を彷彿させる云々という話題が新聞に掲載されたり、そんなクチコミがネット等で急拡大し、大人気スポットになっていた。

ブーム以前は開館休業状態で、1日に10人も来ない日もあったというので、施設にとっては大変喜ばしいことであろう。実際、敷地内に併設された優佳良織工芸館他は、閑散としていた。

旭川は三浦綾子さんの「氷点」の舞台にもなった街。
だいぶ前だが、市内の三浦綾子記念文学館を訪れ、「氷点」にも登場する外国樹種見本林に囲まれた独特な形の建物が印象に残っている。

車掌長は「雪」がひときわ大好きだ。
雪一面の景色を見ると、心が癒される…

それはあたかも、雪の下にある世俗の汚れ全てを覆い尽くすかのような錯覚が、そのように感じさせるのかもしれない…

雪の美術館は、建物に入って入場券を購入すると、六角形の螺旋階段を降りるのが順路。
地下18mまで62段を降りてゆくと、ヒンヤリした空気を感じる。

そこは、雪の回廊となっており、ガラス1枚を隔てた向こう側には、美しい氷柱が何本も立ち並んでおり、奥へ奥へと誘われるようであった。

雪をイメージして作られたという美術館だけあって、この雪の回廊あたりが特に、先述の人気映画で雪の女王が住む雪の城のイメージに合致するのだろう…と思われる。
この冷涼感も、なかなかリアルだ。

やがて、スノー・クリスタル・ミュージアムの展示物があるエリアに到着。
ここでは、自然の芸術と言われる「雪の結晶」の様々な姿を堪能できる。

掲示物の説明によれば、人工雪の実験に成功した中谷宇吉郎教授は、雪の結晶が、高い上空の気温や水蒸気の量、雲粒の分布などの気象条件によって、その姿が色々に変わることを証明したとのこと。

そして、地上に降りてくる雪の結晶の形を見て、高い空の気象状況を知ることができ、それを「雪は天からの手紙」と表現したそうだ。

展示の見学を終えると、音楽堂や雪の館などの空間が現れた。
ここは貸しスペースにもなっており、演奏会や食事等で利用できるという。

地下にこれほどの空間があるのも、不思議な感じがするが、ここで聴くピアノやフルートあたりの演奏も素敵だろうなぁ…と想像してみた。

ふと、時計を見ると11時過ぎ。
もう少し見ていたかった名残惜しさを感じながら、旭川駅へと急いだ。
理由は、11時から発売される人気駅弁「かにめしどんぶり」を購入したかったからだ。

「かにめしどんぶり」を知ったのは、3日前に乗車したカシオペアでのこと。
個室内に備え付けのJR北海道の車内誌で、駅弁紀行という記事を見て、「グッと」きた。

昨年発売と新参者だが、8月限定発売というのが、わざわざ「食べねば!」という気にさせた。
そして、その記事の中で発売が11時であることも知ったが、「なくなり次第終了」という文字が気がかりであった。

いざ、11時半に旭川駅に到着し、お目当ての売店に駆け込むと、残り1個であった。
すぐさま手に取り1,180円と引き換えに、会いたかったものに会えた喜びを味わった。

道央自動車道に入り、砂川SAで昼食としたが、そこで中身と対面し賞味…
蓋を開けて、まず一番目をひいたのはカニ爪!
しかも、爪の外観は観賞しやすい姿のままで、かつ身を穿(ほじ)りやすいようにカットされていた。

また、荒めに解(ほぐ)された、脚の棒むき身も食感がよく、添えつけのイクラとのマッチングが絶妙であった。
小ぶりなどんぶりだったが、専務車掌と分け合いつつ、あっという間に完食。

その余韻を引きづりながらニセコを目指し、夕方早めに宿へ到着。
佳き移動日であった。