うなぎ弁当の思ひで

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2014年9月19日 04:53

駅弁を食べるなら、列車が動き出してからに限る。

乗車列車が途中駅なら、ごく当たり前のことかもしれないが、始発駅の場合は出発前に食べ終えてしまう人も見かける。

もちろん、駅弁をいつ食べねばならぬという決まりはなく、各自の自由な裁量の範囲の話…
しかしながら、列車が動き出してからの方が、「流れる車窓」も視覚的な味わいとなるし、揺れる中で箸を進めるのが列車の旅の醍醐味なのだと思う。

車掌長が駅弁の中で大好きなものの1つが、「うなぎ弁当」。
一番最初にうなぎ弁当を食べたのは、小学5年生の時の一人旅で、新幹線の車内だった。

その頃の一人旅の食事は、朝や昼は150円前後の駅の立ち食いそばで、夕食は300円ほどの助六ずしが定番であったが、その時はさらに切り詰めて、念願の「うなぎ弁当」を食べたいと思った。

そして、初のうなぎ弁当は、車掌長なりに食べるイメージを考えて臨んだ。

上りの東海道新幹線で、浜名湖辺りで車内販売のお姉さんから購入し、富士山を見ながら食べる…それも長く乗っていられる「こだま号」で。
しかも、食後の「シメ」は好物だった冷凍ミカンも…と欲を張ったが、1人で5個は食べられないので断念した。

当時の記憶では、うなぎ弁当は700~800円だったが、浜松駅や新幹線車内では、更に1200~1300円のいわゆる「上」があった。

もちろん、捻出したお金で買えるのは「並」であったが、2名掛けのE席から富士山を眺めて食す「うなぎ弁当」は、格別の満足感に浸ることができた。

あれから約35年が経ち、うなぎ弁当の値段は捻出どころでは味わえない、車掌長にとっては幻の駅弁になってしまった…
手元にある直近のJTB時刻表を見ると、東京駅で売っている「国産うなぎ弁当」が2250円。浜松駅では「濵松うなぎ飯」が2780円だ。

ところで、今年6月に、ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されたことは、まだ記憶に新しい。
また、つい先日は養殖量そのものを削減することで、日本・中国・台湾・韓国が合意し、ニホンウナギの資源管理が国際的に整備されることになった。

そうした背景を考えれば、今後ますます、うなぎ弁当の値段は高騰すると思われる。

日本は世界のウナギ消費量のおよそ7割を占めるというが、今まで無秩序に食べ過ぎてきたことが、絶滅危惧への警鐘を鳴らしたのであろう。

もはや街中でも、手軽に食べられなくなったウナギだが、日本の食文化を維持継承するためにも、我慢しなければならない。

さて、今度はどんな「ハレ」の日に食せるか、その時を楽しみにしていたい。

 

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