大名古屋ビルヂング閉館

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2012年9月30日 06:58

本日、また昭和の面影を残す建物が役目を終える。
名古屋駅前にある「大名古屋ビルヂング」だ。

子どもの頃、車掌長にとってこの建物は、旧ナゴヤ球場とともに名古屋に来たことを実感させるものであった。
そして、そのどちらにも或る共通点があった。
それは「球体」だ。

大名古屋ビルヂングの屋上には、かつて球体広告塔があった。
一方、旧ナゴヤ球場にも、スコアボードに巨大なボールが鎮座していた。
また、両者の名称に使われるカタカナ名が大好きだ。

大名古屋ビルヂングは、中央部分の竣工が1962年とのこと。
ちょうど半世紀もの間、名古屋駅やそこを行き交う人々の移り変わりを見つめてきたことだろう。

車掌長は先代の名古屋駅には想い出が沢山詰まっていた。
特に小・中学生時代の一人旅の際、駅構内にあった銭湯「早川浴場」には大変お世話になった。
石鹸とタオルが付いていたのも非常に有難かった。

早朝から夜遅くまで営業し、夜行で着いた朝や、夜行で次の目的地へ向かう際に利用した。
東京からの大垣夜行や、高山本線経由で北陸へ向かう急行夜行「のりくら」にはよく乗った。
また、今では考えられない列車運用だが、名古屋から紀勢本線経由で天王寺まで行く鈍行夜行「はやたま」も懐かしい。(列車名が付くのは、寝台車が増結される新宮~天王寺間)

最近は夜行で移動するよりも、遅くてもその日のうちに目的地に着き、安価で良質なビジネスホテルに泊まる方が、よほど快適なご時世…
当時のような駅構内の銭湯で一風呂浴びるという体験は、今やお金をいくら出しても買えない想い出だ。

また、今でも営業しているが、在来線ホーム東京方のきしめんスタンドも懐かしい。
吹きさらしの造りだったが、東京では味わえない麺の食感が子どもながらに新鮮だった。

時代の移り変わりとともに、その表情もだいぶ変わった名古屋駅周辺だが、ナナちゃん人形はいつまでも残っていてほしいと願う。
 

コメント(5件)

希望者挙手さんからのコメント(2012年10月 6日 00:03投稿)

久しぶりの乗車です。

本日も名古屋出張でした。
大名古屋ビルヂングは、ひっそりしていました。9月の出張の際に訪問しておけばよかったと、少し後悔です。

昼休みにナナちゃん人形を見に行ったら、ちょんまげ姿(!)で名古屋まつりのPRをしてましたよ。

それから今朝、新幹線ホームを歩いて行くと、私が乗車する15号車の入口前にテレビカメラマンや記者の方々が大勢スタンバイしていました。芸能人にしては、グリーン車じゃないし・・・

私が乗車する予定の「のぞみ」が入線してくるところから撮影は始まり、乗客が降車すると清掃スタッフが入れ替わり乗車・・・そう、新幹線の車内清掃の撮影取材でした。
近くにいた広報の方に聞いたところ、今週末、日曜日のミスターサンデーという情報番組で放映するそうです。
お時間があれば、ぜひ、ご覧になってください。その清掃直後の車両で、私は出張に出かけましたので(笑)

最近、新幹線では思いがけない出来事に出会うことが多く、出張の中に、わずかでも旅の醍醐味を感じています。

車掌長さんからのコメント(2012年10月 6日 05:26投稿)

希望者挙手 様

毎度ご乗車ありがとうございます

ちょんまげ姿のナナちゃん人形の写メール、ありがとうございました!
鯱ドレスに身を包み、チョンマゲ姿のナナちゃんは初めて見ました。あのような着こなしやヘアスタイルができるのも、さすがナナちゃんです。
きっと家康様もご満悦のことかと思います。(笑)

新幹線の車内清掃の取材があったとのこと。
ぜひ、その番組を見てみたいと思います。

希望者挙手さんが乗車したのが15号車ということは、N700系ですネ。(700系であれば15号車が喫煙車ですので)

15号車に取材が入ったということは、N700系に設置されている喫煙ルームの清掃シーンも、「絵」として入れたかった意図があったのでは…と勝手に推測します。

希望者挙手さんもご出張が多いようですネ。
新幹線にもよく乗られるようですが、沿線に「727」とだけ書かれた看板をご存知でしょうか?

いきなり田んぼの中にその数字だけが大きく描かれた看板。
車掌長は子供の頃から、この看板が大好きでした。

化粧品メーカーの広告とのことですが、シンプルでインパクト絶大。
高速で一瞬にして通り過ぎる乗客であっても、十分に伝わるメッセージ性があり広告の王様だと思います。

ところで、希望者挙手さんと専門学校時代の出張では、どんなに乗車時間が短くても、2階建て新幹線の食堂車でお茶をしましたネ。
ほとんど自分の席にいなかった記憶があります。

食堂車よりも座席数を増やした方が利益が出るという考えは当たり前です。

しかしながら、それと引き換えに日本人が失った心の余裕は、一体何と引き換えられたり、或いは相殺されてしまったのでしょうか…

今では味わうことのできない、格別な一杯のコーヒーにふとそんな感慨が脳裏を過(よぎ)りました。

匿名さんからのコメント(2012年10月 6日 23:25投稿)

「727」もちろん知ってますよ。
美容室専用化粧品ですよね。私は最初、旅客機の宣伝かと思ってました(笑
他にも「南天のど飴」なんていうのもありますよね。

あの田んぼに巨大広告を思いついた人は凄いですね。私もそんな発想ができるような感性を身に付けたいものです。

車掌長との出張では、単なる移動を、いかに価値ある移動にするかということを学びました。
旅行も出張も、お金や時間をかけて移動することに変わりはないのですから、だったらその移動を有意義なものにして、仕事のモチベーションを上げられたらいいですよね。
100系の食堂車で過ごした時間には、飲食を超えた価値がたくさん詰まっていましたね。

しかし、のぞみの15両目というだけでそこまで発想できるとは、さすが車掌長ですね。

希望者挙手さんからのコメント(2012年10月 6日 23:27投稿)

すみません・・・上の↑名無しの権兵衛は私です

車掌長さんからのコメント(2012年10月 7日 23:32投稿)

希望者挙手 様

このたびは、興味深い番組を教えていただきありがとうございました。
さきほど「Mr.サンデー」拝見しました。

新幹線車内の清掃がcool(カッコイイ)であるとのこと、同感です。
まず、外国には存在しない、真似のできないサービス(仕事)だと思います。

外国人が自国に居ればそれが当たり前のレベルが、日本でこのようなサービスを見た途端、その認識は覆されると思います。

車掌長が7/14付の乗務日誌に綴った新幹線の車内清掃会社は、JR東日本系列でしたが、今回はJR東海系列の会社でしたネ。
それぞれ日々の業務から改善を重ね、工夫を凝らしたマニュアルがあるのでしょう。

願わくばそんな世界に誇れる仕事を、そこで働く人々が誇りを持ち、長く働けるような雇用環境であってほしいと思います。

テレビのコメンテーターも言ってしましたが、海外では質の高いサービスを享受できるのは「有料」です。
迅速さや快適さなど、通常よりも付加価値のあるものには、それなりの料金が加算されるものです。

しかしながら、日本ではファーストフードから駅の売店まで、誰に対しても平等にその対価は無償です。
これは本来素晴らしいことですが、経営側に都合良くそのプロ意識が利用されないことを願います。

今回の新幹線で言えば、いかに折り返し時間を短縮して効率性を上げ、運転本数を増やした結果、更に利益を上げる狙いがあるのは否めません。

車掌長は世界に誇れる仕事は、それなりの報酬が伴ってしかるべきと考えます。
また、サービスは無償との考えも疑問です。
(ただ、チップの慣習がある欧米のサービス業従事者は、ベースとなる賃金が低く設定されている分、チップが生活給になっているのは、日本では馴染まないと思います。)

従って、日本であれば月給や時給といった基本給が、こうした付加価値の高い仕事に対し、一定の上乗せをするのが理想と考えます。

そうでないと、日本人は世界から「あのようにはなりたくない」と言われる、”滅私奉公労働のショーウインドウ社会”になってしまうと懸念します…

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シャングリ・ラ鉄道

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2012年9月28日 21:53

「シャングリ・ラ鉄道」とは、世界的な鉄道模型製作&所蔵家である原信太郎氏の理想郷だ。

今日、横浜での所用の合間になんとか1時間を捻出し、今夏オープンした「原鉄道模型博物館」を訪れた。
オープンから夏休み中は活況で入場制限も行われていたが、平日の午後ということもあり1時間とはいえ、ゆっくり鑑賞できた。

中でもお目当てだった世界最大級のレイアウトは圧巻であった。
車掌長は「一番ゲージ」と呼ばれる鉄道模型の規格は今まで馴染みが薄かったが、今日はその原模型の魅力に憑りつかれてしまった。

全て本物を再現したという車両の作り込みの緻密さや精度の高さは、その走りに端的に表れていた。
その最たるものが「走行音」だ。

鉄のレールの上を、鉄の車輪の列車が走る。
架線からの電気で走り、ブレーキや惰性走行など、どれもが実際の鉄道技術で再現され眼の前を走る。

長い編成の列車が、レールの継ぎ目を通る際の「ガタンゴトン」という音が、とてもリアルだった。
目を瞑れば、実際の列車が通過しているようだ。
また、トンネルの出口で聞き耳を立てれば、次第に近づく列車のレール音が胸をときめかせてくれた。

原信太郎氏は93歳で、ご自身の理想郷「シャングリ・ラ鉄道」を形にされた。
素晴らしい人生だと共感する。
今日は展示コーナーを隅々まで見ることができなかったので、また是非訪れたい。
そして、日本を代表し、世界に誇れる鉄道模型の第一人者として、今後益々のご活躍を心から願う。

車掌長もJTB時刻表愛読1000号を迎えるのは95歳と似たような歳になる。
原氏のような立派な形は難しいが、生涯を貫徹する時刻表愛読の理想郷を創れたなら本望だ。

仮に、その日まで寿命がなかったなら、その夢は車掌見習いに託したい…

余談ですが、このたび当車掌区に新入の車掌見習いが配属されました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 

只見線タブレット廃止

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2012年9月22日 07:24

タブレットと言っても、iPadなどのタブレット端末のことではない。
鉄道の単線区間における、列車同士の衝突防止策として使われる通行証(通称:タブレット)の話だ。

タブレット本体は直径約10cm、厚さ1cmほどの丸い金属で、タブレットキャリアと呼ばれる大きな輪の付いた革製のポケットに格納されている。

単線区間では、この物体を持っている列車だけがその区間の走行を許可される「形ある証」だ。
これは、今日のデータ等による形のない「認証」では味わえない、頼もしさがある。

今日、9月22日をもって全国のJRで唯一残っていた只見線でのタブレット閉塞に終止符が打たれる。
以前、日本中のローカル線で見られた運転士と駅員とのタブレットの受け渡しは、もはや記憶の中の情景となった。

ところで、車掌長は鈍行列車が各駅でタブレットの授受を行うのも好きだったが、幹線での優等列車が通過する駅でタブレットを交換する光景がたまらなく好きだった。

特に中学生の頃、旧型客車の鈍行を追いかけて山陰本線をよく旅したが、ディーゼル特急や急行の運転士(運転助士)が通過駅進入の際に行う、タブレット授受の「投げ入れ」と「すくい取り」がカッコ良かった。

こんなタブレット閉塞という運用は、全てが人手を要する古典的な保安システムのため、経営的に見れば非常に効率の悪いやり方だ。

しかしながら、全てを自動化しなくても良いのではないだろうか。
交通遺産、文化遺産として「動態保存」のような趣旨で、後世に残せはしないか…などと考えるのは許されない価値観だろうか。

車掌長は、色々なシステムや考えがバランスよく調和や共存できることが豊かな社会だと考える。

そして、タブレットは現代を生きる人間が、未来を担う世代へ大切なものを引き継ぐ「バトン」にも見える。

お互いが確認できる、実感できる「形」あるものを引き継ぐことが「文化」であり、お金で買えない「価値」なのだと思う。

そして、そうした生身の人間の営みこそが、銀河鉄道999の言葉を借りれば「永遠の命」なのであろう。
 

 

替え芯

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2012年9月15日 05:35

先日、所用のついでに日本橋の某百貨店を訪れた。
愛用しているボールペンの替え芯が、こういう所ならあるだろうと思ったからだ。

5階の文房具売場に客はおらず閑散としていたが、店員は4名いた。
ショーケースに高価な万年筆が並ぶ会計で、持参したボールペンを見せ替え芯を所望した。

年配の女性が対応してくれたが、中の芯を見て彼女はこう言った。
「メーカー名が書いてないのでわかりませんが、細字がいいですか?中字がいいですか?」と。

細かいことだが、この一言に引っ掛かった。
同時に、百貨店で買い物をする価値を貶めたと感じた。

定価で物を売り、それを承知で買い求めるのは、そこに「販売のプロ」がいると思うからだ。
若しくは、温もりのある買い物のやりとりを楽しみたいと期待するからだ。

ちなみに、このボールペンはお気に入りの航空会社からもらったノベルティで、思い出の品。
結構重たいボディだが、重心のバランスがよいのか、書き心地が快適で愛用している。

車掌長はブランド品を持つことに興味はないが、ブランドの生い立ち話は好きだ。
このボールペンに刻まれているブランド名を調べたら、「過去への尊敬、未来への展望」がコンセプトだと知り、ますます気に入ってしまった。
英国王室のドレスメーカーと言えば、ご存知の方もいるだろう。

話を戻そう。
替え芯がどのメーカーかわからなくても、それを口に出さなくて良かったのではないか…
むしろ、「大切にお使いなのですね」とか、「想い出のあるお品でしょうか」と言われれば、今後その売場や対応してくれた店員の常連になったと思う。

忙しい店舗で、どんどん客を捌(さば)かなければならない業種や量販店ならそんな対応は望まない。
だが、百貨店の存在意義は、買い物を通じての買い手と売り手のコミュニケーションこそ命だと考える。

そういえば、つい先日NHKで「リッチを狙え」というテーマを組んだ人気番組を観た。
いま百貨店はどこも、富裕層が最高のお客とのこと…
1回の買い物で数十万円を使う人のために、専属の担当者を置き、専用の部屋(エクセレントルーム)を設置しているそうだ。

車掌長は、たかだかボールペンの替え芯。1本682円の買い物に過ぎない。
そもそも、来るべき客ではなかったのかもしれない…と自嘲。
 

夜間飛行

カテゴリー:②番線:航空、船舶、バス方面 2012年9月11日 21:41

午前0時
羽田空港から那覇空港へ飛ぶ定期貨物便が、物流各社から脚光を浴びているそうだ。

この貨物便のダイヤは羽田0:00発、那覇2:35着。
これは本土から沖縄本島や離島各地へ、速く品物が届く話ではない。

那覇から国際便に積み替えて、アジア各地へ現地時間の朝に品物が到着し、午前中もしくは同日中に品物が家庭や会社に届けられてしまうのだ。
そんな、国内感覚の宅急便(クール便も)が、今年度中にもお目見えするのだという。

具体的には、例えば上海なら4:25着、香港6:50着、バンコクには11:25着(いずれも現地時間)。
この時間的なマジックを実現させたのは、那覇がアジア主要都市へ4時間以内という距離と、迅速な通関体制の整備、深夜の発着可能が功を奏し、那覇が国際物流の新たなハブ空港になったことが挙げられる。

それにしても、国内でも翌日には時間指定で荷物が届くことをスゴイと思っていたが、海外ともなると自分の感覚が追いつかない。

確かに一般的には便利で結構な話だが、「時は金なり」の対価がきちんと受け取れ、そこに従事する人々にも見合った報酬がなければ、この高価値のサービスがいずれ「あたりまえ」のことになるのが心配だ…

話は変わるが、午前0時に離陸する別便がもう1つある。
FM TOKYOの「ジェット・ストリーム」だ。

今年45周年を迎えた長寿番組であり、初代機長の城達也さんのナレーションがとても魅力的だった。
ジェット機の飛び立つ音で始まり、「夜の静寂(しじま)のなんと饒舌(じょうぜつ)なことでしょうか…」のオープニング。

一日の終わりに、静かに「夜間飛行」へ誘う上質な番組だ。
最近は全く聴かないが、大沢たかおさんが5代目の機長だそうだ。

物流におけるアジア諸国へのビジネスチャンスを担うフライトと、人々を夢路へ誘うフライト。

どちらも午前0時がdeparture time…