替え芯

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2012年9月15日 05:35

先日、所用のついでに日本橋の某百貨店を訪れた。
愛用しているボールペンの替え芯が、こういう所ならあるだろうと思ったからだ。

5階の文房具売場に客はおらず閑散としていたが、店員は4名いた。
ショーケースに高価な万年筆が並ぶ会計で、持参したボールペンを見せ替え芯を所望した。

年配の女性が対応してくれたが、中の芯を見て彼女はこう言った。
「メーカー名が書いてないのでわかりませんが、細字がいいですか?中字がいいですか?」と。

細かいことだが、この一言に引っ掛かった。
同時に、百貨店で買い物をする価値を貶めたと感じた。

定価で物を売り、それを承知で買い求めるのは、そこに「販売のプロ」がいると思うからだ。
若しくは、温もりのある買い物のやりとりを楽しみたいと期待するからだ。

ちなみに、このボールペンはお気に入りの航空会社からもらったノベルティで、思い出の品。
結構重たいボディだが、重心のバランスがよいのか、書き心地が快適で愛用している。

車掌長はブランド品を持つことに興味はないが、ブランドの生い立ち話は好きだ。
このボールペンに刻まれているブランド名を調べたら、「過去への尊敬、未来への展望」がコンセプトだと知り、ますます気に入ってしまった。
英国王室のドレスメーカーと言えば、ご存知の方もいるだろう。

話を戻そう。
替え芯がどのメーカーかわからなくても、それを口に出さなくて良かったのではないか…
むしろ、「大切にお使いなのですね」とか、「想い出のあるお品でしょうか」と言われれば、今後その売場や対応してくれた店員の常連になったと思う。

忙しい店舗で、どんどん客を捌(さば)かなければならない業種や量販店ならそんな対応は望まない。
だが、百貨店の存在意義は、買い物を通じての買い手と売り手のコミュニケーションこそ命だと考える。

そういえば、つい先日NHKで「リッチを狙え」というテーマを組んだ人気番組を観た。
いま百貨店はどこも、富裕層が最高のお客とのこと…
1回の買い物で数十万円を使う人のために、専属の担当者を置き、専用の部屋(エクセレントルーム)を設置しているそうだ。

車掌長は、たかだかボールペンの替え芯。1本682円の買い物に過ぎない。
そもそも、来るべき客ではなかったのかもしれない…と自嘲。
 

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