とむとむ

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2012年12月 9日 06:18

昨日、学生時代の友人と日帰りドライブを楽しんだ。
友人がこの度、通勤で使っていた車を買い替えた為、そのお披露目と試乗が目的だ。

6時前に車掌長宅へ迎えに来ていただき、一路つくば方面へ。
まず目指したのは喫茶店でモーニングができる店だ。

場所は圏央道つくば牛久ICに程近い「とむとむ」で、開店間もない7時過ぎに到着できた。
偶然ネット検索で見つけた店だが、店の外観も店内の雰囲気も素敵だった。
そして何より肝心な「モーニング」が最高であった。

2杯立てサイフォンコーヒーを注文すると、下記のものがサービスされる。
トースト(バター・ジャム付)、ゆで卵、サラダ。
これで525円。

車掌長は学生時代、愛知県の喫茶店でアルバイトをしていたので、当地の過激なサービスはよく知っているが、関東地区でこうしたサービスはごく少数派であり、希少かつ貴重な存在だ。
(近年関東へ進出した某チェーン店もモーニングを提供しているが、いつもお客が多すぎて落ち着かない。)

「とむとむ」の特筆すべきは、サイフォンで淹れたコーヒーを1人1人に用意してくれる贅沢さ。
フラスコに入った2杯分の1杯目は店員が注いでくれる。応対も恐縮するほど丁寧。
残り1杯分は自身でカップに注ぐことができるよう、フラスコに蓋をして置いてくれる。

サイフォン式コーヒーは、その抽出過程がドラマチックで大好きだ。
熱湯がパイプと通ってロートに押し上げられ、コーヒーを抽出させながらフラスコへ戻ってゆく…
その全過程が可視化されているのがとっても楽しい。

ドリップコーヒーは、淹れる手技によって味が左右される神経質な一面があるが、サイフォン式なら誰もが一定の味を出すことができる。
車掌長もアルバイトをしていた頃、ドリップするのはマスターの仕事だったのを覚えている。
やがて淹れ方を教わり、任されるようになった時はとても嬉しかったものだ。
ちなみにその当時の時給は500~550円。1日11時間半働き夜学の大学へ行くのが日課であった。

この友人とも学生時代、あちこちの喫茶店でモーニングを楽しみその良し悪しを談義したのが懐かしい。
とても心地よい雰囲気で友人との会話も弾み、気が付けば8時半を過ぎ、プチ浦島太郎の気分。
楽しい時間というものは、まったくあっという間に過ぎるものだ。

余談だが「とむとむ」は地元でコーヒー豆を自家栽培し、焙煎しているとのこと。
コーヒー豆といえば、ついつい南国の産地を思い浮かべるが、その努力やご苦労、こだわり、喜びもコーヒーの味わいに凝縮されているのだろう。
ぜひまた訪れてみたいお店となった。

(追伸)
末筆ながら、友人との楽しいひと時を過ごさせていただいたことにお礼申し上げます。
やはり喫茶店は「時間を消費する」豊かな場所であることを実感できました。
ありがとうございました。
 

 

AM5:00発 ひかり322号

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2012年12月 2日 07:40

師走に入り暦も残り1枚となった。
年末年始に公共交通機関で帰省される方は、往復の席の確保に真っ最中の頃であろう。

とはいえ、今は一昔前に比べ切符(予約)はネットの普及もあり遥かに確保しやすくなった。
また、飛行機をはじめ、新幹線や夜行高速バスなどの利用交通手段の選択肢も多くなった。

さて、タイトルの新幹線の出発時間に「おや?」と思われた方がいらっしゃると思う。
よく新幹線を利用する方なら、「そんな時間に列車は走ってないはず…」と気付かれるだろう。
もちろん現在は存在しないが、1960年代後半から70年代前半までは運転されていた。

鉄道に興味がある方は、この列車は末尾が偶数なので上り列車であることがわかる。
このひかり322号は、新大阪5:00発、東京駅8:10着。
これなら大阪から東京での会議に、余裕で間に合うダイヤだと思われるかもしれない。

しかしながら、この列車のお客はビジネスマンではなく、九州方面からの年始の帰省客だ。
この新幹線に接続していた列車は、臨時急行「筑前」&「ぶんご」。
両列車とも始発駅である博多と大分を午後の昼下がりに出発。
途中で両者は合流し、新大阪へは翌4:21着というダイヤだ。

なお、このひかり号は年末の下りにも設定がある。
東京21:30発のひかり329号が、新大阪に0:40に到着後、同急行に接続し九州へと出発する。

ちなみに、この話を綴る際に車掌長が手にしている時刻表は1967年12月号(通巻第502号)。
この号のグラビア特集は、当時の年末年始の帰省がいかに過酷であったかの一端を垣間見ることができる。
みな遠い故郷へ「座って帰る」ことに血眼になっていたことと察する。

年明け1月からは、「哲×鉄アーカイブ本線」の各駅(各号の読みどころ)の工事を再開予定。
今回のように、昔の時刻表でしか味わえない時代への時間旅行をお届けできれば…と思う。

(追伸)
今回の話は車掌長は生まれて間もない頃のため、その様子を知る由もありません。
当時の帰省のエピソードや状況を体験したり、ご存知の方はぜひコメントとしてお送りいただけるようお願い申し上げます。

そして、当時の帰省旅行の大変さを知らない世代が、追体験の「時間旅行」をご一緒させていただければ嬉しく思います。