時も積もれば

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2011年11月14日 05:44

秋晴れに恵まれた週末、学生時代のサークルの同窓会が愛知県の知多半島であった。
卒業して約20年。
ついこの間会った仲間もいれば、20年ぶりに会う仲間も多かった。

年齢もみな40歳を過ぎているが、ついさっき講義やサークルが終わって一緒に飲み始めたかのように自然体で話ができるのは、学生時代の仲間ならではだ。

民宿の宴会での席、それぞれに過ごした20年という時間が、光の速さを超越し時空を遡る。
みんな外見は経年的変化を確認するが、中味はほとんど変わっていないのが愉快だ。
記憶や想い出という頭の中の引き出しは、普段忘れていたことを瞬時によみがえらせる魔法のようだ。
そして、みんながそれを最も実感したのは、サークル活動をした学生会館の部屋に入れた瞬間だっただろう。

誰もが時が止まっているような錯覚に陥る。
目まぐるしく日々変化する世の中のスピードから、取り残されたような空間がそこに存在した。

「変わったこと」と「変わらないもの」。
大学時代から変わったことは、みんなそれぞれ沢山あるが、変わらないものは車掌長もそうだが意外と少ないように思う。

しかしながら「変わらないもの」こそ、たまに振り返ったり、実際にこの目で、この手で実感する機会が大切なことであることを、この旅で気付くことができた。

時も積もれば宝物になる…
そう思える宝物が1つでもあれば、困難な場面や折れ曲がりそうな苦しい時の心の支えになるだろう。

今回の時間旅行は、人生の深呼吸をしたような気持ちだ。
あらためて、集まったみんなと今回は残念ながら来れなかったが近況を知らせてくれた仲間に感謝したい。

また20年後の「約還暦」に、より深みのある「変わらぬ」笑顔で集いたい。

 

コメント(6件)

③ちゃんさんからのコメント(2011年11月14日 22:35投稿)

とてもすてきなHPですね。
日記も。

しかし、元気ですね。
なかなかここまでのパワーのある方とは出会えません。
本当にまたの機会を楽しみにしています。

三人目こと松本でした。

PS.よければ、さとみねーちゃんのアドレスを教えてください。
フェースブックで探すのですが、見つからんもので。

車掌長さんからのコメント(2011年11月15日 04:25投稿)

③ちゃん様
このたびは「哲×鉄 ブログ本線」ご乗車ありがとうございました。過分な褒め言葉をいただき恐縮ですが、嬉しく思います。
車掌長も③ちゃんさんの周囲への気遣いや、迅速な行動を見習わなければ!と刺激を受けました。
ところで「鉄分」の多い旅もいいものですヨ。良かったらぜひご一緒しましょう。
お問い合わせの件、後日「哲×鉄 連絡船」経由で回答しますネ。

③ちゃんさんからのコメント(2011年11月15日 22:48投稿)

車掌長様

前メールの件、解決しました。facebookにて無事連絡が取れました。

取り急ぎご連絡まで。

車掌長さんからのコメント(2011年11月16日 04:14投稿)

③ちゃん様
連絡ありがとうございました。
ねぇちゃんさんからも無事見つけてくれたとの知らせがありました。ボックスの写真を喜んでいましたヨ。
「いやぁ~仲間っていいね♪」と、ねぇちゃんさんのコメント。
では、またのご乗車おまちしております。

おたべさんからのコメント(2011年11月20日 11:51投稿)

車掌長様

先日の同窓会はお疲れ様でした。卒業以来の再会にとても感激したのと、みんなが意外に変わってなくて、時間の流れを感じない再会でした。
それにサークルボックスでの思い出探しはとても良かったですね。次回の再会を楽しみにしています。

さて、HPを拝見しました。実は僕も時刻表を見るのが大好きなんですよ!子どものころ、お盆とお正月には親父の故郷の京都の北部の舞鶴に帰省する時は京都始発の「急行丹後」に乗車していました。帰省前には必ず親父が時刻表を買ってきていたので、僕もいつも間にか時刻表の見方をマスターしてしまいました。

当時の山陰線は京都を出発してしばらくすると右手に保津川が見え、そこには保津川下りを見下ろすことができて、それが見えるとどこの誰だか知らないけど、とにかくお互いに手を振っていたのを覚えています。

その光景もいつの日かトンネルを作って路線が変わり、その当時の路線は現在は嵯峨野トロッコ鉄道として活躍しています。
これからの季節は紅葉できれいですので、ぜひ京都にもお越しください。

舞鶴から帰る時は、おじいちゃん特製の甘い甘い太巻き寿司を持たせてくれて、帰りの車内で食べたのを覚えています。

思い出といえば、舞鶴からの帰りは各駅停車で帰ることが多かったのですが、西舞鶴から京都直通の電車がなく、一旦綾部で福知山方面から来る各駅に乗り換えて帰ってました。

綾部駅で乗り換え列車を待っている間に、ホームにある立ち食いうどんを食べるのが楽しみでした。
どれもこれも子ども時代の懐かしい思い出です。

車掌長さんからのコメント(2011年11月20日 21:13投稿)

おたべ様
このたびは「哲×鉄 ブログ本線」ご乗車ありがとうございました。
おたべさんも時刻表が好きとのこと、大変嬉しく思います。
お父さんの故郷への往復のエピソード、とても素敵な想い出ですネ!思いがけず追体験旅行をした気持ちになりました。

その当時は話から推測すると、特急「あさしお」が1本だけ、舞鶴線と宮津線を経由して城崎へ行っていましたが、急行「丹後」の方が本数も多く使い勝手が良かったと思います。
そしておっしゃるとおり、当時の山陰本線は今と違って美しい渓谷沿いの景勝路線でした。
車掌長も途中の保津峡駅が大好きで、中学・高校の頃、何度か途中下車しては川下りの舟を眺めたり、山間の無人駅でひたすら静かなひと時を過ごしていました。

よろしければ「JTB時刻表アーカイブ」に往時の保津峡駅を偲ぶ表紙がありますのでご参照ください。1980年8月号です。

これを書きながら思い出しましたが、急行「丹後13号」は京都駅を20時12分発車し福知山へ向かう列車でした。
この列車に8月16日に乗ると、20時に「大」文字の灯りが点き、順次時間差をとって点火されてゆく、京都五山の送り火を全て見られるということで、列車通の人には知られた急行でした。
高い建物が規制されていた京都ならではの車窓だったと思います。

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50年後の味わい

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2011年11月10日 05:57

朝刊に興味深い記事が1つ。
サントリーが「山崎50年」を受注開始とある。

「山崎」は同社のシングルモルトウイスキーだが、50年以上熟成させるのは徹底した温度管理などの品質維持が必須で、非常に珍しく貴重とのこと。

値段は1本100万円と高額だが、きっと「買う人」「買える人」がいて限定150本は完売するのだろう。
だが、値段は1つの目安であり、その値段に対して、その人なりの相応の価値や重みや感慨を胸に「味わう」ことは車掌長にも頷ける話だ。

50年という「時間の恵み」にロマンを感じてしまう…

ところで車掌長は缶コーヒーが好きだ。
カップラーメンと並び、缶コーヒーは世界に誇れる日本の技術であり食文化だ。

味わいの進化は劇的で言うまでもないが、缶に施されるパッケージも楽しい。
お気に入りの1つはKIRINの「JIVE」で、野茂投手が大リーグデビューを果たし活躍した姿が魅力的な「American Blue」。
手元のものは未開封で、賞味期限は1998年1月23日とある。

50年後となる2048年に開けてみて、どんな「味わい」となるか、ささやかな楽しみとしよう。

風立ちぬ

カテゴリー:⑤番線:feel the season方面 2011年11月 7日 20:19

♪風立ちぬ 今は秋
今日から私は 心の旅人♪♪

この歌が流行った1981年秋、車掌長は中学2年だった。
その歌詞とメロディと「旅にポッキー」というCMのフレーズに、少年の旅心が揺さぶられたことを覚えている。

同じく「風立ちぬ」で思い出すのは、諏訪に程近い高原にあるサナトリウムだ。
「風たちぬ、いざ生きめやも」
と表現した堀辰雄が、不治の病とされた結核の療養中、「生きようとする意志」が芽生えた心の動きが伝わる当時の資料や建物が今も大切に残されている。

普通の病院から一歩、その保存病棟に足を踏み入れた瞬間、時間旅行の針が過去へと遡る。

何不自由ない今日の暮らしの中、さほど遠くない過去の日本で、若くして逝った多くの人々の存在を知ることは、今を生きる道や生き甲斐、生きる意味を見失いかけた人々に、何かを訴えてくるだろう。

病の中にあって、希望や絶望を抱きながら向き合った絵画や文学、撮った写真の1つ1つが胸に迫る。

秋は心が揺れる季節。
そんな揺れる心と向き合う旅へ、時刻表を片手に出かけよう。

たしかに今は混沌とした世の中ではある。
しかし、だからこそ、ぼくらも希望を持って「いざ生きめやも」

不便さが豊かさ

カテゴリー:⑥番線:温泉方面 2011年11月 3日 20:09

先日、温泉同好の仲間が年に一度集う「納会」が山形県の姥湯温泉で開かれた。
この一年、みなそれぞれの湯巡りを楽しんだことが、会話や会報の内容から伝わってくる。
会報は今号でvol.5となり、会員にとっても思いは一入であった。

姥湯温泉では、夜の露天風呂で久しぶりに満天の星空を仰ぐ湯浴みとなった。
日常では見られない星々の瞬きに、ただ、ただ心が洗われる。

翌日は滑川温泉に立ち寄り、途中新そばを食べて大平温泉に泊まった。
最上川源流部の谷底にある一軒宿。
車でかなり険しい道を登り、最後は徒歩で20分ほど急坂を降りやっと辿り着くことができる秘湯だ。

ここは宿までのアプローチも一苦労だが、テレビもないし、携帯電話の電波が届かないのも頷ける。
まさに外界から隔絶された感も否めない立地である。

しかしながら、こんな不便さが次第に豊かさに思えてくるから不思議だ。
「豊かさ」とは決して金銭的な裕福ではなく、心が満たされることに真の意味合いがあるのだと思う。

渓流の露天風呂に浸かり、時を忘れ、目を瞑る…
聴こえるのはやがて大河となる最上川の水が、生まれて間もないままの瀬音だけ。

日頃の喧騒も煩わしいことも、この大自然と温かな湯が浄化してくれるのを感じるひととき。
この時間や空間が、車掌長にとってのデトックスなのかもしれない。

この佳宿も11月5日の宿泊をもって今年の営業を終え、長い長い冬を迎える。






 

コメント(2件)

温泉おやじさんからのコメント(2011年11月 6日 19:39投稿)

納会お疲れ様でした。私もあの姥湯で見た満天の星空はたぶん生涯忘れることは無いくらいの美しさでした。
大平でみなさんとお別れした後、一人であの山道を歩いて戻るのが寂しいのとシンドイとの合わせ技で…ヒィヒィゼィゼィ…言いながら上がりました(泣)
オンボロ軽四号も何とか往復1400キロを耐えてくれ夜中でしたが無事帰還することが出来ました。
2日間本当にお世話になりました。またお逢いできる日を楽しみにしております。

車掌長さんからのコメント(2011年11月 6日 22:31投稿)

温泉おやじ様
このたびは「哲×鉄 ブログ本線」ご乗車ありがとうございました。
大平温泉でお見送りをする際は、あの登り坂を考えるととても酷な心境でした…
お仕事の都合が許せば、ぜひもう1泊ご一緒したいところでしたが、無事お帰りになったようで良かったです。
往復1400㎞の運転、本当にお疲れ様でした。

ところで、納会でご馳走になった温泉おやじさんご当地のお酒はとても美味しかったです!
どちらも希少な日本酒と焼酎を味わえて至福でした。
ありがとうございました。

またぜひ湯浴みをご一緒できる日を楽しみにしております。
よろしければ「鉄分」の多い温泉企画もありますので、そちらでもお会いできれば嬉しいです。

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宵の明星

カテゴリー:⑤番線:feel the season方面 2011年11月 1日 21:54

黄昏どき
西方の空に一際明るい星が煌く季節となった。
「宵の明星」と称される金星のことだが、まだ空が明るくても誰でも簡単に見つけられるだろう。

来年5月頃までは夕方の空に姿を見せ、夏頃には「明けの明星」として早起きをした人のご褒美となる魅惑の星。

そういえば、かつての夜行列車にも星の名前が付いたものが沢山あり、日本の夜の鉄路を駆け巡っていた。
「金星」「明星」「彗星」「銀河」「天の川」の他、イメージ的なものとして「北星」「新星」という列車名もあった。
いまは「北斗星」「カシオペア」が活躍をしている。
どれもいまになって振り返ればロマンがあり、とても美しい列車名だと思う。

また、星ではないが「月光」という列車名には魔力さえ感じさせ、たとえ行先がわからなくても乗りたくなってしまう不思議なネーミングだ。

次第に夜の時間が長くなる季節を迎え、ブルートレインの旅をしたくなる今日この頃…