成田~札幌980円

カテゴリー:②番線:航空、船舶、バス方面 2011年11月18日 05:53

スカイマークエアラインズは成田~札幌(新千歳)に980円という運賃を設定している。

これはインターネットを見て申し込んだ人だけが買えるチケットだ。
もちろん、この運賃で乗れる座席数には限りがあり、日々発売瞬間に売り切れている。
しかし、当日乗る飛行機が980円だからと言って何か支障があるわけでなく、定価で乗った人と同じ座席であり、当然ながら同じ時間に着ける。

一方、新千歳に到着して札幌駅へ向かうJR北海道の運賃は1040円だ。

このアンバランスは、なんだか複雑な気持ちにさせられる。

現代人は一度味わった「安さ」をなかなか忘れられない…
むしろ、その味わった安さが新たな「値段のモノサシ」になって、他の商品やサービスの値段と単純に比較してしまう。もちろん、安く旅行ができること自体は喜ばしいことだ。

しかしながら、忘れてはならないのは、例えば地方の中小私鉄がマイカー普及で需要が減り、すごい勢いで廃止やその危機にさらされていることを…

概して地方の中小私鉄の運賃は割高である。
だが、車の運転ができないお年寄りや学生が、日々の「足」として利用している「生活路線」だ。
自分たちの大切な足を失わないよう、その社員や沿線の人々が存続を願って地道に努力している姿を目にし、エピソードを耳にする。

表面的な価格を単純に喜んでばかりいないで、その価格の「からくり」の裏で脅かされる圧倒的多くの交通事業者や、その利用者がいることを、日々JTB時刻表を眺めて察してしまう。

JTB時刻表にはJRに限らず私鉄、バス、船舶、ケーブルカーなど国内の約850の会社線の時刻や運賃・料金、宿泊機関が掲載されている。

毎月、その中から消えてゆく会社線も見受けられる。

ちなみに、さきほどの980円チケットだが、行けなくなった場合のキャンセル料の総額は4500円である…
正直にキャンセルした方が高いなら、その座席は主が現れずに冷たいまま札幌へ向かうこともあるのだろう。

 

コメント(2件)

たくちゃんさんからのコメント(2011年11月18日 14:36投稿)

ようやくといった感がある「格安エア」ですが、
ヨーロッパでは歴史は比較的長いようで
僕らがヨーロッパに行ったとき利用したのが
最大手の一角といわれる「easyJet」。
ロンドン→ワルシャワ(ポーランド)まで
空港使用料も合わせて大体一人6000円ぐらいでした。
最近よく紹介される「ライアンエア」は
確かに料金は安いのですが
荷物が大きかったり、重量制限があったり、
機内サービスは当然なし、座席のリクライニングもなし、
挙句の果てはチェックインのとき、
プラスチックのような半券を渡され
搭乗の際に回収して使いまわす、と
何でもありの会社のようです。
easyJetは比較的使いやすかったですよ。
数年前、東欧で最大手といわれていた会社が倒産したり
なかなか難しいようですが、
日本の格安エアもがんばって
「維持」していっていただきたいです。
(何せ、倒産の多い業界ですから…)

車掌長さんからのコメント(2011年11月19日 05:42投稿)

たくちゃん様
毎度「哲×鉄 ブログ本線」ご乗車ありがとうございます。
ロンドンからワルシャワに格安エアで飛んだ経験をお持ちとは、かなり旅慣れていますネ。
確かにLCC(ローコストキャリア)の歴史を見ると、日本はかなり遅いと言えます。
欧米で名を馳せたフラッグキャリアや大手エアラインが、高コストが災いして経営破綻したのと裏腹に、新興格安エアラインがじわじわとシャアを拡大し、日本にも茨城空港開港の際、中国のLCCが上海との路線を4000円で結んだのは記憶に新しいところです。
20数年前、車掌長が旅行会社でまだ芽生えたばかりの「格安航空券」の販売をしていた頃の値段に比べると驚愕のプライスです。
当時は「格安」とは言っても、ヨーロッパへ閑散期で10数万していました。
安さ追求の流れを変えることはなかなかできませんが、確実に言えることは価格競争が「安全のコスト」を忘れて離陸しないでほしいと願うことです。

2件のコメントがあります → まだまだコメントお待ちしてます!

コメントはこちらからお願いします

名前

電子メール

コメント