JTB創立100周年

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2012年3月12日 05:31

今日、JTBは100歳の誕生日を迎えた。
心から祝意を表したい。

1912年3月12日、現JTBの前身となる任意団体「ジャパン・ツーリスト・ビューロー」が誕生。
当時は、日本への外国人観光客受け入れの役割を担ってのスタートだ。

鉄道院が中心となって組織された経緯から、当初は外国人旅行客への鉄道院の委託乗車券の発売や、日本観光の宣伝をしていたとのこと。

一方、日本最古のリゾートホテル「日光金谷ホテル」の開業が、1873年(明治6年)である。
外国人がもたらした「リゾート」の概念は、日本では山岳避暑地からその歴史が始まった。
日光しかり、箱根や軽井沢にも由緒ある外国人用のホテルが建てられ、「和」の心からのもてなしがなされ評価された。

JTB創立の頃は、外国人客が日本の魅力に気付き、賑わいを見せ始めた頃なのかな…と推測すると楽しい。

ところで、百年前の日本は、元号が明治から大正へと時代が変わった節目の年。
東京からワシントンD.C.のポトマック河畔に、桜の樹が贈られたのもこの年だ。
また、豪華客船タイタニック号が氷山に衝突し沈没した年でもある。

時は流れて百年…
世界的にも類を見ない大震災による津波の被害と、原発事故に震撼した日本。
訪日外国人も激減したが、最近は回復傾向にあると聞く。

JTBをはじめ、日本の旅行会社が今日ほど、外国人旅行客の受け入れに奔走すべき時はない。
それはビジネスとしての「売り上げ」という狭義の意味よりも、日本の魅力を世界に発信し、観光業の先頭に立って受け入れる「誇り」を抱くことに期待したい。

旅行業が人と人、地域と地域、国と国とを結ぶ文化的な役割を担い、サービス産業としての確固たる地位を築く好機だと考える。

現在外国人向けの旅行商品は、一部の限られた店舗や部署でしか取り扱われていない。
日本人向けと同様なほど、豊富な取り揃えでどこの店舗でも取り扱いができる日を心待ちにしたい。

百年前の日本人がそうであったように、言葉の壁よりも「心の壁」をなくし、「和」のもてなしで受け入れることが、大切なのだと思う。
 

聖子ちゃん誕生日

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2012年3月10日 06:50

卒業の季節。

学業の区切りを意味するが、継続してきた事柄や嗜好品(しこう)との別れを意識させることにも使われる。
煙草との別れに「卒煙」というのも好例だ。
車掌長はこの季節に卒業と言えば、聖子ちゃんの名曲「卒業」を思い出す。

ところで今日は松田聖子さんの誕生日。
青春時代のアイドルも50歳になるという。

当たり前のことだが、人はみな歳を積む。
一方、いつまでも歳をとらないのは、漫画やアニメの登場人物だ。

ちなみに、サザエさんの「舟さん」は原作では48歳の設定だ。
驚くことに聖子ちゃんよりも若い。
仮に我々同様に歳をとったなら、誕生年(1901年・明治34年)からカウントして、今年111歳!
車掌長の好きな並び数字のメデタイ節目にあたる。

また、天才バカボンのパパは41歳。
車掌長もいつの間にか、パパの歳を抜いてしまった。

更に驚くのは、巨人の星の野球英才パパ「星一徹」、33歳。
いま30代の「育メン」や子持ち男性が、一徹名物「ちゃぶ台返し」などしたら、奥さんや家族はどんなリアクションをするのか興味深い。

この手の話題が大好きで、かなり脱線してしまったが、歳をとるのも「時間旅行」だ。

時刻表愛読30余年。
それぞれの月日に想い出の出来事や歳々の感慨がある。

また、1年365日、毎日が何かの記念日であったり、忘れてはならない日がある。

3月10日は聖子ちゃんの誕生日も祝意を表したいが、東京大空襲があった日である。
67年前の今日、木造家屋と町工場が集まる下町一帯を、一夜で焦土と化した。
世の中がどんなに便利になったり、新しいモノや出来事ばかりに人々の関心が集まっても、過去に起きた惨劇に目を閉じてはならない。

東京スカイツリー開業も間近であるが、あの一帯もどれほどの惨禍(さんか)であったかを忘れさせる様相だ。
確かに、輝かしい世界に誇るタワーは素晴らしい。
だが、そこで何があったかを記憶しておくことも本来は大切なことであり、バランスのとれた文化、社会だと言える。

そして、その対比ができてこそ、スカイツリーの展望台に立った時に、世界的に戦後の「奇跡の復興」と言われた日本の底力を、真に世界に誇れるのだと思う。
 

美しの塔

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2012年3月 8日 06:34

長野県美ヶ原高原にそびえる「美しの塔」にこんな詩が刻まれている。

「登リツイテ 不意ニ開ケタ眼前ノ風景ニ シバラクハ世界ノ天井ガ抜ケタカト思ウ」

これは山岳詩人・尾崎喜八が詠んだ「美ヶ原熔岩台地」の一節。
今でこそ立派な観光道路が通じ、誰もが簡単に行ける場所となったが、当時は自力で辿り着く以外に術(すべ)はなく、詩人が目にした光景は想像以上の感慨であったと思う。

もちろん、今でも簡単に行けるとはいえ、そこに足を踏み入れた感動は十分に味わえる。
松本駅や上田駅から路線バスで山本小屋へ行き、未舗装の遊歩道を進む。
(マイカーやバイクなら霧ケ峰方面から、無料になって久しいビーナスラインのワインディングを楽しみ、山本小屋に愛車を置くのも良い。)

標高2000mもの高地であるが、一帯はどこまでも広い空とのどかな放牧地。
「世界ノ天井ガ抜ケタ」という表現の素晴らしさを実感し、詩人の感性に近づきたくなる。

時間を忘れてのんびり歩くと、美しの塔が見えてくる。
霧で視界が悪い時に、登山者の道標となる霧鐘塔として建てられたものだ。
この形がなんとも好きだ。

話は現実に戻るが、経済と政治が低迷し、先の見通しが立たない世の中と言われる。
そんな時、声高に叫ぶ者が霧鐘塔になれるかと言えば、それも疑問だ。

大切なことは、一人一人が自ら考え、物事を見抜く視点や、複数の意見を耳にし、そのメリットとデメリットを聴き分けること。
そうすれば、自ずと道が見えてくるのではないだろうか。

もちろん、時には独善的な選択となり、失敗もある。
車掌長もそんな失敗が幾つもある。
しかしながら、自ら選んだ道の先には、結果として「世界ノ天井ガ抜ケタカト思ウ」ような実感や時間が得られると思う。

美しの塔は、そんな想いに至ったことを思い出させるモニュメントである。
 

鉄&温泉三昧

カテゴリー:⑥番線:温泉方面 2012年3月 5日 06:03

この週末、信州の鉄道と温泉を堪能した。
温泉達人会の「鉄&温泉委員会」という企画である。
好天に恵まれ、慌しさとスローさの緩急の加減がほど良く、「鉄分」の効いた湯浴みを楽しんだ。

温泉達人会はとてもユニークな会。
コンパクトな会だが、顔ぶれは温泉のエキスパート揃い。
それぞれが多岐にわたる温泉の楽しみ方を持っている。

また、この企画のように鉄道好きが集まり、鉄道と温泉を堪能できるのも温泉達人会の度量の深いところだ。
鉄道を使った湯巡りは、乗り換え時間の関係で多少のスケジュール的ロスやハードさは否めないが、車内で揺られ呑みながら移動できるのは、日常にはない最高の開放感が味わえる。

今回泊まった宿はI代表が懇意にしている湯田中温泉の宿。
昔の宿屋の雰囲気と家族的なもてなしが素晴らしい。
最近は外国人の利用も多いと聞いた。
日本人が忘れかけている日本の良さは、意外にも外国人の方が良く知っているのかもしれない。
長湯に適した風流な露天風呂での一献も最高だった。

また、今回利用した切符はJR東日本のウィークエンドパス。
昔存在した「信州ワイド周遊券」も良い切符だったが、このパスはJR以外の民鉄も利用できて大変重宝した。
今月末で廃止される長野電鉄の屋代線もしっかり押さえた。

ちなみに今回堪能した「鉄&温泉」の内容は下記のとおり。

(鉄道の部)
・しなの鉄道(115系乗車。屋代駅構内で169系湘南色を拝観。)
・長野電鉄(旧小田急線10000系及び旧JR成田エクスプレス乗車。須坂駅構内で2000系拝観。)
・長野電鉄屋代線(今月末で廃止)
・姨捨駅スイッチバック
・飯山線(日本有数の豪雪路線。ラッセル車が掻き分けた鉄路と雪の壁が美しい。)

(温泉の部)
・上山田温泉2湯
・松代温泉2湯
・湯田中温泉3湯(宿泊先1湯、外湯2湯)
・百合居温泉仮設共同浴場
・津南駅前温泉

(宴会の部)
・飯山線沿線の某居酒屋(旅の打ち上げ。ここの郷土料理と日本酒が極楽至極の美味!)

鉄道旅行の良さは、移動中の自由度が極めて高いこと。
眺める、読む、呑む、食べる、寝る、耽(ふけ)る、喋るetc…
車での禁忌事項も存分に楽しめる。

今後もこんな旅を温泉達人会の皆さんと楽しんでゆきたい。

(追伸)
T委員長とI代表、多方面への手配やご尽力、感謝申し上げます。
ご同行の皆さま、2日間ご一緒いただきありがとうございました。

今回デビューした達人会のタオルも最高の仕上がりです!
デザインや色合いが大好きです。
余談ですが、年甲斐もなく雪遊びに興じ、やや筋肉痛気味です。

またお会いできること楽しみにしております。
 

コメント(2件)

温泉おやじさんからのコメント(2012年3月 5日 09:44投稿)

お疲れ様でした!
2日間ありがとうございました。今朝6時頃、無事帰還できました。
普段、殆ど利用しない鉄道の旅ですが、今回参加してみて鉄旅の魅力にやられてしまいました。
車掌長様のおっしゃる通り、車では味わえない鉄旅ならではの魅力を堪能させて頂けました。
ではまたお会いできる日を楽しみにしております。

追伸:後ほど車掌長様の雪遊びの成果(画像)を送らせて頂きますね。

車掌長さんからのコメント(2012年3月 5日 21:31投稿)

温泉おやじ 様

温泉おやじさんはツアー風に表現すると1泊4日の旅程でしたネ。帰宅してお疲れのところ、哲×鉄にご乗車いただき誠にありがとうございました。

鉄旅、醍醐味を共有できたならとても嬉しいです。
スリリングな短時間での乗り換え。
それとは逆に次の列車を待つ間のもったいないほどの時間。
ぜひまた懲りずにご一緒いただければ幸いです。

それにしても12名でどれだけのお酒を呑んだのでしょうか?
東京駅を出た瞬間からモーニング・ビール、最高でしたネ。
これも鉄旅ならではです。

温泉おやじさんが持参された日本酒、今回も美味でした。
舌や喉が贅沢な味を覚えると、日常生活が困ります。

それでは、こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。

(別便で送っていただいた写真拝見しました。大人げない行動に笑ってしまいました。)

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