特急「あずさ」号50周年記念

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2016年12月11日 05:35

♪明日私は 旅に出ます
 あなたの知らない ひととふたりで

兄弟デュオ"狩人"が歌う「あずさ2号」は、当時(1977年)小学4年生になる春に大ヒット。
中央本線の特急「あずさ」は、一躍その美しい響きの名を全国に馳せた。

その頃、ひとりで箱根の旧東海道の杉並木を歩くような小学生だったが、歌詞の深い意味などわからずに、その心寂(うらさび)しげなイントロと裏腹に、別離から新たな旅立ちを決意する躍動感あるサビ部分が、強烈に印象に残った。

この曲のヒット以降、車掌長にとっての心理的な「新たな旅立ち」の描写は、"8時ちょうどのあずさ2号"であった。

また、通った小学校の校舎の一部や屋上からは、通過する「あずさ」を見るのが楽しみだった。
とくに、下り列車は毎時00分に新宿を発車していたので、その数分後に学校前を通過するが、その時間は気も漫(そぞ)ろであった。

そんな想い出深い「あずさ」が、明日12月12日、誕生から50周年を迎える。

現役の特急愛称名(新幹線を除く)としては、長老の部類に入り、観光やビジネスに多くの人々に利用され、愛された列車名だと思う。
また、走行ルートが山岳路線を含み、急行「アルプス」とともに、銀嶺を目指すハイカーにも人気があった。

誕生50周年ということで、当時の交通公社時刻表1966年12月号を出してみた。

当該号の表紙は、やはり「あずさ」。
上野原付近の鉄橋を181系車両が、誇らしげに桂川を眼下に渡っている。

また、巻末の読者向けの「おたのしみページ」には、"中央線のすべて"や"特急「第1あずさ」試乗記"などの特集を組み、運転開始を記念していた。

当時は10両編成中、食堂車と1等車(現グリーン車)2両を組み込み、全車指定席で、新宿を出ると甲府と上諏訪にしか停車せず、1日2往復運転のまさに「特別急行列車」だったことが窺(うかが)えた。

いまや、定期列車としては1日18往復も走り、新幹線開通で特急が壊滅する「負の影響」を受けず、在来線特急の旅を満喫できる貴重な列車(路線)だと思う。

とは言え、並行する中央道の高速バスとの競争も、長年意識してきた経緯があり、更なるスピードアップは課題なのであろう。

今後も同じ列車名で走り、末永く愛されることを、心から願ってやまない。
その美しい名は、上流部に上高地を流れる「梓川」(あずさがわ)に由来している。

その心が洗われるほどの清冽(せいれつ)な流れのように、利用する人々のデトックスにも資するような、心の拠り所となる列車であり続けてほしい…

 

 

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