王禄(おうろく)

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2011年12月28日 19:49

年の瀬の山陰は大雪であった。
東京からサンライズ出雲で旅立ち、伯備線を北上すると雪景色へと変わった。

以下に、感じたままの旅の断片を幾つか綴りたい。

一度訪ねてみたかった足立美術館では、雪化粧した名園を心ゆくまで愛(め)でた。
また、展示された絵画においては、横山大観が墨で表したモノトーンの世界に魅了された。
白と黒。更にその境界がわからない朦朧(もうろう)とした筆づかいは、霧に煙る幽谷な山々を本物以上に幽玄とし、見る者に様々な想像力を湧かせてくれる。

二晩目の夜は三朝の湯に浸かり、深々と降る雪を飽きずに見続けた。
雪は何もかも覆い尽くすようで、不思議と心が落ち着く。
また、雪は音を吸収し聴覚を研ぎ澄まさせる。
日頃の街の喧騒に疲れ気味な耳には、何よりの静養だ。

良いお酒にも出逢えた。
旅立ちの前に温泉おやじさんに教えていただいた「王禄」だ。
あいにく島根県の王禄酒造で手に入れることはできなかったが、帰路に立ち寄った倉敷で買うことができた。
「超辛純米」「直汲み」と印されたラベルは、先日生まれたばかりの新酒。
持参した保冷バッグで、管理された温度のままホテルへ持ち運ぶ。
高ぶる気持ちを抑え、一献。
美味い…
形容する言葉が見当たらない未知な味わいに、至福な感動が身を包んだ。
口に含んだ瞬間に舌の上で華が開くような、或いは弾(はじ)けるような、生きたままの酒の美味しさを初めて知ることができた。
温泉おやじさんに改めて感謝したい。

最後に、水島臨海鉄道で活躍するキハ20に乗るため訪れた水島駅では、とても親切なタクシー運転手と出逢えた。
ご年配の方だったが、キハ20以外の車両も見られる車庫へ案内してくれたり、倉敷周辺の案内もして下さった。若い頃はSLの写真を撮りに全国を回ったという思い出話にも、勝手ながら親近感を抱くほど素敵な方だった。この場を借りてお礼を伝えたい。
短い時間でしたが、どうもありがとうございました。

コメント(2件)

温泉おやじさんからのコメント(2011年12月30日 18:24投稿)

己の拙い知識でお勧めしてみたものの…お口に合うかどうか心配していました。でも無事旨い酒に出会えたようで胸を撫で下ろしております。
雪の三朝、素晴らしい湯浴みだったでしょうね。う~ん…行きたくなりました(笑)

来年の鉄の会は何処なんでしょうね?気になっております。群馬か富山辺りだと近くていいなぁ~。なんて勝手に思っていますが…。再会出来る日を楽しみしております。

では良いお年をお迎え下さい。来年も宜しくお願い致します。
温泉おやじ

車掌長さんからのコメント(2011年12月31日 06:08投稿)

温泉おやじ様

毎度「哲×鉄 ブログ本線」ご乗車ありがとうございます。
こちらこそ良いお酒に出逢え嬉しかったです。
日本酒に限らず、ワインもウィスキーも焼酎も奥が深そうですネ。
今まではどれもさほど気にせず呑んでいましたが、楽しみ方が増えました。
温泉に加え、こちらの方もまた色々教えていただければ嬉しいです。
改めてありがとうございました。

「鉄&温泉委員会」につきましては、別途委員長からご連絡があると思います。
方面はまだわかりません。
温泉おやじさん先述の群馬であれば上信電鉄やJR高崎支社のSL。
富山なら富山地方鉄道や富山ライトレール。
どちらも温泉にも事欠きませんし、温泉おやじさんの鉄分の濃さとセンスの良さをお察しします。

それでは、温泉おやじさんに出逢えた本年に感謝いたします。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。

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