ポニョの港町

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2012年6月22日 04:57

 今日の朝刊で良い知らせがあった。
鞆の浦(広島県)で長年膠着(こうちゃく)状態にあった、埋め立て・架橋計画が撤回となった。

鞆の浦は風光明媚な景勝地で、宮崎駿監督が映画「崖の上のポニョ」の構想を練ったことでも知られる。
いにしえの歌人たちも、その美しさを詠み今に残している。
また、「潮待ちの港」として坂本竜馬や多く旅人が滞在し、賑わった痕跡が今なお残されている。

特に、江戸時代の港湾施設であった「常夜燈」、「雁木」、「波止場」、「焚場」、「船番所」の全てが揃っているのは、全国でもこの鞆の浦だけだという。

車掌長もこの地を訪れたが、いつまでも残したい町の風情を実感した。

そんな美しい港町の住民を長年に渡って二分してきたのが、港湾の「埋め立て・架橋計画」だった。
確かに、入り組んだ町の細い道路では、車が離合するのも困難であったり、生活道路では人と車の接触の危険性もある。

だが、このたび広島県知事が、広島地裁の「原告住民の景観利益」を認めた工事差し止め判決を受け、中止の英断を下したのは素晴らしい。

もともと、埋め立てや架橋などせず、トンネルで市街地を迂回する代替案もあったようだが、一旦動きだした巨大プロジェクトは、鞆の浦に限らずどこでも、引き戻せないメンツや利害関係があるようだ。

だが、今後の日本は人口も物流も加速度的に減少するのが目に見えている。
新たな構造物を作るより、これまで40年近くかけて全国に散々作ってきた橋や道路、建物等が一斉に寿命を迎える対策が必要だ。(そんなお金がどこにあるのかも不明だが…)

今朝は雨模様だが、後世に残したい景観を損ねずに済んだ朗報を知り清々しい気分だ。

 

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