SLふくしま復興号
カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2012年7月27日 05:07
JTB時刻表今月号の583頁に、いつもと違う特別な列車がある。
ここは東北本線(黒磯~仙台)のページだが、普段は普通列車しかない平凡な誌面だ。
明日、明後日と郡山~福島間を、臨時快速列車「SLふくしま復興号」が走る。
誌面上のダイヤを追うだけでワクワクする。
46.1㎞を101分もかけて走るのだ。
通常の各駅停車の列車でも、50分弱で結ぶ距離。
新幹線であれば12分ほど。
そんな距離をC61-20が、かつての大幹線を威風堂々と走る。
途中、本宮駅や松川駅でそれぞれ15分程度の停車時間があるのも良い。
更に、編成が旧型客車を使用するとの記載も心が躍る。
蒸気機関車は不思議な乗り物だ。
車掌長はSLが現役時代だった頃に乗ることはなかった。
だが、近年あちこちで復活運転が行われ、乗車するたびに「感動」を覚える。
特に汽笛は腹の底に響く、動物的な雄叫び(おたけび)に、心が洗われる想いで胸が熱くなる。
そして、走行中の煙を吐くドラフト音、蒸気を排出するブラスト音…
SLは観るのも楽しい。
沿線で待っている間の時間と、来た時の次第に近づいてくる姿を見るのは至福の時だ。
その躍動感は「生」というものを、直球で突きつけられる感動がある。
写真に残したい気持ちを抑え、ファインダー越しではない、自分の眼で五感でその全てを感じ取るのが良い。
きっと、両日の運行はふくしまの皆さんの心に、それぞれの感慨を抱かせてくれるだろう。
感動や勇気、喜びも確かに感じるだろう。
しかし、それとは違うものを感じる人も少なくないだろう。
天高く、どこまでも遠くまで届くような汽笛は、失った大切な方々へも聴こえるかもしれない。
また、ストレスや怒りなどあまり表に出せない全てを、SLのように吐き出す、排出する叫びとその力強さ。
いまだ「復興」という言葉に実感を持てない想いも、
そのまま感じたままに…