N700A

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2012年8月22日 05:44

昨日、JR東海は次世代の東海道新幹線車両「N700A」を報道関係者に公開した。
新聞によれば「自分で考える新幹線」だという。
つまり、列車自らが考えて加減速を行い、ダイヤ通りに運転する自動運転機能を搭載している。

現在、列車の加減速は運転士がノッチ(アクセル)を小まめに操作し、規定速度を維持している。
以前、TV番組でその運転士のノッチさばきを見たが、その繊細さに驚いた。
そして、人の手によって運転された列車は、1秒の遅れもなく駅に到着した。

東海道新幹線は今日年間約12万本の運行で、1列車あたりの遅延時間が平均36秒だという。
これは自然災害やトラブルを含めた時間なので、通常では限りなくダイヤ通り運転されていることになる。
それをN700Aの導入で、自然災害時も限りなく「0」秒に近づけるのが狙いにあるようだ。

たしかに、東海道新幹線は他の新幹線路線よりも、カーブや勾配がきつかったり、多い。
その全ての情報を人が完全に把握し、ノッチを完璧にさばくのは至難の技だ。

また、人間の操作ではどうしても人によってムラがあり、数秒のロスが出るのも否めない。
それを災害時のダイヤ復旧の際、「自動運転」で補おうというのだ。
落語のオチのようだが、通常時に使用すると正確過ぎて、ダイヤよりも早く着いてしまうそうだ。

N700Aは外観上は、N700と変わらないが、中身はフルモデルチェンジと言っていいだろう。
日本の鉄道技術の集大成とも言える車両だ。

一方で車掌長はこう思う。
効率の良い自動運転も、1秒も遅れない定時運行も素晴らしいが、列車の旅を楽しむ工夫がもう少しでもほしいと…

食堂車や個室といった、100系時代にあった世界に誇れる優雅さの復活も贅沢だが望みたい。
秒刻みで過ごす現代人だからこそ、高速移動時間の中での「ゆとり」を味わいたい。
いくら乗った列車の中で焦ったり、仮に走っても、到着時間が早まるわけではないのだから…

食堂車で流れる車窓をみて楽しんだ食事や一杯のコーヒーの格別な美味しさ。
また、乳幼児を連れた人には個室がどれほど有難かったことか…

もちろんそんな非効率なスペースよりも、座席にした方が収益は高いことは百も承知だが、プライスレスな価値にも目を向けられる経済社会にも淡い期待を寄せたい。
 

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