おれんじ食堂

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2012年8月30日 05:29

食堂車復活!の嬉しいニュースが舞い込んだ。
昨日の新聞で、第3セクターの肥薩オレンジ鉄道が発表したことを知った。

肥薩オレンジ鉄道は、八代(熊本県)と川内(鹿児島県)を結ぶ路線。
その約120㎞を3時間ほどかけて、食事を楽しみながら旅ができる観光列車が来春登場するという。(※川内は「せんだい」と読む)

この観光列車の名前が「おれんじ食堂」。
全席指定の2両編成で定員は約40名というから、かなりゆったりしている。

車両のデザインは、工業デザイナーの水戸岡氏によるもので、木の温もり溢れる内装。
この素晴らしい空間で、沿線のレストランと提携し、地元の食材で料理を供するという。
座席の多くが風光明媚な海岸線を向いており、カフェレストラン風なのも素敵だ。
既存の「食堂車」のイメージとは異なる、全く新しいコンセプトだ。

食堂車といえば、いまや3本のブルートレインで残るだけの「絶滅危惧種」的存在だが、このような形で復活されることはとても素晴らしい。

鉄道の旅の醍醐味は、日頃利用する通勤電車のような窮屈さではない。
まして、長距離列車の座席で広げるのが、コンビニ弁当やペットボトル飲料のような全国画一の味覚でもない。
「車内」という広い空間は、創造の源だ。
また、複数の車両を連ねる「編成」という、鉄道にしかできない、夢を繋ぎ合わせるような醍醐味がある。

1両1両異なる車両を連ねるのは、製造から日頃のメンテナンスまで、手間もコストもかかる。
しかしながら、そんな手間やコストをかけた仕掛けこそ、わざわざ遠方から「乗りたい」と思わせる空間や、過ごしたいと願う「時間」があるのだろう。

昨日は、ノスタルジーの夢を実現してくれた「いすみ鉄道」の話。
今日は、鉄道にしかできない車内での豊かな時間を楽しめる話。

両社とも第3セクターという、経営的には決して安穏ではない厳しい環境にさらされている。
だが、こんな素晴らしいアイデアを素早く実行できる小回りの良さは、逆手をとって考えれば第3セクターという組織のメリットでもある。

無謀かつ無味な新幹線延伸が続く中、今後ますますJRから切り離され誕生する第3セクターが増える。
JRが採算に合わず不用とした大切な生活路線や、そこにあった文化、人々の絆を、「いすみ鉄道」や「肥薩オレンジ鉄道」のようなアイデアで蘇らせてほしいと願う。

地方における鉄道の役割は、どこもマイカーにお手上げだ。
だが、マイカーのような単なる「足」ではなく、鉄道にしか存在しない、できない魅力を呼び覚ませてほしい。

そんな願いを込めて、車掌長は異例の2日連続の乗務に励んだ。
 

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