達人の秘湯宿

カテゴリー:⑥番線:温泉方面 2012年10月 8日 06:32

車掌長が「温泉の師匠」として敬愛する方がいる。
温泉紀行ライターの飯出敏夫氏だ。(以後、親しみを込めて飯出さんとする)

飯出さんは車掌長も所属する温泉達人会の代表だ。
そのお付き合いは、早いもので16年余りになる。
人気テレビ番組「TVチャンピオン」の温泉通選手権出場が、出逢ったきっかけだ。

飯出さんは山歩きが大好きな御方。
車掌長は勝手ながら、温泉と山歩きを組み合わせた秘湯の紹介は、飯出さんが第一人者だと思っている。
そんな飯出さんが今般、「達人の秘湯宿」という本を出されたので、ぜひ紹介したい。

飯出さんは山をこよなく愛し、その疲れを癒す温泉を、長年ガイドブック等で紹介し広めてきた。
「秘湯」と言えば、訪れる者を拒むかの如く、仙境にあるようなイメージを抱くだろう。
確かに、歩いて何時間もかかるようなプロセスやロケーションは、その湯を制した喜びも絶大だ。

しかしながら、本書で飯出さんがオススメしてくれる秘湯は、決して本格的な登山経験者や温泉マニアしか行けないような湯ではないのが素敵だ。
また、その湯や宿を大切に守る主人や女将、客をもてなすスタッフを必ず紹介している点が大好きだ。
これは「飯出イズム」とも呼ぶべき、飯出さんならではの温かな人柄が溢れる温泉の紹介法だ。
どんなに良い泉質や浴場、部屋、料理が振る舞われても、やはり最後に印象に残る佳宿とは「人の印象」によるところが大きい。
しかも、飯出さんが教えてくれる宿は、どれも良心的な値段だから嬉しい。

本書は月刊誌「旅の手帖」で過去に連載した「いい夜を過ごす秘湯宿」の全44回分と、同誌の温泉特集「飯出敏夫の"ぞっこん秘湯"ベスト30」を合わせ更に選りすぐった、ベスト64湯の紹介となっている。
冒頭にある「飯出流・秘湯の目安」も、実に飯出さんらしいユニークな6箇条だ。

サイズは気軽に持ち歩けるハンドブック型で軽量。オールカラー。
発行は交通新聞社で、定価は648円(税別)とお手頃だが、中身はそれ以上の価値がある。
お求めは全国の書店、コンビニエンスストア、ネット販売で可。

ぜひ、本書が鉄道好きの皆さんにも手に取っていただき、乗り鉄の合間に「温泉」も楽しんでもらえたなら嬉しい限りだ。(鉄道では行きづらい所も結構あるが…)

(追伸)
飯出さんは昨年、悪性リンパ腫の診断を受けました。
負担の大きな抗がん剤治療を何度も受けながら、入院や通院をしておられましたが、飯出さんご自身の闘病とご家族の献身的な介抱が奏功し、今は「寛解」の状態だそうです。

飯出さんは、この寛解の状況を保ちながら取材活動の再開に希望を持っておられ、きっと何度も行った全国各地の温泉を再度訪れ、1冊の本にまとめ著したいと仰っていました。

今般の本書発売が、ぜひその「かけ湯」となればと心から願います。

そして、再び飯出さんと温泉同好の仲間と、心温まる幸せな湯めぐりがご一緒できる日を楽しみにしております。
 

コメント(2件)

温泉おやじさんからのコメント(2012年10月10日 13:13投稿)

ご無沙汰しています。
掲載されている64軒の内いくつかは行ってますが、残り総て行きたくなりましたよ。これからの湯巡りのお供にしたいと思っています。
そう言えば車掌長さんは今回パスなんですね。一緒に星空でもと思っていましたが…(笑)
また何かの企画でお会いしましょう~。

車掌長さんからのコメント(2012年10月12日 23:04投稿)

温泉おやじ 様

毎度ご乗車ありがとうございます。

今週は茨城県の内陸部へ出張に出ておりました。
お返事が遅くなり申し訳ありません。

仰る通り、今般の飯出さん出版の本、全て行きたくなりますよネ!
車掌長も、行っていない温泉の方が多いですヨ。

行った中で印象に残っている湯の1つは、十勝岳温泉「湯元凌雲閣」。
初めて訪れたのは1988年の学生時代でした。

まだ今ほどの温泉ブームでもない時代で、褐色の錆びた湯味と十勝連邦の美しさが想い出に残っています。
反面、施設的にはかなりくたびれていましたが、山の湯宿のムードは満点でした。

ちょうどTV番組「北の国から」が全盛の頃…
富良野の景色の雄大さに惹かれ、訪れたことを思い出します。

つい数年前の冬。富良野に行ったついでにぜひ行かねばと車を走らせましたが、麓は穏やかだったのに凌雲閣に着く直前に危険を感じる猛吹雪に遭って断念しました。
自然には逆らわないのが一番だと、身を以て知っているので後悔はありません。
またいつか訪れれば良いのですから…

ところで、今年の納会は私的慶事のためパスなのです。
黒部峡谷の湯も行きたい気持ちは満々でしたが…
姥湯の星空からもう1年が経つのですね、早いものです。

温泉おやじさんのHPも度々拝見しております。
またいつの日か、相湯のほどよろしくお願いいたします。

いよいよ温泉のオン・シーズンですネ!
秋の気配が漂うと、気もそぞろとなります。

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