古典の日

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2012年11月 1日 05:55

月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也…

これは松尾芭蕉が著した「おくのほそ道」の冒頭。
車掌長はこの序章が大好きだ。
それは、芭蕉が旅に出る想いや衝動、何者かによる旅への誘いに共感を覚えるからだ。

今日は「古典の日」

車掌長は中学2年の教科書で松尾芭蕉と出会い、古典が好きになった。
徒然草の兼好法師のように、庵に暮らして世の中の風刺や人々の所業を冷静に綴る姿も、いまの車掌長の思考に大きな影響を与えてくれた。

また、枕草子の清少納言が見たり感じた日本の自然や季節の美しさを体験したいという想いは、旅に出たい動機として今でもリンクしている。
また、虫や植物、赤ちゃんといった小さな存在のものへの視点、愛情も素晴らしいと思う。

正則高校時代、古典を心底愛する国語教師に出逢えたことも良かった。
その恩師は小松崎文夫先生で、「コマっちゃん」と生徒から親しまれていた。
車掌長もコマっちゃんが大好きで、3年生の時は1週間の中で古文4コマ、古文法4コマ、鑑賞古典2コマ、計10コマの授業を受けていた。

特に印象に残っているのは、10月に大山(神奈川県)で行われる薪能鑑賞に連れて行ってもらったこと。
ひんやりした秋の夜、篝火(かがりび)だけの明るさの中、囃子(はやし)の音色とともに興じられる「能」の幽玄さに魅了された。

更に、古事記の原文にチャレンジしようと勧められ、丁寧に解説や登場人物のエピソードを織り交ぜながら授業をしてくださり、古典への親しみが一層増した。
また、その時に古事記に温泉の記述があることも知った。道後温泉や有馬温泉だ。

今の世の中は新しいものばかりを追い求め、与え続けられ、非常にせわしない。
もちろん、時は未来へ向かって日々進んでいるが、過去の時間を振り返ることも大切なことだ。
それは意図せず、新たな発見をもたらし今の生活を豊かにしたり、注意を喚起する契機にもなる。

車にバックミラーやサイドミラーがあるのは、前ばかり見ていては危険だからだ。
日頃の生活も、ふとバックミラーを見る心の余裕と注意力がほしいもの…と感じた古典の日。
 

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