温泉達人会「第4回鉄&温泉委員会」

カテゴリー:⑥番線:温泉方面 2013年2月17日 20:41

 先週の3連休、温泉達人会のメンバー12名で青森を訪れた。

温泉達人会には、名称こそ「委員会」「部」「組」など統一性はないが、自炊湯治、野湯、高級旅館、鉄道etcといった同好の者が活動できる分会がある。
今回はT委員長率いる「鉄&温泉委員会」の企画で、青森の温泉と鉄道を堪能した。

旅立ちは寝台特急「あけぼの」。
上野発の貴重な夜行列車だ。
この時季は日本海側(羽越本線)の風雪による運休が多いので、出発当日までドキドキであった。

幸い、JR東日本のホームページにも運休の情報は掲載されず、メンバーと上野で合流。
今回は「ゴロンとシート」での一夜。
みな思い思いの酒や肴を持ち寄り、区画ごとにミニ宴会が始まった。

開放型の寝台車も、いつ廃止になってもおかしくない状況ゆえ、名残惜しむように国鉄時代の武骨な造りを味わった。
また、今やほとんどお目にかかれない、平たい紙を広げて注ぐ冷水器もレトロ感いっぱいだ。

早朝の秋田駅では、予約していた駅弁「牛めし」を入手。
今では希少となった、駅弁の立ち売りを行っている関根屋さんに敬意を表したい。

終点の少し手前の弘前で下車。
一路、津軽鉄道に乗るべく五所川原を目指した。

途中、雪による遅延で乗り換え時間がギリギリとなり、慌てて津軽鉄道のディーゼルカーの乗り換え。
車内は相当な混雑だったが、1つだけポツリと空いた4名分のボックス席があり、これ幸いと座った。
座れて安堵し、辺りを見回すと、何やら賑やかな手作り感満載の飾りつけに気が付いた。

列車が動き出すと、どこからともなく、テレビや新聞記者が我々4人の席にやってきた。
その時わかったことだが、この日はバレンタインデー向けイベント列車「走れ!メロメロメロス号」の運転初日だと知った。
(ちなみにその夜、青森県内でのニュースに流れたり、翌朝の地元紙にも写真入りで掲載された。)

その後、金木でメロメロメロス号を降り、すぐさま折り返して津軽鉄道名物の「ストーブ列車」に乗車。
ストーブ前の席に座り、冷たいビールやストーブであぶったスルメに舌鼓を打った。
ところで、乗ってわかったことだが、ストーブの前は熱すぎて長居はできない。

戻った五所川原では金太郎温泉に入り、弘南鉄道で黒石へ。
そこからは、今宵の宿泊地「青荷温泉」の送迎バスに乗って雪深い秘湯を目指した。

青荷温泉は2回目だったが、雪の時期は初めて。
屋根の上には2メートルほどの雪が積もり、ところどころの湯屋から上がる湯けむりが出迎えてくれた。

ここは「ランプの宿」として有名な温泉。
ほのかなランプの灯りが、ピカピカに磨かれた館内の床を美しく照らしていた。

日が暮れる前に一通りの湯に入り、達人会貸切の囲炉裏の小広間で夕食を取らせていただいた。
ランプのシャンデリアのごとく5~6個のランプが照らす食卓は、光量不足で料理の詳細を掴みづらかった。

部屋に戻ると、ランプの灯りと石油ストーブのみの明るさ。
さすがに不便な感じはしたが、これも一夜のことだから風情があると思えるのだろう。

電気のない時代、行燈や提灯などのロウソクで過ごしたであろう夜の世界を疑似体験できた。
また、「蛍雪の功」などという言葉も思い出した。
蛍の光 窓の雪…
昔の人の苦労を偲ぶとともに、現代の暮らしの有難味を実感した。

翌未明、まだ皆が寝静まっている時間に「滝見の湯」に入った。
外は真っ暗だが、沢山の星が輝いていた。
湯屋の中はランプの灯りが1つのみ。
これは湯船で隣の人の顔もわからない暗さだ。

ちょうど良い湯加減で30分ほど入っていた。
音もなく、光もほとんどない湯の中は、五感が研ぎ澄まされるのを実感できた。

外はマイナス10℃…
非日常の時間であった。
 

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