あの日あの時

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2013年3月12日 05:22

普段、ほとんどテレビを見ない車掌長だが、昨晩はゴールデンタイムと言われる時間帯にテレビを見た。

東日本大震災を扱ったテレビ局はNHKのみ。
民放各社は、普段と何ら変わらない、時間消費型のバラエティ系ばかり…
これが我が国未曾有の震災、人災を経験した日本の実情かと虚しさを感じた。

時間の長さは誰にも平等に1日24時間、1年365日が与えられている。
しかしながら、平等のはずの時間の中で、それを「速い」とか「短い」、或いは「遅い」「長い」と感じる"時間の格差"が存在するのは何故だろう。

身辺の状況や環境が、好調・上昇傾向にある人は前者、そうではない人は後者なのだろうか。
人間の時間に対する感覚は、その満たされ具合や充実度によって速くも遅くもなるのかもしれない。

東日本大震災で被害を受けた方々と、そうでない者たちとの格差。
最近のニュースでは、景気回復の兆しとして株価上昇や円安による好況が伝わってくる。
また、東京オリンピック誘致への強い手応えなどという話もあった。

被災者の方々にとってのこの2年という時間の長さ、重みを想像すると、こうした世の中の一見happyな状況はどう目に映り、どんな感情を抱くのだろうか…

今や東京をはじめ全国の情報や映像が、被災地を含めどこでも見られる。
それをどんな思いで、避難先や仮設住宅で見聞きしているのかと察すると、その逆方向の情報や映像を日本人全員に伝え流すべきだと考える。

つまり、昨日を挟む数日や1週間というスパンで特集を組むのではなく、日々常に、被災地や東北のリアルな状況や生の声を全国へ向けて積極的に発信することだ。
それは、もちろん明るいニュースも必要だが、問題や課題といった暗部を照らし、より多くの人々で解決の糸口を探れる情報の方が優先されるべきだ。

被災地の鉄道復旧は、第3セクター経営の事業者は日々開通に向けて進んでいる。
一方、JR東日本は遅々として進まない。
その理由の1つは黒字経営にあるという。
つまり、復旧費用は国費でなく、自力で捻出しなければならない。

そこで問題になるのが、「株主への説明ができない」という理論だ。
そもそも赤字路線を復旧させて、どれだけの利益性があるのか…ということを言っているのか?

こんな話を綴っていると、あの言葉を思い出す。
「会社は株主のモノ」というフレーズ。
株主への利益を還元するために、株式会社は存在するのだと…

それはその通りだ。
だが、会社として世の中に存在する「哲学」はどこにあるのか…
株価が上がり、株主だけがハッピーになればそれで良いことなのか…

一市民が一把程度の株を買って、その配当や特典を享受するのは微笑ましいことだが、その経営を左右するような大株主であれば、もっと社会貢献的な視野や度量をもって、その持ち株に「命を吹き込んで」ほしい。

新たな駅ビルやこれ以上のスピードアップは、少し後回しにしてはいけないのだろうか。
そうしたことよりも、日々の基礎生活の確保を望む同じ日本人のために、生きたお金の使い道をしてほしい。

そんなことを願った大震災3年目。
そして、人それぞれのあの日あの時を忘れないように…
 

コメント(2件)

たくちゃんさんからのコメント(2013年3月13日 05:15投稿)

未だ仮設住宅に住まわれていたり、避難を余儀なくされている方々がたくさんいます。
復興のためのお金が、被災地とはまったく関係ない地方で「耐震工事」という名目で抜き取られています。
始末に馬鹿みたいな時間がかかる現状を見ても、危なっかしいおもちゃを使い続けようという人がいます。

14時46分、相方と一緒に、かの地に向かって黙祷しました。
ワタクシと友人(外国人)とのプライベートブログに、「日本のことを気遣ってくれてありがとう」と感謝の言葉を伝えました。

みんなが、一人ひとりが、忘れないようにする。
歴史は繰り返します。しかし、繰り返された際にとる行動や対応を、経験として覚えておくことこそが、大切なことだと思います。
本当に「馬鹿」なのは、何回経験しても同じことをすることなんでしょう。
自分には関係ないと勝手に思い込むことなんでしょう。

東日本大震災で被災した方が笑顔になれる日が、少しでも早く来るよう、願ってなりません。

車掌長さんからのコメント(2013年3月13日 22:11投稿)

たくちゃん 様

毎度ご乗車ありがとうございます。

たくちゃんさんのコメントに同感です。
一向に進まない復興に、車掌長も歯痒さを感じます。

確かに「復興」という言葉の解釈や捉え方は、個人から行政まで様々です。
元の状態に戻すことをイメージする人もあれば、全く新しい街を築き上げる絵を描く人もいることでしょう。

全員が納得する選択は到底無理なことですが、双方の意見を十分汲み取った上で、共通の着地点を探し合意することは可能だと思います。

あとは、その自発的な議論を援助し、そこにお金と人的、物的支援を惜しみなく注ぐことが政治だと考えるのです。

少なくとも、いまドサクサに紛れて「防災」や「減災」といった大義名分を振りかざし、着工が始まった大津波に備えてより高い防波堤を沿岸に延々と造ることはピント外れなことでしょう。
風光明媚な海岸美を求めて訪れる観光客は来なくなりますし、自然の猛威を人間が抑えきることはできません。

また、原発も即座に全てを廃炉にすべきだと考えます。
同じ過ちを二度繰り返すことは、いま故郷を失った方々への無念極まる犠牲や教訓を、完全に冒涜(ぼうとく)するものです。

多くの見識ある方々が仰っていることですが、命に勝る経済発展などないのです。

むしろ、日本が脱原発のリーダーとして、世界に向けた情報や取り組みを発信し、その技術や知識こそ誇ってもらいたいものです。

一方、フィンランドでは世界初の「核の最終処分場」の掘削が始まろうとしています。

地下400m以深の場所に使用済核燃料の捨て場を造り、廃棄が完了した際には完全に埋め戻されるとのこと。

そして、目印も標識もなく、掘り返されることもないよう、あたかも「何もなかった」かのように繕うのだそうです。

フクシマが「何もなかった」…などということにはならなにように、多くの人が記憶に残し、人類の愚かな史実として伝え続け、繰り返さないようにしなければならないと思いました。

末筆ながら、長々と綴り大変失礼いたしました。

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