世界記憶遺産
カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2013年6月22日 06:49
本日午後にも、富士山が世界遺産に正式登録される。
そのこと自体は喜ばしいことであるが、真に世界に誇れるためには、山麓の広範囲にわたるゴミ問題や、稚拙なリゾート開発などを戒め、今まで以上に富士山を「守る」「崇める」姿勢が求められる。
ただ単に、観光客が増えて地元の経済が潤えば良いということでは、ユネスコ本来の遺産保護の趣旨から外れてしまう。
ところで、そんな富士山に注目が集まる中、先日もう1つの世界遺産が登録された。
世界記憶遺産だ。
今回は、鎖国前に伊達家が欧州へ送った使節団の「慶長遣欧使節関係資料」と、藤原道長の自筆日記「御堂関白記」であった。
世界記憶遺産は2年に1回登録の発表があるが、前回は炭鉱記録画家である山本作兵衛の作品が、日本で初めて登録された。
車掌長はそれをぜひ見たいと思い、登録間もない頃に福岡県田川市の博物館を訪れた。
筑豊炭鉱で働く人々の仕事や生活ぶりが、つぶさに描写され、展示だけではもの足りず全作品が収録された画集も買ってしまった。
そして、その作品を見たからこそ、昨年大晦日の三輪明宏さんの"ヨイトマケの唄"が、より深く心に沁みた。
今回登録された中で、「慶長遣欧使節関係資料」は興味深いと思った。
内容物は、鎖国前に仙台藩主である伊達政宗の命によって、支倉常長(はせくらつねなが)がスペインとローマに派遣された際に持ち帰った「ローマ市公民権証書」や、肖像画である「支倉常長像」、「ローマ教皇パウロ五世象」の3点。
折しも今年は、常長一行が旅立った1613年から400周年にあたる。
その時建造された木造洋式帆船「サン・ファン・バウティスタ」は、石巻に復原船がある。
東日本大震災で被災したが、今年11月に修復が完了するという。
車掌長は震災の前年に金華山を訪れた際、このサンファン号をぜひ見たかったが、時間の都合で「石ノ森萬画館」を優先させた。
今度はぜひ、サンファン館を訪れたい。
余談だが、仙台南部に「金山温泉 支倉旅館」がある。
支倉常長の末裔が営んでいるそうだが、数年前に温泉達人会の飯出代表とI氏の3名で訪れた。
ここのお湯は絶品であった。
堕落しそうなほど「ヌル湯」で、いつまでも入っていたいと思わされる。
しかしながら、そんな同胞が多いのであろう、「入浴は1時間まで」との貼り紙がある。
浴槽も狭いので、譲り合うマナーが必要だ。
入って数分、無数の気泡が体に纏(まつ)わりつく。
その忘れがたい感触が、再訪の想いを誘った。