ブルートレイン全廃を惜しむ

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2013年11月11日 04:57

これまで、列車で幾つの朝を、迎えたであろうか…

小学生の時、初めて一人で夜行列車に乗ってから、列車で夜を明かすことに最も旅情を抱いてきた。

眠れぬ夜は過ぎ去る街の灯りを見つめ、目覚めれば見知らぬ土地が出迎えてくれた。
レールの繋ぎ目を踏む走行音と、心地よい揺れ具合は、心休まる空間でもあった。

ときに、貸切のような車内では、寂しさと怖さを感じた夜もあった。
とくに山中を走る区間では、車窓に流れる灯りもなく、減灯された車内で何者かに見つめられているような錯覚もあった。

それでも、この列車には運転士さんと、運行を守る車掌さんがいる心強さもあった…

時は流れ、いまや乗りたくても、毎春廃止されてきた夜行列車は、遠い存在になってしまった。
もはや座席車を連結する定期夜行列車は、急行「はまなす」の1系統しかない。

そんな寂しい状況下、先週の新聞で「ブルートレイン全廃」の知らせを目にしてしまった。

寝台特急「あけぼの」が来春廃止になることは、時間の問題だと覚悟していたが、今でも高い人気の「北斗星」や「トワイライト・エクスプレス」、「カシオペア」までもが、あと2~3年で姿を消してしまうとは、何かの間違いであってほしかった。

特に、「北斗星」は車体が青い塗装の"ブルートレイン"と呼ばれ、国鉄時代の面影を色濃く残す列車…
「あけぼの」も同様であるが、「北斗星」も2015年度末に廃止されることで、日本からブルートレインと名乗れる寝台特急は全て姿を消すことになる。

新聞では多客期に臨時列車として運転する旨が書かれていたが、それは1シーズンぐらいの措置であろう。
一度廃止されたブルートレインが、臨時で運行され続ける前例はないことが物語っている。

航空運賃も安くなった
新幹線網も充実した
安価で良質なビジネスホテルも沢山できた

これらを列挙してみて、日帰り圏の拡大と夜間に移動する意義の薄らぎを実感する。
その日のうちに目的地へ着いて、ベッドで休み、翌朝家でするのと同じ身支度ができるなら、そちらを選択する方が当たり前であろう。

また、夜間に移動する足としては、過剰に発達した高速道路網が、東京と地方都市をダイレクトに結ぶ強みを発揮する夜行高速バスに費用面で軍配が上がる。

どんなに贔屓(ひいき)に鉄道の魅力を加味しても、時間効率と快適性を志向する現実社会では、割高なJRの夜行列車や寝台特急には勝ち目がない。

もはや、「旅情」や「郷愁」などと言っている車掌長の方が、マイナー的存在であり、コスト意識に欠けた「邪魔者」なのだと自覚する。

そして、夜行列車の「旅情」を求めたいなら、今秋運行を始めた高額な「クルーズトレイン」をどうぞ。ということなのであろう。

ささやかな願いや夢として語れば、豪華な客室やエンターテイメントのような演出は不要なので、快適かつ清潔な車両空間で、リーズナブルに目的地に着ける移動手段があればと思う。
もし、そこに食堂車があれば、もう言うことはない。

仕事や通常の観光でも、夜を跨いで移動する時間の魅力や、意義を味わえる選択肢がほしいと願う。
忙しい時代だからこそ、非日常的なユルく移動する時間にこそ、「自分の時間」のリズムを整える、或いはリセットする効能があり、「癒し」や「リフレッシュ」という長い人生を楽しく過ごす仕掛けがあると思う…

 

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