立教大学×鳥羽市×近畿日本ツーリスト
カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2014年3月 6日 22:30
先日、街中の旅行代理店で見慣れぬパンフレットを目にした。
手に取ってみると、「三重県鳥羽の”ふところ”へ」というタイトル。
そして、よく見てみると「立教大学×鳥羽市×近畿日本ツーリスト」のコラボレーション企画とある。
この掛け合わせは、いわゆる産学官連携となるのかもしれないが、そんな堅苦しい表現は抜きにしたい。
この旅行商品は、立教大学観光学部3年の某ゼミの学生が企画したもので、学生ならではの新鮮な視点が興味深い。
そして、旅行会社の企画のプロが、本来の旅行の醍醐味を商品化できないような隙間、或いはヒットを狙う余りに躊躇してしまうような切り口を、見事に具現化したと思う。
車掌長は、各旅行会社の既存の総花的(そうばなてき)なパッケージツアーよりも、この学生たちが生み出したオリジナルツアーに、「ツーリズム」としての魅力を感じる。
それは単なる物見遊山(ものみゆさん)ではない、現地の人々との触れ合いや、伝統文化・職業への理解、非日常的環境に身を投じる、知的好奇心を満たす愉しさが期待できる。
欲を言えば、もう少し近畿日本ツーリスト(以下KNT)の腕の振るいようがあっても良いかな…と思った。
具体的には、せっかくKNTの強みを生かせる地域なのだから、アクセスの選択肢で近鉄の人気特急「しまかぜ」を優先的に予約できたり、提携宿泊先でのオリジナル特典を充実させても良かったであろう。
しかしながら、このような学生の企画に手を差し伸べ、チャレンジすることは、KNTならではの素晴らしい社風だと感じる。
ヒットするかどうか、そんなちっぽけな話は二の次。
たとえ第一打席が芳しくなくても、このシリーズで他の地域も手掛けてほしいと願ってしまう。
日本全国どこへ行っても、旅先で日常と変わらない大手チェーン店を目にしたり、安易なB級グルメを名乗るご当地名物もどきを食されたり、商品化されたゆるキャラを追いかけるような旅行は、食傷気味だ。
むしろ、日本人の祖先が大切に育んできた、その土地にしか存在しない「本当の」味覚や文化、芸術、景観、絆を実感できることが、いつまでも心に残る豊かな「旅」なのだと思う…
そして、そのような旅の蓄積こそが、グローバル社会において本来は必須となるはずの、他者を理解する「多様化」を身に付けられるのだろう…
がんばれ!立教大学観光学部の学生たち