時刻表は本屋で買う

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2014年7月 5日 05:40

毎月下旬になると、34年余り続けている習慣がある。

自宅最寄りの本屋で日本交通公社(現JTB)の時刻表を買う、という楽しみだ。

子どもの頃からある、中規模の本屋。
当時、500円札をポケットにしまい、書店で手にする時刻表に心の高揚を味わってきた。

時刻表は、年極(ねんぎめ)、いわゆる年間購読をすると、1ヵ月分が無料になる割引制度が当時からあり、自宅や会社等に郵送されることは知っていた。
個人で毎月時刻表を買う人は、稀であろうが、出張等の多い官公庁や会社の担当部署では、重宝したであろう。

しかしながら、車掌長は自分の足で本屋に出向き、本屋で所定の場所に積まれた時刻表と出逢い、「この手にして買う」という行為を、子どもながらにときめき、今まで大切にしてきた。

最近では、インターネットでほぼ何でも買える時代。
自宅に居ながら注文でき、早ければ翌日には届いてしまう。

特に、重たいモノや大きいモノなど、店で買って持ち帰ることが困難であったり、制約がある買物であれば、こんなに便利なサービスはない。

ただ、本について言えば、それには疑問符が付いてしまうのが、車掌長の所感…

今朝の新聞で、某ネット通販大手の書籍販売における学生向けポイント還元サービスを巡り、ある出来事が起きていることを知った。

それは、都内の出版社数社が、そのポイントサービス停止を求め、当該ネット通販業者への書籍出荷を取り止めているという記事であった。

そして、この動きを応援しようと、首都圏で店舗を展開する老舗の某大手書店が、その数社の書籍を集めたフェアを店頭で行っているという。

この動きの背景には、全国にある書店が、もの凄い勢いで減っている現状と、「再販制度」によって中小の出版社の書籍を販売する場を守るという、狙いがあるとのこと。

再販制度とは、本の定価を小売業者が維持する仕組みによって、著作権の保護などを目的に、他にも音楽用CDや新聞、雑誌等に独占禁止法の例外品目として認められているそうだ。

この場で、それ以上のことには触れないが、車掌長も近所にあった個人経営の本屋や、地方の駅前や賑やかな商店街など、人の往来の多い場所に必ずあった本屋が、消えてゆく姿を寂しく感じる…

本屋は文化をその町に届ける、窓口、玄関であったように思う。

ただでさえ、地方の市町村の人口が、その道府県の中核都市や東京都に流失している昨今、ネットで自宅で買い物ができるなら、中小規模の本屋が生き残るのは、極めて困難だと感じてしまう。

新聞を読み進めたら、フランスでは先月、前述の某通販大手のような書籍の無料配送サービスを禁止する法案が可決されたそうだ。

小規模書店を「文化の担い手」と位置づけ、保護するのが狙いとのこと。

イギリスはモノを大切にする国…
フランスは文化を大切にする国…

日本は何を大切にする国なのか…

多少の便利さを後退させてでも、お金で買えない「こころ」を、大切にする国になってほしいと考えた。

 

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