三笠鉄道トロッコ体験(哲×鉄車掌区慰安旅行)

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2014年8月20日 04:17

4時頃に目を覚まさせ、ある景色を楽しむために、12号車のラウンジカーへ向かった。

この時間帯は進行方向が変わり、12号車が最後尾となるため、後方展望が誰でも楽しめるからだ。
12号車の扉が開くと、既に10名ほどの先客がいた。

青函トンネルを抜けると、心配していたお天気は良好で青空が見えた。
ラウンジにいた客はみんな、後方展望を思い思いに写真に撮っていた。
北海道新幹線工事の進捗状況もうかがえ、新しい駅らしき構造物も確認できた。

昨夜の福島県内での大雨の影響で、1時間ほど遅れているようで、函館には6時過ぎに到着。
慌ただしく機関車を付け替え、すぐに出発。ここで進行方向が再び上野を出た時に戻る。
隣のホームには、後で追い抜かれる特急ス―パー北斗が出発を見送ってくれた。

函館を出て間もなく、朝食となる駅弁を車内販売で調達した。
朝日に輝く噴火湾を車窓に、3人で朝食。
個室内はまだベッドの状態とし、狭いながらも車掌見習がウロウロするには好都合であった。

専務車掌に昨夜は眠れたか確認すると、答えは「No」!
寝相の悪い車掌見習が、ベッドから落ちないようブロックするのに何度も起きたという。
朝食後、札幌へはまだ時間があるので、車掌見習と車内探検に出かけ、しばし眠れる時間をとってもらった。

10:45、遅れは取り戻せないまま、カシオペアは札幌駅に到着。
ここからは、レンタカーでの行動。
先ずは、今日の観光スポットを目指し、道央自動車道へ入った。

観光スポットとは言っても、市販のガイドブックに取り上げられるような場所へ行くことは稀だ。
日常が喧騒の中にいるせいか、旅行に来てまで人混みやモノを売ることだけに熱心な商業施設には、極力距離を置きたいと願っている。

そうなれば、「○○ぶ」や「○っ○る」などの大手ガイドブックに取り上げられるスポットは、自ずと対象外となってしまうことが多い。

特に、ここ10年ほど前からか…ガイドブックのクオリティの低下には目を背けたいものがある…
広告がメイン?!と思うような、いわゆる「PR誌」化だ。

自然景勝や歴史・文化的施設、伝統の味覚等といった、本来の旅の醍醐味は二の次のように肩身の狭い掲載スペースしか割かれず、流行り廃りの激しいグルメや新店舗、その土地との縁や由来とを、無理やりこじつけたようなキャラクター商品の紹介が幅を利かせている。

言い換えれば、それらが今の旅行者の「ニーズ」なのかもしれない。
しかしながら、「ニーズ」は流行と同じで、恣意(しい)的に作られるものだと常々思っている…

そのような、商業的に作り出される旅行の「楽しみ」や「目的」を、多くの人は同じ情報源(ガイドブック)を頼りに旅をしていることになるであろう。
また、巻頭で特集されるようなスポットには、人が偏って集まるという現象が起きるであろう。

そして、人々はそうした混雑するスポットを訪れて「安心」するのだと感じてしまう…
だが、渋滞や駐車場待ち、行列、人混み、喧騒etc…疲労感と引き換えに得た「想い出」の賞味期間が、いかほどのものかは疑問だ。

つまり、時間を消費しただけの観光というものは、記憶から消える時間も意外に短いのではないだろうか…

話が脱線したが、哲×鉄車掌区では、そのようなスポットとは無縁な三笠市を訪れた。
ここには、廃線となった旧幌内(ほろない)線の一部を、自分でトロッコの運転を楽しめる施設があり、以前から訪問を楽しみにしていた。

知る人ぞ知る「人気スポット!?」と思っていたが、哲×鉄車掌区以外に、別の親子3名の計2組しかいなかった。
待ち時間無しで、ワクワクする体験が始まろうとしていた。

哲×鉄車掌区では、受付場所からトロッコ乗り場まで500mほどあるというので、送迎をお願いした。(別料金)
これがまた愉快!
タイで三輪タクシーとして使われる「トゥクトゥク」であった。タイからの直輸入とのこと。

乗り場へ到着すると、トロッコ運転操作の入念なレクチャーがあった。
片道2.5㎞のコースには、勾配があったり、踏切が7ヶ所あるという。
特に、踏切ではトロッコ側に一時停止の義務があるそうで、必ず停まるよう何度も念を押された。

座席は前後2列で、前に同乗者、後が運転者となる。
運転操作自体はシンプルで、自転車に乗るような感覚で、ハンドル右手にアクセルレバーがあり、ブレーキは股の間に棒状のものがあって、それを上に引っ張り制止させる。

エンジンをかけてもらい、いざ出発!
徐々にアクセルレバーを開くと、ゆっくりと前進を始めた。
この感覚と、音、振動、視界、風…どれも想像以上に興奮してしまった。

1987年まで実際に使われていたレールの上を、自分で運転するトロッコで走る醍醐味は格別だ。
木立を抜けると1つ目の踏切があり、徐行開始。
ブレーキを早め早めにかけないと、停止線で止まれないという係員の説明を、実際の感触で確認できた。

車が来ないか左右確認し、再びアクセルを開く。
コース上の踏切がアクセントとなり、停止&出発の操作が楽しい。

なお、アクセルは最大でも半分ほどしか開かなかった。
それでも速さは十分で、これ以上は同乗者が怖さを覚えるスピードになると判断した。
おそらく、この揺れ具合も、実際のスピードよりも速さを感じさせたのかもしれない。

気温25℃前後のカラッとした空気の中、屋根が無く簡易な柵のみの「ムキ出し」のトロッコで、風を受けて走る…
単調なレールの音と振動が気持ちよかったのか、車掌見習は眠ってしまった。

折り返し地点では、可愛いターンテーブルがあって、トロッコを方向転換。
来た道を再び戻るが、復路はずっと下り坂で、更に慎重なブレーキ操作が求められた。

帰りは周りの景色を眺める余裕もあった。
炭鉱で栄えた頃の独特な集合住宅など、「ヤマ」の面影の断片を垣間見た。
このレールの上を、採掘された石炭を満載にした貨物が走り、北海道の主要港湾とを結んでいた歴史に想いを馳せた…

かくして、30分ほどの往復5㎞の夢のような体験は、あっという間に終わった。
このような廃線跡を活用しての施設運営には、様々なご苦労があると察するが、三笠トロッコ鉄道の皆様には心から感謝したい。

ちなみに、このトロッコ体験は自動車運転免許証が必要で、運転者は1,500円、同乗者は1,200円であった。
 

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