いい日旅立ち・Twilight Express(最終章)

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2014年12月28日 04:50

食堂車が連結されているのも、トワイライトEXPの魅力の1つ。

ダイナープレヤデス(食堂車)は3号車にあり、南千歳を出発する頃から営業を始める。
そして、16:00までの時間帯がティータイムとなる。

車掌見習を連れてのフランス料理のディナーは、想像しただけでもゾッとしてしまう…
ゆっくり味わえないどころか、周りのお客さんへの気遣いや、実際に間違いなくご迷惑をかけることを想像すると尻込みしてしまったので、このティータイムは貴重な利用時間だ。

いまや日中に食堂車を利用できるのは、日本で唯一、このトワイライトEXPのみ…
まずは専務車掌とサッポロ・クラシックを注文し、乾杯!

やがて、日本の鉄道で最も長い直線区間(沼ノ端~白老)へと列車は入り始めた。
厳密には途中駅での分岐部分に曲線もあるが、28.7㎞の直線区間は、さすが広大な北海道と実感。

空席を待つ他のお客さんもいなかったので、つい1時間弱も長居してしまったが、数量限定のスィーツもいただき、至福な時間を過ごすことができた。

札幌を出発して2時間が経とうとする頃、やっと今宵の居室へと戻った。
車窓は夜への準備を始めたようで、早くも薄暗くなっていた。

今回はB寝台コンパートメントと呼ばれる、上下2段の寝台が向き合った4名用の区画。
この4名分の切符が取れると、廊下との仕切りにガラス戸やカーテンもあり、個室化できる。

トワイライトEXPであれば、最後尾展望が楽しめる「スィート」や、優雅な個室「ロイヤル」での"一夜の主(あるじ)"になりたいところだが、その切符は99.9%入手不可能…

また、子連れで荷物も多いと、B寝台個室(2名用)での添い寝はかなり窮屈なので、今回の旅の趣旨としては、ベストなチョイスだったと思う。

更に、このような国鉄時代の面影を色濃く残す寝台設備に、専務車掌や車掌見習にも乗せてあげられたことが嬉しくもあり、なんだか誇らしかった。

まもなく、本日最後の停車駅「洞爺」に到着。
ここで後続の特急列車に道を譲るため、暫し停車。のんびり記念撮影をしたりホームを散歩した。

洞爺駅を出ると、注文しておいた夕食の「日本海会席御膳」が部屋に運ばれた。
大きな箱御膳は一善ずつ丁寧に包まれ、温かいお吸い物も付いていた。

ここで、自宅から持参したCAVAを開栓し、祝杯!
乾いた喉に心地よく、スペイン産のスパークリングワインが通過していった。

御膳の料理は、どれもお酒の杯が進む肴ばかりで、酔いの走りも速い。
そんな頃合いに、記念グッズを満載した車内販売のワゴンが部屋の前で止まった。

こんな気が大きくなっている時に、限定グッズ販売が訪れるとは見事な算段だ…と思いながらも、車掌長にとっては高額な品にもついつい手を出してしまった。

車掌見習はパジャマに着替えて、下段の1つを占有して眠っている…
大きくなった頃の記憶に残るはずもないが、せめて、このような寝台列車に乗ったという想い出を残してあげたく、パチリパチリと様々なアングルのベッドで眠る車掌見習を撮り、眼を細めた。

車掌長は独り、廊下に格納された椅子を引き出し、暗闇の車窓を眺めた。
子ども時代から馴染みのこの椅子の座り心地…

とっても懐かしいが、これで座り納めだなぁ…と、座面の生地を撫でながら感謝し、これまでの功績を礼賛(らいさん)した。

翌朝6時、予約しておいたシャワーを浴びに4号車へ。
ちょうど、ツアー参加者の朝食時間も同刻だったようで、同じバッジを付けた人々が狭い車内を3号車へ向かって大移動していた。

一般客の朝食は3部制で初回は6:45~だから、ツアー客は番外であることを知った。
哲×鉄車掌区一行の朝食時間は8:20開始だったが、食堂車に入ると「○○クン、おはよう!」と、車掌見習の名前を言って出迎えてくれた。
これはとても嬉しい一言であった。

金沢駅を出ると、車内で朝刊が購入できる。
早速、部屋でコーヒーを飲みながら紙面に目を通した。列車内でありながら、ホテル滞在のような快適さだ。

敦賀駅では、機関車付替えのため、最後の長時間停車。
ここでは食堂車のスタッフが、記念撮影の手伝いをしてくれ、1号車スィートの車体に施されたトワイライトEXPのエンブレムの前は順番待ちの盛況ぶりであった。

哲×鉄車掌区一行も、トワイライトEXPの車掌と一緒に記念撮影をしていただいた。

敦賀駅を出発する際、部屋へは戻らず4号車のサロンへ向かった。
ここはぜひ見ておきたい「鳩原ループ線」の眺望を、大きな車窓から楽しみたかった。

勾配をかせぐために大きな弧を描いてトンネルを抜けると、ほぼ一周した形になり、その下方にはついさきほど走った線路が見えるポイントであった。

やがて列車は、琵琶湖の西岸を走りはじめ、いよいよ旅の終わりが近づいてきた…

最後の停車駅である新大阪駅を出ると、昨日札幌で聴いた"いい日旅立ち"のメロディが流れた。

12月12日、12時53分、定刻に大阪駅着。

走行距離1,508.5㎞、所要22時間48分。
名実ともに憧れの日本最長距離列車「トワイライトエクスプレス」の旅は終わった…
 
もう逢うことのできない緑色の車体に、感謝と惜別の念を込め、列車を見送った。
 

コメントお待ちしてます!

コメントはこちらからお願いします

名前

電子メール

コメント