いい日旅立ち・Twilight Express(序章)

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2014年12月14日 05:46

♪いい日旅立ちのイントロが車内に流れ響く
次第に胸が高まり、熱い想いが込み上げる…

「今日はトワイライトエクスプレスにご乗車いただきましてありがとうございます。皆様の夢を乗せまして、トワイライトエクスプレス、札幌駅を発車いたしました。」と、旅情たっぷりな素敵なアナウンス。

憧れの名列車、臨時寝台特急「トワイライトエクスプレス」の旅立ちは、いとも劇的であった。
それは、来春廃止されるという感傷的な心持ちも後押ししただろう…

また、乗車に必要な切符入手の困難さこそが、乗車の正夢の実感を増幅させたことは否めない。
この名列車は、まず乗車手段の確保からドラマが始まるのであった。

トワイライトエクスプレスは、1989年の運行開始から25年を経ても、寝台券が手に入らない列車として有名であったが、廃止が発表されてから、その困難さは異常なほど過熱していた。

そんな憧れの寝台列車に、車掌長は哲×鉄車掌区で是非乗っておきたい…と、夏の終わり頃からその対策を練っていた。

旅行会社のツアーに申し込んだり、オークションで競り落とせば、比較的簡単に乗車の夢は叶うが、なにぶんにもそれは、高額であったり、本意ではないので、正規購入にこだわった。

ここで述べる正規購入とは、JR駅のみどりの窓口で発売1ヵ月前の10時ジャストに、希望する列車の予約を端末で叩いてもらうことだ。

よく2日前にキャンセルが出やすいと言われるが、その時点で車掌長の本来の仕事や、専務車掌のスケジュールなどを調整するのは100%不可能なので、1ヵ月前に賭けるしか方法はなかった。

11月に入り、仕事のいとまが取れそうな日を確認し、その1ヵ月前に駅へ通う日々が始まった…
と言っても、1ヵ月前の10時は仕事の真っ最中なので、事前申し込みが可能な駅に並ぶ。

某駅では7時に窓口が開く際、先着順で10時発売に対応してくれるので、毎回5時半頃に並んだ。
6時では先客がいるのを事前にリサーチした結果だが、幸いにもいつも「1番」を確保できた。

最初は個室確保を希望していたが、全くダメ。
勤め帰りに淡い期待を抱き、窓口脇にその日の予約結果が○×で示された表を見ては落胆した。

仕事が立て込み、事前対応の先着順に並ぶこともしばらくできなくなる日、或ることを試みた。

それは、個室ではない4名用のB寝台コンパートメントを取り、実質的に個室化すること。
4名分取れれば、通路と寝台区画とはガラス戸や、カーテンもあり簡易個室となる仕様であった。

そして、人気の高い下り(大阪発)と、下りよりは取りやすいと言われる上り(札幌発)の双方が運転される日の札幌発に、一縷(いちる)の望みを賭けてみた。

その日は急な仕事も入り帰宅が遅くなり、わざわざダメな結果を見に駅まで行くのも躊躇したが、しばらく並びに行けないので、けじめをつける想いで残念な結果を確かめに駅に行ってみた。

中に入らず、外から窓越しに表を見て目を疑った…
1番の欄に〇印!

慌てて、引換券と財布を取りに戻り、再び窓口へ向かった。

窓口の人に、その人が予約を取ってくれたわけでもないだろうが、二度三度、お礼を言った。
そして、端末から発券された4名分の寝台券を手にした時、あたかも床から数センチ浮上したような、リニアな不思議な気分になった。

トワイライトエクスプレスに乗るための大障壁を乗り越えた、大感動の瞬間であった…
 

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