いい日旅立ち・Twilight Express(第3章)

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2014年12月23日 05:25

宿泊はフランス資本のホテルチェーンであったが、ホスピタリティの良さは一筆残しておきたい。

と言うのは、夜中に車掌見習がお粗相をしてしまい、急遽洗濯したい事態となった。
部屋のホテル案内を見たところ、館内にコインランドリーは無さそう…

朝食前に念のためフロントで尋ねると、やはり館内には無いとのお詫び。
その直後、近所のコインランドリーであれば…と案内してくれた。

お願いするとすぐに、住宅地図のような路地までわかる詳細な地図の複写に所在を印してくれた。
そして、この時間でしたら、もう営業しています、と教えてくれた。

地図を片手に部屋のランドリーバッグをぶら下げて、不慣れな町を歩いた。
4~5分の距離ですと言われたが、歩道は雪で凍っており、なかなかスタスタとはいかなかった。

しかしながら、このような時間がなんとも「旅」らしくて良かった…
思いもしない出来事で、自分の頭の中になかった行動をしていることが愉快であった。

そして、詳細な地図を良いことに、面白がって車の通らないような路地裏の道を選択して目的地を探した。
やがて、某マンションの駐車場の裏から、目指すコインランドリーを発見し到着!

最新の機械で指示通り従い操作してゆくと、最後に携帯番号の入力を勧められた。
これは、出来上がったら自動音声で知らせてくれるという。すごいなぁ…と感嘆。

帰りは地図をポケットにしまい、来た道を戻った。
そろそろ出勤や通学の時間帯で、スーツ姿や学生服の人々が家々から出始めた。

朝食はバイキングスタイルで、種類も豊富で楽しかった。
特に、札幌が発祥のスープカレーが美味で、ついつい3杯も食してしまった。
車掌見習は、最近食べられるようになった納豆ごはんを頬張り、口の周りをネバネバ。

そうこうしていると、携帯が振動して洗濯が終わったことを知らせてくれた。

このホテルのチェックアウトは11時。
トワイライトEXPの出発は14時過ぎ、特に観光もしないのでなるべくホテルで過ごしていたい。
フロントで尋ねたら、1時間くらいでよろしければ無償でチェックアウトを延長しますとのこと。

子連れで荷物も多い一行にとっては、大変ありがたい返答であった。

タクシーを呼んでもらい、札幌駅へと向かう。
通り道だったので、時計台に立ち寄ってもらった。

時計台は行ってみるとガッカリさせられる…とよく聞く…
実際、タクシーの運転手も「えっ!?時計台ですか?!」と聞き返された。

しかしながら、札幌といえば「時計台」。
札幌市民憲章の前章にも「わたしたちは、時計台の鐘が鳴る札幌の市民です」とあるほどだ。

記念撮影をしようと車から降りると、ちょうど鐘が鳴り始めた。
時計台の針が正午を指し、札幌農学校時代と変わらぬ歴史の音を響き渡らせた。

その重厚な鐘の音は、周囲の味気ないビルを見ないように目を閉じれば、ヨーロッパの街並みにいる錯覚に誘われる…

偶然にも鐘の音を聴け、良い気分で札幌駅に到着。
どこかで昼食でも…と考えたが、駅ビル内の飲食店はどこも人で溢れ落ち着かなかったので、予定を変えて38階のJRタワー展望台に昇ってみた。

下界の喧騒は皆無で、ほとんど人がいない天空の空間は、まさに別天地。
薄曇りであったが視界は良好で、遠くは日本海沿いに小樽方面まで見渡せた。

喫茶スペースもあったので、ここで車掌見習は持参のランチ。
しばらく、静かな時間を過ごし、トワイライトEXPとの出逢いに心の準備を整えた。

13時過ぎ、再び下界へ降り昼食を調達。
改札の出発案内を見上げると、「寝台特急トワイライトエクスプレス 14:05 大阪」の文字が、ひときわ輝いて目に映った。

この瞬間、本当に憧れの列車に乗れる確証を得た心持ちになれた。

逸(はや)る心を抑え、出発ホームとなる4番線へと上がった…
 

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