特急が来なくなった駅

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2015年3月14日 05:55

金沢6時00分発、「かがやき500号」が間もなく出発する。

北陸新幹線開業の一番列車だ。
新聞やテレビは、お祝いムードに満ち溢れ、その喜びや賑わいを伝えている。

無論、この日を待ちわびた北陸の方々の「悲願」は達成され、心から祝うべき日と言える。
今日から、首都圏と金沢は最速2時間28分、富山は同2時間8分で結ばれる。

「速い」…

かつて、在来線の特急「白山」が碓氷峠を越え、金沢まで6時間余りを要した時代を知っている者にとっては、驚愕的な速さだ。
また、寝台特急「北陸」や夜行急行「能登」が一夜をかけて走った道のりも、もはやその必要性がない時間的な距離になってしまった。

一方、北陸新幹線開業の陰で、日々の暮らしの利便性を損なわれる駅や地域があるのも忘れてはならない。

例えば、富山と金沢の間にある高岡駅。

新幹線の駅も新設されたが、従来の駅とは離れた場所にある。
そして、従来の駅はJRから第3セクターの鉄道会社に移管され、昨日と今日とでは全く違う駅になってしまった。

最も変わってしまったのが、特急がなくなったこと。
昨日までは、大阪、名古屋、新潟を直通で結ぶ特急や、越後湯沢経由で東京へ連絡する特急が、ひっきりなしにホームに滑り込み、寝台特急「トワイライトエクスプレス」も停車する賑やかで華やかな駅だった。

しかしながら、今日からは特急が1本も通らない駅となってしまった。

特に、今まで乗り換え無しで大阪、名古屋方面へ直通し、それぞれの朝一番の特急に乗れば、両都市に9時前には到着できた。

今後は、新幹線で金沢駅で乗り換えても、その時間には到着できない。
また、日常の通勤通学で利用する人々の運賃も値上がりとなる。

北陸新幹線の開業で、首都圏との結びつきは飛躍的に高まり、強まるだろう。
そして、そこを往来する人々に限っては、利便性が向上し良い話であっただろう。

ただ、それは日常をそこで暮らす人々の利便性も保持されたり、向上することと同時進行でなければ、諸手を挙げて良い話とは言えないと思う…

高岡に限らず、新幹線の速達タイプの列車が通過する駅は、どこも同じような課題や問題を少なからず抱えていることだろう。

願わくば、並行在来線はJRのまま、今までの利便性を確保した上で、北陸新幹線の開業も迎えられたなら、どれほど良かったかと思ってしまう。

そうすれば、トワイライトエクスプレスも、車両老朽化という表向きの廃止理由ではなく、もう少し長く北陸本線を走ることができたかもしれない。

JTB時刻表3月号の北陸地域の頁を眺めながら、一抹の寂しさを感じるダイヤ改正の朝であった。
 

コメント(2件)

ちゃべさんからのコメント(2015年3月14日 07:41投稿)

おはようございます。
ご無沙汰をしています。
昨夜、家族で高岡駅へ特急列車にさよならをしてきました。
帰宅してから、哲さんのHPを開きましたが、コメントかけないまま、寝てしまいました。
起きてから、また書こうと思っていたら、
北陸本線関連の記事。
嬉しいです。
今朝のこちらの朝刊は、お正月かと思うくらいに分厚いです。
今、はくたかの1番列車が金沢に到着したそうです。
東京に、かがやきの1番列車が着くころは、職場に行かなくては。
コメントは、このあたりで途中下車させていただきます。
失礼しました。


車掌長さんからのコメント(2015年3月14日 14:58投稿)

ちゃべ 様

このたびは、「哲×鉄」ブログ本線にご乗車いただきまして、ありがとうございました。
ご出勤前の忙しい時間に初のご乗車、とても嬉しく思います!

そして、そちらの新聞が「お正月かと思うくらいに分厚いです」との表現は、開業の祝賀や慶びがストレートに伝わり、とても素晴らしかったです。

昨日は、ちゃべさんご家族で、特急列車往来の最後を見届けたとのこと、その惜別の想いに共感いたします…
子鉄(!?)のK君もさぞかし、もう特急の来なくなることを不思議に思ったことでしょう。

高岡駅は、旧北陸本線と城端線、氷見線、万葉線が乗り入れる交通の要衝です。
もちろん、今も鉄道会社がJRから移管されてもその線形に変わりはありませんが、各方面からの特急が通らなくなったことは、北陸新幹線開業のデメリットかとお察しします。

車掌長は、高校2年の夏に、初めて高岡駅で降りて城端線や氷見線に乗りました。
当時は両線とも、まだディーゼル機関車が客車を牽く列車が残っており、気の向くまま、砺波や雨晴(あまはらし)で途中下車しました。

特に、氷見線の雨晴海岸は大好きになり、数年後に祖父母や父母と家族旅行で再訪し、構えの立派な民宿にも泊まりましたし、高岡の大仏様にもお会いしました。

また、「高岡」という駅名を初めて知ったのは小学生の頃で、「藤子不二雄」の両氏が漫画家を志し、故郷である高岡から夜行列車で上京するシーンを漫画で見た時でした。

世界的なアニメである「ドラえもん」をこの世に誕生させたお二人の旅立ちが、この高岡駅だったことは、大変感慨深いことです。

末筆ながら、ぜひご家族皆さんで東京へも遊びにいらして下さい!
ちゃべさんご家族の人数でしたら、当車掌区でお泊りいただけます。
その際の宿泊料は、「ホタルいかの素干」でお願いいたしますネ(笑)

これを機会に、ぜひ、またのご乗車をお待ち申し上げます。

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