ゆずの宿(哲×鉄車掌区慰安旅行)

カテゴリー:⑥番線:温泉方面 2015年8月17日 05:15

車を香美市から北川村へ向け走り始めた。

北川村と聞いて高知のどこにあるのか、わからない方も多いだろう。
ざっくりと地図上の位置で言えば、高知県東端の室戸岬の左斜め上辺り。

阪神ファンの方なら、安芸市の右斜め下辺り…と言えばわかりやすいだろうか。
安芸市は1965年から、阪神タイガースのキャンプ地として知られている。

その北川村では、車掌長のお目当てが2つあった。

1つ目は、「北川村モネの庭マルモッタン」を訪ねること。
2つ目は、「北川村温泉ゆずの宿」に泊まること。

モネの庭と言えば、本家はフランスのパリ郊外にあるジベルニー村にある「モネの家と庭」だ。
ここは、印象派絵画の巨匠"クロード・モネ"が晩年を過ごした家がそのまま残り、モネが丹精込めて手入れした庭が今も大切に継承され、モネが見た景色を味わうことができる。

そんなモネの庭が、世界にもう1つ、高知県にある。
それが「北川村モネの庭マルモッタン」だ。

門外不出の「モネの庭」の名称が、なぜ、高知県の一村に贈られることになったのか…

当初は、工業団地の誘致をするはずだったが、挫折し失敗に終わったそうだ。
そこで考えを180度転換。モネの庭造成に向け、本家ジベルニー村との交流を図ったことがきっかけだったという。

一方、「ゆずの宿」は、元々は隣の馬路(うまじ)村にある馬路温泉に泊まる予定だったが、付近を色々調べていた際に、グッと心を惹きつけられるロケーションにあることを知り、宿泊先を変更した。

そのロケーションについては後述するが、もう1つここに今夏泊まりたかったのは、8月末で一旦営業を終え、約1年かけて建て替えると知ったのも大きな理由となった。

香美市から北川村へは、約2時間とナビが所要時間を計算してくれた。
とても親切だが、なんと面白味のない便利さだろう…

普段、仕事で使ったり、わかりづらい住宅街や商業地域のようなピンポイントな目的地に辿り着くのには大変ありがたいツールだが、旅行に来てまで、時間的な拘束を指図されているようで、不愉快に思えた。

目的地への大雑把な道順は頭の中に入っている。
あとは、偶然の出会いや意外性を求めたく、ナビの案内をキャンセルした。

ナビは切っても、ダッシュボードのモニターに地図は表示される。
縮尺を思い切り広域にしたら、南東に向かっている室戸岬を目指して北上している体裁になった。

地図は「北が上」にあるのが、車掌長の常識だが、この地図を見てオーストラリアで見た世界地図を想い出した。
それは、南北が逆さまになった地図で、観光用に売られているものだが、これはこれで常識の世界観から抜け出られるような新鮮な面白さがあった。

モネの庭には、昼前に到着。
入園窓口の男性が、午後になると睡蓮が閉じてしまうので、先ず「水の庭」へと教えてくれた。

ほぼ南中となった太陽は、容赦なく頭上から照らし、全身の汗腺から汗が噴き出す感覚…
水の庭へは坂道が続いたが、木陰は随分と涼しく感じられた。

いざ、水の庭に到着すると、可憐な睡蓮を確認できた。
花が閉じつつある睡蓮もあったが、モネが夢見たという「青い睡蓮」を見ることができたのは良かった。

青い睡蓮は、モネがジベルニー村で咲かせたいと願いつつ、咲かせることができなかった花…
ジベルニー村は夏が涼しく、青い睡蓮は熱帯性のため、咲かせることができなかったそうだ。
北川村では、開園初年の夏から咲かせることができたという。

他の色の睡蓮と違うのは、花の咲く位置が高いこと。
茎が真っ直ぐ伸びた先に、凛として咲く一輪の青い睡蓮は、エーデルワイスを連想する。

エーデルワイスは「気高き白」という意味で、オーストリアの国花である。
高山植物なので街中には存在せず、危険な崖下などに自生するそうだ。

そんな花を愛の証明として、命懸けで採取し女性に捧げるというエピソードもあり、オーストリアではプロポーズに贈る花として男性の人気アイテムでもあるとのこと。

青い睡蓮は平地の水辺に咲くが、その凛とした姿に不思議な気高さを感じるのは共通だ。

猛暑の中、その気高き青い花は一服の清涼感を与えてくれたが、さすがに車掌見習も暑さに嫌気がさしたか不機嫌になり、涼を求めてレストランへ向かった。

食後、同じ敷地にあるパビリオンという施設で、「魚梁瀬森林鉄道ジオラマ展」が開催されていることを知り、立ち寄った。
館内は冷房が効いて、木製の森林鉄道を模したレイアウトがあり、車掌見習がすぐに遊び始めた。

館内にはこの地域で昭和30年代まで活躍した森林鉄道を紹介。
パネル展示や貴重なビデオを上映しており、車掌長もそれらに食いついてしまった。
なぜなら、この森林鉄道こそが、北川村で泊る大きな理由だったからだ。

一通りの展示を見たところで、パビリオンを後にした。
いよいよ、ゆずの宿に向かうが、途中で工事の為、30分ほどの時間通行止めに出くわした。
こればかりは仕方ない。聞くところによると、昨年の台風被害の復旧とのこと。

さて、これ以降の話は、温泉達人会が毎秋発行する会報9号をご覧いただきたい。
車掌長も毎年拙稿しているが、今年は「ゆずの宿」を紹介している。
子連れで楽しむ温泉の紹介も、これで3年目となる。

発行及び販売時期、購入可能書店については、追って哲×鉄でご案内したい。
 

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