雪のひとひら
カテゴリー:⑤番線:feel the season方面 2017年3月 1日 05:07
某新聞の書評の見出しにひかれた
それは「雪のひとひら」という本。
翌日、忘れないうちに書店へ赴き手にしたら、何やら温かな気持ちを抱いた。
車掌長は雪が好きだ
生まれが2月からかもしれない
自身でハッキリと雪が好きだと思ったのは、高校3年に上がる春。
友人4人と計5人で2週間程、北海道へ行った時だ。
初めて目にした流氷や、富良野の起伏ある雪原、某ユースホステルでの雪上運動会、夜行列車の車窓から飽きなく見た暗闇の中の雪…
そして、雪の結晶の神秘さ…
手にした瞬間、融けてなくなる儚(はかな)さは、まさにこの世の「諸行無常」であることを実感させられた。
また、雪は汚れを全て覆ってくれるヴェールのような、心にチクッと刺さったものを癒し隠してくれるような、そんな安心感を抱いたりもしてしまう。
さて、「雪のひとひら」は、片道30分余りの通勤電車1往復で読めてしまった。
文章はきわめて平易であり、小学高学年や中学生くらいが読む印象だが、その意味するところを理解できるのは、ある程度の人生経験があった方が、感銘を覚えると感じた。
女性の一生を、雪のひとひらに投影し、美しい自然の姿や心のときめき、それらを造りだした御方への素朴な疑問を描写し、女性が辿る一生の出来事を、淡々としながらも、読後、心に温かみを与えてくれる1冊であった。
自分がこの世に生まれてきた意味…
それは、終焉を迎えたとき、御方の一言でやっと理解できる。
今日から三月。
気持ちも新たに、車掌長も「雪のひとひら」を心の片隅に置いておこうと、白み始めた東の空を眺め思った。