水間鉄道 素晴らしきマイ・メモリアル・トレイン

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2018年3月18日 04:52

大阪府貝塚市にJTB時刻表と同じ「時」を刻み、走り続けるローカル私鉄がある。

この水間鉄道(みずまてつどう)は、営業路線5.5㎞と短いが、その歴史は長い。
1925年(大正14年)開業、つまりJTB時刻表の創刊年と同じだ。

両者は以来、90余年もの長い歳月をそれぞれに歩んできた。
一方は参詣の足として、もう片方は旅の計画・立案に必携な書物として…

かような双方の偶然となる、開業や創刊の一致を知り得たのは、昨秋のこと…
僭越ながら、車掌長の全く私的な50歳イベントを、自身で考え始めた頃だった。

色々な案が頭の中で浮かんでは消えたが、現実的なものとして閃(ひらめ)いたのは、列車の「ヘッドマーク」というものだった。

ヘッドマークは、昔から列車の「シンボル」であった。
ちなみに日本初のヘッドマーク掲出列車は、戦後間もない「つばめ」と言われている。

その後、特別急行列車などの優等列車には、その列車を象徴する「顔」として、ヘッドマークが機関車前面に取り付けられた。

車掌長の年代では、「さくら」「あさかぜ」などのヘッドマークを掲げ、電気機関車に牽かれるブルートレインが懐かしくもあり、それらの列車に乗ることを夢見ながら、時刻表のスジを追いつつ憧れた。

そして、切符代を貯めてハレて乗客となれた暁には、寝台列車にもかかわらず、昂奮して一睡もできずに、その独特な旅情を子どもながらに満喫したものだった。

そんな憧れの「ヘッドマーク」を、自分のために制作し、営業運転の列車に掲出してくれることを知ったのが、昨年のJTB時刻表9月号に掲載された巻頭特集の頁であった。

その特集で、全国で数社の私鉄がヘッドマーク掲出列車を走らせていることを知り、それぞれの会社を調べていたら、上述の水間鉄道とJTB時刻表との偶然の一致点を知るに至った。

早速、「哲×鉄」保線区土木係にヘッドマークのデザインを依頼、同時に水間鉄道にもヘッドマーク制作及び掲出列車運行の申し込みを行った。

そして、何度か水間鉄道のヘッドマークご担当の方とやりとりを進めたが、この御方の対応が大変素晴らしかった。

きっと、このヘッドマークを申し込んだ一人一人の記念や想い出を大切にしておられるのだろう…と察した。

車掌長も頻繁ではないが、色々な鉄道会社へ問い合わせをした際、昔ほどではないにせよ、まだまだ"ぞんざい”であったり、表面的にはマニュアル通り丁寧な言い回しだが、心の籠っていないのが明らかな対応も珍しくないのを痛感していただけに、この御方の対応は大変印象に残った。

そして、迎えた50歳当日の2月19日…
貝塚駅で「マイ・ヘッドマーク」を掲出した電車を見たとき、胸に熱いものが込み上げる感動や感謝の念を覚えた。

水間鉄道とJTB時刻表の長い歴史の中で、10日間という瞬(またた)きほどの時間ではあるが、車掌長のオリジナルヘッドマークとともに、伴走してもらえる喜びを実感したものだった。

終点の水間観音まで乗車し、折り返しの僅かな時間を使って記念撮影等を専務車掌、車掌見習と行ない慌ただしく貝塚駅に戻ると、新聞社の記者と合流し取材を受けた。

その場には、水間鉄道の鉄道部長T氏も立ち会って下さり、改めてヘッドマークに関する興味深いエピソードも聞くことができた。

その取材の模様は、朝日新聞夕刊(関西版)3月14日付に記事として掲載、ネット上でも一部分を見られるようだ。(※全文は有料記事のため会員向け)

末筆ながら、このような全く私的な50歳記念のイベントを支え、盛り立てて下さった、水間鉄道様と新聞社記者の御方に心より御礼申し上げます。

そして、その「顔」となるヘッドマークをデザインされた、「哲×鉄」保線区土木係のたくちゃんさんへ、深く厚く感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。

今後も、水間鉄道様におかれましては、色々な人々の「人生のひとコマ」を演出する"メモリアル・トレイン"として、大勢の方に愛される鐵道(鉄道ではなく、あえて鐵道とします)であられることを願っております。

 

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