編集長だより
カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2018年5月27日 19:49
毎月末、楽しみにしている時刻表の発売日。
今月もワクワクしながらページをめくり、黄色のページになったとき、或る異変を感じた。
それは「編集長だより」なるコーナーの新設。
長い間、日本交通公社時代からJTB時刻表を愛読してきたが、編集長のコメントが巻頭部分に顕れたのは今号が初めてではないだろうか…と思う。
時刻表編集者サイドと利用者及び読者サイドとの誌面交流を図った、エポックメイキング的な時刻表は、1963年8月号からだと認識している。
当時の編集室担当者佐藤氏が、交流欄「ビュッフェ」を立ち上げた趣旨を当該時刻表で述べられているが、以来、そのコーナーの名称は変わりながらもそのスタンスは継続され続けてきた。
そして、今回2018年6月号において、編集長ご自身が読者向けに巻頭部で、今号の読みどころをコメントされているのは、大変素晴らしいことだと思った。
今や時刻表も、会社の総務・経理といった部署で、業務目的で利用される場面は、ことごとく減ったと容易に想像できるが、依然として趣味目的で時刻表を購入している読者は、一定数いることであろう。
そんな読者層に目を向けた編集長の眼力は、時刻表愛読者として双方向の「絆」のような…そんな温かみを感じるものがあった…
また、ここ数年のJTB時刻表の進化ぶり、特に索引地図の一新は、目を見張るものもあった。
歴史に胡坐をかかない、そんな編集姿勢も好感を抱いていた。
昔から読み・書き・算盤と言われるが、そんな学習の「基本」全てが、時刻表の活用次第で十分に教育的な一面を持ち合わせていることも、車掌長は自身の経験から推奨できると思っている。
大袈裟な物言いになってしまうが、時刻表が単に趣味の世界を満たす嗜好品から、人を育てる「教材」としても、世の中に受け入れられたり、認知されることを切に願ってやまない。
幾つもの旅程を考え、旅というリアルな体験を通して満足感や失敗、トラブル解決等、そこで得た教訓を次の旅に活かすという営みは、日常の生活や仕事の組み立て、ひいては人生の歩み方にもそのまま投影される。
自身の意志決定を補助したり、根拠となった時刻表が、今後も末永く、多くの方に愛され続ける書物であってほしいと心から願う。