グリーン車マーク

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2018年7月19日 04:36

最近、汐留で仕事をしている。

昼休み、同僚が昼食をとる合い間、思い立って「旧新橋停車場 鉄道歴史展示室」へ向かった。
この施設は、鉄道発祥地である史跡を商業施設及びミュージアムにしたスペースだが、毎朝通る道すがら、企画展「没後20年工業デザイナー 黒岩保美」の文字が目に留まり気になっていた。

誠に失礼ながら、黒岩保美氏の功績は知らなかったが、国鉄時代の特急のヘッドマークやテールマーク、車体塗色等を手がけた御方だと知った。

なかでも、グリーン車マークを考案したことも知り、敬愛の念を抱いた。

グリーン車自体は、1969年に等級制から移行された新たな上級車両設備の名称だが、四つ葉のクローバーをイメージした緑色のマークは、車掌長が子どもの頃の憧れの車両(空間)であった。

子ども心ながらに、高嶺の花、近寄りがたいオーラを感じさせる車両であり、その入口にあるグリーン車マークは、そんなシンボルでもあった。

実際、グリーン車のデッキ付近には、車掌室が配置されることが多く、無用な者の立ち入りを監視されているような関所のような感があった。

また、キャビンに入るドアも、普通車が「引き戸」であったのに対し、グリーン車の多くは「開き戸」であったことも、何か特別な空間であった。

開き戸は引き戸に比べ気密性が良いためと思われるが、曇り硝子で見えない向こう側の異空間は、子どもの好奇心の的であった。

この車両に乗れる人は、高額な別途料金を払える人物であることは容易に想像できた。
また、実際に乗っている人を見れば、身なりも違うし所持品にも気品があるように、当時は思えた。

そんな子ども時代の羨望の眼で見入ったグリーン車マークを考案した御方が、黒岩保美氏であったことを知った。

あれから40数年が経ち、グリーン車もかなり身近な存在となり、TPOや気分に合わせてカジュアルに利用できる車両設備となった。

ふと、仕事の昼休みに立ち寄った企画展だったが、童心に帰る時間旅行ができたように思う。
 

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