週末パス片手に乗り鉄①(東京~会津)

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2018年8月 7日 04:35

先日、JR東日本が発売する「週末パス」を片手に一人旅。

土曜未明、車掌区最寄駅4:30発の電車に乗った。
旅のイメージは大方、頭の中でイメージしてある。

だが、愛用のJTB時刻表をバッグに入れ、予定変更も適宜厭(いと)わず、いや、むしろ大いに楽しみにしたい…と胸を膨らませた。

赤羽から宇都宮線の下り一番列車に乗り換え、ホリデー料金で割安となるグリーン車に乗った。
これで終点の宇都宮まで行ってみる。

ほぼ貸切の静かな車内で、冷たい缶コーヒーを口にしながら、日課である朝刊に目を通す。
時折、記事を追う目の疲れを感じたら、流れる沿線の風景に視線を移す…

普段の車掌区で読む新聞とは、一味違う充足感を味わった。

宇都宮で日光線に乗り換え、今市で下車。
駅前を真っ直ぐ10分弱歩いて、東武鉄道の下今市へ向かった。

ここからフリーパスの効力は無く、別途切符を買い足し、一路会津方面を目指す。
特例で乗車券のみで利用できる「特急リバティ会津」に乗り、鬼怒川温泉を通り、野岩鉄道、会津鉄道にも乗り入れ、終点会津田島まで乗った。

会津鉄道では、ひとつ楽しみにしている列車があった。
それは「お座トロ展望列車」と言い、2両編成のディーゼルカーに、お座敷・トロッコ・前方展望席という、異なる3つの趣きを楽しめるユニークな列車。

旅に出る前日、たまたまみどりの窓口で空席照会したところ、トロッコ車両が残2席と告げられ迷わず購入した。

11:50の出発時刻までまだ2時間ほどあり、パスの効力も当駅から再生する…
リバティから接続する会津若松行の気動車に乗り込み、折り返しで戻って来れる駅まで行ってみることにした。

手元の時刻表で調べると、随分先まで行って折り返し、トロッコに間に合うことがわかった。
このように気ままな乗り換えを調べられるのは、余分な列車も一目で視認できる、一覧性の高い時刻表ならではの芸当だ。

そんな、ささやかな悦に入っていた折、途中駅「塔のへつり」に目が留まった。
何度か訪れたことのある観光地だが、ふらり散策してみようと思いついた。

木立の中に片面ホームだけの風情ある無人駅に降り立ち、徒歩で景勝地へ向かった。
この日も暑さは厳しかったが、アスファルトの熱が容赦なく照りかえす東京のような酷暑ではなく、木洩れ日の中を清々しく歩くことができた。

1時間弱の散策を終え、再び会津田島へ戻る。
その際乗車したのは、前日に乗車整理券を購入した列車となる下りのトロッコ列車だった。

席に充分な余裕があり、車内でトロッコ乗車整理券を購入。
車内の両側は、開放的なオープンエアのクロスシートになっており、4人掛けの区画を一人占有し、心地良い風に吹かれた。

子どもの頃は当たり前だった、冷房の無い列車の窓を全開にし、吹かれた夏の風を思い出した。
西会津の山並みと蒼い空、緑の田んぼを眺めながら、日常では味わえない時の流れに身を委ねた。

会津下郷で列車交換のため、数分停車。
その停車時間に車内販売員が乗り込んだ。トレ―を覗きこむと、手作りスィーツや鱒バーガーなるものを売っており、思わず鱒バーガー(400円)を購入してみた。

鱒のフライがサンドされたものだったが、美味しかった。

鱒バーガーは事前知識になかったが、会津田島駅での折り返し時間には、或るお目当てを買い求めた。それは、駅弁「松茸二段弁当南山のたび」。

改札を出た目の前の売店のカゴに3つあることを確認。
数量限定で販売されているようなので、安堵。1080円で購入した。

再び、トロッコに乗り込んだ。
駅弁は走り出してから食べるのが正統派と思っているが、走り出すと風が強く食べ辛いから…と、自分なりに言い訳を見つけ包みを開いてしまった。

なんてことは無い、本心は一刻も早く定評ある噂の駅弁を食べてみたかったのだ。

高さのある簡素な箱に正方形のプラ容器が二段入っており、下段が松茸弁当、上段がおかずであった。驚いたのは下段の松茸…よくこの手の弁当でありがちな、小さく薄っぺらい欠片(かけら)のような松茸ではなかった。

「姿スライス」とでも名付けたくなるような、1本丸々をタテにスライスしたもので、松茸の姿そのものであった。
かような松茸は、大きなものが2枚入っており、蓋を開けると独特な香りが鼻腔をくすぐった。

スライスも厚めで、噛みしめると上品な味付けと芳醇な香りに思わず、絶句…
しかも、この良心的な値段に脱帽…
この駅弁だけを食べに西会津まで足を運ぶ価値があると、ひとり頷いてしまった。

さきほど降り立った、塔のへつり駅を過ぎ、列車は橋梁の上で2分ほど停車。
車窓案内や写真撮影のできるサービスが、この先も何か所か続いた。

里山の年季の入った駅舎に心癒されたり、ガタゴトガタゴトとレールの響きと揺れが心地よく、うたた寝をしたり…大満足なトロッコ列車の旅を終え、会津若松へと到着した。
 

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