東北新幹線の速度向上

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2019年1月14日 05:43

今朝の某新聞一面トップ記事のこと…

盛岡~新青森間(178.4㎞)について、320キロ運転実現に向けて動き出すとのこと。
現在同区間は、車両自体は宇都宮~盛岡間を同速度で運転しているが、盛岡より先は260キロに抑えて北を目指している。

確かに、実際に乗車してみても、盛岡まで320キロで走行してきたE5系が急に遅くなった感は否めないし、違和感もあったが、それは「整備新幹線」という位置づけで1973年に計画され、その基準上止むを得ないそうだ。

しかしながら、このたびJR東日本がその基準をクリアできるよう、防音壁のかさ上げや吸音板の設置などを進め、260億円をかけ約5年で320キロ運転を実現させるという。

ちなみに、その実現における時間的効果は6分短縮だそうだ。

また、この話には更に先を見越したものがあるという。
それは、2030年開業を目指して建設が進む、北海道新幹線の札幌延伸時の、対航空機競争。

鉄道と航空機が利用者争奪を競う際、一般に「4時間の壁」という目安がある。
それは、移動が4時間以内であれば、航空機よりも鉄道利用の方が増えると言われるラインであり、現に東京~広島間辺りは熾烈な競争を繰り広げているのは、周知のこと。

そして、北海道新幹線札幌延伸時までに、360キロ運転が可能な車両の開発も既に動き始めており、それら全てが整った暁には、東京~札幌の所要時間はこれまで約5時間と言われていたが、4時間半程度まで短縮でき、少しでも航空機利用から鉄道への流れを巻き起こす、利用者のチョイスも分かれそうだ。

たしかに、先週末の豪雪で新千歳空港が運用できず、約2000名の人々が空港で一夜を明かしたとか、予約の振替ができず二晩を余儀なくされた方々も少なからずいたことをニュースで見ると、航空機以外の足もあった方が、有難かったに違いない。

その上で、車掌長は更に一歩踏み込んで、現実的な要望・願望としたいことがある。
それは、本州~北海道移動における夜行寝台列車の復活だ。

この新幹線の整備計画に、もはや異論はないが、ただ気がかなりなのは、巨費を投じ盛岡~新青森間を6分短縮させるために約5年、更に札幌延伸まで約10年余りとは、あまりに時間がかかり過ぎる。

また、新函館北斗までしか営業していない北海道新幹線は、2017年度に98億円の営業赤字を計上し、超繁忙期以外の利用率低迷もあり、振るわない状況のようだ。

そんな現状を踏まえ、異常気象時の航空機利用も止まった際に、比較的雪にも強いとされる鉄道の強みを発揮し、本州~北海道間の利用客の選択肢を確保するためには、やはり直通の夜行寝台列車の活躍を切に望みたい。

幸いにも青函トンネルは今も貨物列車走行がなされ、在来線の列車が走行できる環境を保持しているのだから、実現には時間的にも、費用的にも抑えられ、あとはダイヤ上の工夫を施せば、5年もの時間を待たずとも可能なように思われる。

また、本州~北海道間の鉄道利用者の減少を招いたいのは、子どもから大人まで絶大な人気を誇った「北斗星」や「トワイライト・エクスプレス」「カシオペア」といった、乗車自体が北海道旅行の「目的」や「憧れ」となるような看板役者の不在も挙げられよう。

更に、「はまなす」のような所用・商用向けの観光以外の利用目的にも重宝した、名脇役の不在、仕掛けの撤去が、少なからず要因としてあったように感じてしまう…

願わくば…JR側の経営上、復活を拒みたい理由は種々あるのだろうが、鉄道旅行の「ロマン」や「夢」という、株価向上にはなかなか数字として効果が現れにくい事案であっても、利用した人々が一生の想い出となったり、「働き方改革」の進展によっては、ゆったりした移動時間を好んだり価値を見出せる人々が、「新たな発想」を閃(ひらめ)かせる舞台や空間にもなり得るのでは…と勝手ながら妄想してしまう。

スピードアップによる利便性の向上も大いに結構、一方、その逆の価値観となる「サービスアップ」も提供してもらえれば、幸いだ。

念のため補足すれば、その「サービスアップ」は、大人が背伸びや垂直跳び、三段跳びをしても手が届かない絶望を抱くような、富裕層しか乗車できない豪華列車だけでは徒花(あだばな)になってしまう。

せめて、子どもであってもコツコツと小遣いをためて「夢」が実現できる、大人も少し頑張って奮発すれば、家族で楽しめるような、そんな夜行寝台列車だと有難い…

いま、夜行フェリーが大人気だという。
背景には、長距離物流を担うトラック・ドライバーの休息を確保しながら、運搬ルートの大半を移動できるメリットに加え、一般乗客も船旅の良さを再認識し、「急がない旅」に目覚めた人々が、各航路の新造船ラッシュも相まって、ホテル滞在のような移動を楽しめるとあって、人気が急増しているそうだ。

一方、夜行高速バスはだいぶ居住性も向上したが、そもそも窮屈だったり、高速道路網の発達で地方中核都市まで大都市とダイレクトに結ばれ便利になったが、渋滞に巻き込まれた際の時間的損失や徒労感は、その選択に対し後悔の念すら抱いてしまう。

そして、何よりもドライバー自身の健康状態や、防ぎようのない他車ドライバーの居眠り、突発な無謀・危険運転等にも起因、直結する重篤事故に対し、安眠中の幾人もの大切な命を預けて走っている現状は、万が一の際、「安さ」「便利さ」が瞬時に引き代わる「負の代償」は、想像が尽かないほど折り合わない。

長々と綴ってしまったが、東北新幹線のスピードアップの記事から、いまいちど、鉄道の優位性を発揮できる夜間の移動手段を望みたい、と考える朝であった。

ところで、今日は全国的に穏やかな天候で、成人になる人々を祝えそうだ。

また最近は、これまでの成長や遠くない将来を担うお子さんたちへの希望を託す、1/2成人式というのもあるそうだ。

末筆ながら、どちらの人々(お子さん)にも、心からお祝い申し上げたい。

 

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