びゅうプラザ撤退に思うこと

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2019年7月 3日 05:24

梅雨空の日々、冴えない天気が続くが、車掌長の心の空は晴れている。

自身でも6月の日々を思い出せないほどだった、仕事の繁忙期が落ち着いてきた。
出張も多く、体力的にもだいぶ消耗したが、体重はさほど減らなかった。

当乗務日誌も運休状態が続いたが、これはこれで車掌長にとってはストレス。
車掌長は書くというか、思いや考えを綴ることが好きだ。

それは、他者へ賛同や批判を求めるものではない。

つれづれなるままに…只それだけでのことである。

つい先日、新聞にも出ていた記事で、世相を感じる話題があった。
JR東日本の旅行会社「びゅうプラザ」が、2022年までに駅から撤退するという。

旅行予約サイトの隆盛、人手不足が理由とあった。
この理由は、他でも聞き覚えがある…

そう、新幹線や特急列車における車内販売事業からの撤退や大幅縮小だ。

それらの理由も表向きは的を得ているように思わせられるのだろうが、真髄ではないように感じてしまう…

車内販売においても、びゅうプラザにおいても、従事されている方にとって、扱う商品に魅力が無いという視点はなかっただろうか…

列車内という他業者が入り込めない、或る意味、優位な商売形態でありながら、街中のコンビニや乗車前に調達できる駅売店とさほど変わり映えのしないモノを売っていたり、駅構内という最高の立地にありながら、鉄道会社の旅行会社ゆえに、自社営業エリア以外の観光地扱ったり、様々な交通機関を組み合わせた、旅行本来の醍醐味である「自由な」旅行商品を企画・販売できなかったり…

そして、これは車掌長自身の所感なので参考にしていただきたくないが、対面販売してくださるスタッフの経験・知識不足も否めない接客、プロ意識を感じられない対面販売が、次第に利用客を遠ざけてしまったのでは…と思ってしまう。

いまや、これだけ旅行サイトが台頭し、利用者側も単なる交通機関と宿泊だけのセット旅行ならば、「ダイナミックパッケージ」と呼ばれるような、自身でウエブ上で手配・支払いも完結してしまう購買ルートの方が、利便性が高いであろう。

一方、旅行会社最大手のJTBは、対面販売の方法を改革する試みを始めるようだ。

それは、旅行相談の有料化。
通常、店頭にフリーで立ち寄ってパンフレットを眺めながら、旅行相談をすることは、これまでの慣例として無償であった。

それを、「トライアル」という位置づけであろうが、国内旅行は30分2,160円、海外旅行は同5,400円を頂戴する店舗が都内に実在するようだ。

ただし、相談後、所定の期日までに実際に旅行を申し込めば、その相談料は旅行代金に充当され、実質、相談料は無料となる。

車掌長は10歳のときに、初めて自身で旅行会社を利用した。
当時、国鉄の夜行高速バス「ドリーム号」の切符を購入する目的だった。

駅の窓口と違い、親切な女性の店員さんが、自分のような子どもが求めるたった1枚の切符を、カウンターに座って対応してくださったことが、旅行会社との出逢いであった。

その時の旅行会社は、現在も同じ場所で営業し懇意にしており、長いお付き合いとなっている。

思うに…旅行会社の強みは「対面販売」にあると思う。

ネット予約は、汎用的で面白味に欠け、自分がしたい旅行の断片しか、カタチにしてもらえない。
逆に、旅行会社の対面販売は、先方にも相当なお手数をおかけしてしまうが、細かなリクエストにも対応していただけ、満足度はすこぶる高い。

もちろん、旅行会社のスタッフも多忙であることを重々承知しているので、相談や要望内容はこちらで簡潔にまとめ紙などに書いて、手を煩わせないように心掛けている。

これは旅行業に限ったことではない、売り手も消費者も、人と人とのコミュニケーションと思い、大切にすると、その時間の蓄積は、目には見えない「心の豊かさ」に昇華する。

逆に、消費者自身が客の方が優位だと認識し、売り手と接すれば、空疎で表面的な「売っておしまい」の関係でしかない。

更に、もっと哀れなことは、売り手の弱い立場に付け込んだ、悪質・理不尽なクレームで自身の憂さ晴らしをするような、消費者になってしまうことだろう。

びゅうプラザ撤退から、話が広がり過ぎてしまったが、対面サービスが徐々に、ひとつひとつ無くなってゆく世の中の行く末を案じてしまう…
 

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