温泉達人会 volume09

カテゴリー:⑥番線:温泉方面 2016年1月10日 04:56

元日、今までいただいたことない御方から賀状が届いた。

高知県南東部に位置し、自然豊かな北川村の観光協会からであった。
その葉書を手にし拝読した際、郵便というものは、つくづく良いなぁ…と実感した。

書いてくださった御方の人柄や、温かみが滲み出ている。
そして、この賀状そのものが、遠い道のりをどのように経て、ここに届いたのか想いを馳せる…
また、この一枚を届けるために介した方々の仕事や苦労を察し、感謝してしまう。

電子メールでは、そのプロセスの一切合切(いっさいがっさい)が省かれてしまうからこそ、何か「尊さ」に近いものを感じてしまう。

このたびの北川村とのご縁は、車掌長が所属する温泉達人会が毎年発行する会報。
昨年末、出来立ての会報を貴協会宛に送ったことだった。

乗務日誌ご愛読の方は、記憶にあるかもしれない。
そう、昨夏に当車掌区の慰安旅行で高知県を訪れた際、お世話になった温泉である。

乗務日誌上では、ちょうどその「ゆずの宿」に着いたところで、続きは会報をご覧下さいとした。

温泉達人会の会報は、会員30名余りのうち、有志が任意で寄稿する冊子だ。
そして、そこに寄せられた記事の1つ1つは、相当に面白く情報としても希少性が高いと思う。

手にして読んでいただければ、巷に溢れる温泉関連の本や雑誌と、明らかに違うことがおわかりいただけるだろう。また、発行部数も控えめで、どこでも流通して買えるものではないのも良い。

その希少性の源泉は、会員一人一人が「素晴らしい」と思う温泉や湯めぐりの紀行を、独自の視点や感性で紹介していることであり、目次を見ただけでは統率性がないように思えるが、その集合体としての魅力は計り知れない。

そして、世に出ている温泉本には見られない、各会員の追及するジャンルや好みが実に楽しい。

一例すると、こんな会員像が浮かぶ。

・海抜0m(海岸)から、全行程を徒歩で北アルプス山頂や稜線の峰々と、それらに点在する雲海に浮かぶ秘湯を目指す登山&温泉愛好家
・観光客は知らない、地元の人が大切にしている温泉共同浴場を巡る「ジモ泉」派
・鉄道をからめて湯をめぐる温泉&鉄道愛好家
・高級温泉旅館や施設、人脈を楽しむ御方
・日本三百名山を制覇し、その山行で温泉を楽しむ「山屋」
・マスコミでも大活躍の親娘の湯めぐり紀行
・全国的にも貴重な存在となった、"オートスナック"と温泉を巡るレトロ愛好者
・温泉界の重鎮である温泉達人会代表のvol1から続くシリーズ、"私の好きな温泉"
などなど

そんな超個性的な見出しが並ぶ中、ここ数年車掌長が連載するのは、子連れで楽しめる温泉。
子どもと一緒に入れる貸切風呂に主眼を置き、施設、料金、食事、泉質などが独自の観点で素晴らしい宿を探し、車掌長自身の子ども時代の回想を交錯させながら紹介している。

そこで、今回出逢えた温泉宿が、高知県の北川村温泉であった。

この宿は、上述の観点でどれも素晴らしかったが、中でも「泉質」は特筆の印象を受けた。
車掌長も長年、全国の美人湯とも形容されるような「つるつる」系の温泉は少なからず入ったが、北川村のツルツル加減は秀逸であった。

いわゆるph値など、温泉分析表の上では、数値的に優れた温泉や施設もあるが、温泉は数値で評価したり、楽しむものではないというのが車掌長の持論だ。
やはり、データ的なことではなく、その肌触りや直感的な、感性に響く良さが大切なのだと思う。

実際、成分が数値的には高くても、入ってみると「?」…と、期待外れの湯も意外に多い。

しかしながら、北川村温泉の湯は、車掌長にとって期待以上の満足感が得られた。

いまは新築開業に向けて、車掌長がお世話になった施設は閉館中だが、新たに生まれ変わった際は、ぜひ再訪したいと思っている。

個人的には、このような素晴らしい温泉に、連日超満員のような賑わいは求めたくないが、折角の新装に向けて、北川村温泉の益々の御発展を心から願っている。


【車内放送】
皆様にも、ぜひ北川村観光協会のホームページをご覧いただければ幸いです。
そこに「きたがわさんぽ」というブログがあります。
某日付で温泉達人会会報についてご紹介いただいております。
その柔らかな感性に癒される綴りは、あたかも北川村温泉の泉質のようです…

末筆ながら、観光協会の御方に御礼申し上げます。
ご掲載いただき、ありがとうございました。

 

三斗小屋温泉「煙草屋」

カテゴリー:⑥番線:温泉方面 2015年10月13日 05:28

三連休後半、那須の三斗小屋温泉に行った。

例年、11月末に行われる温泉達人会の総会・納会が、今年は前倒しで開催された。
理由は、来年10号を迎える会報の表紙写真を、節目にふさわしいロケーションでという趣旨。

日曜の朝9時、那須塩原駅で温泉達人会代表他5名と合流。
車2台で那須ロープウェイ乗り場上にある駐車場に車を停めた。

この日は小雨が降るあいにくの天候であったが、それが功を成した。
本来であれば、紅葉最盛期の当駐車場は朝3時には満車となり、駐車場に入れない車で大渋滞が起きるとこのこと。

11時、早目の昼食を車内で摂り、持参の合羽に着替え同30分に歩き始めた。
登山道入口で入山届を出し、まず目指すは峰の茶屋。

最初から結構な上り坂で、山歩きが久々の車掌長には、かなり堪(こた)えた。
30分ほど歩き、最初に休憩した場所は、目指す峰の茶屋が稜線上の遠くに見えた。

周囲に目をやると、紅葉の盛りとなった山々の彩りの美しさに惹かれた。
よく鉄道模型のジオラマで目にする山々のように、人工的なほどの芸術さに目を奪われた。

ここまで来ると雨は止んだ。
見えているのに、なかなか近づかない稜線の「峰の茶屋」まで、岩石だらけの道を黙々と登った。
ところどころ、ジェット機のようなガスが噴き出る音を聞き、火山であることを実感した。

12:30、峰の茶屋に到着。ここまで来ると、半分くらいであとは下る一方とのこと。
途中、足場の悪い箇所も多々あったが、14時前に三斗小屋温泉に着いた。

ここは2軒の宿があるが、露天風呂のある「煙草屋」に宿泊。
早速、お目当ての露天風呂に浸かると、2時間歩いて辿り着いた労が報われる想いがした。

やがて、会員の多くが到着し、15時の時点で揃ったメンバーで記念撮影。
明日の撮影の予行となった。

風呂から上がり、冷えた缶ビールを500円で購入。
乾いた喉にも財布にも、ひときわ沁み入る値段だったが、「最高!」だった。

16時半、早くも夕食。
質素だが、山小屋としては標準以上という内容だそうだ。

長い夜は会員同士の温泉談義で更け、消灯となる21時以降も続いたようだが、車掌長は昼の疲労から早々に床に就いてしまった。

翌朝5時、寒さで目が覚め、懐中電灯の明かりを頼りに、暗闇の露天風呂に入った。
空は晴れているようで、次第に明るくなり周囲の山容がわかり始めた。

歴史をひも解けば、会津西街道の宿場として栄えた時期もあったようで、戊辰戦争の舞台にもなったそうだ。
そんな歴史を、この山々は見つめてきたのか…と思うと、人の営みという時間の尺度は、実に儚いものなのだと感慨に耽(ふけ)りつつ、長湯を楽しんだ。

6時過ぎ、来年の温泉達人会会報第10号を飾る表紙撮影を行うべく、参加会員が集結した。
30数名いる会員のうち、今回の参加者は家族参加1組も含め男女合わせて25名。

1人はカメラマン役だが、この人数で煙草屋の露天風呂に入ると、だいぶ窮屈な印象だった。
しかしながら、この混浴状態で会報の表紙写真を撮り続けることが、温泉達人会の伝統だ。

6:30過ぎ、朝食。
山小屋の朝は早く、もう食べ終わって宿を出たグループも沢山おり、達人会が一番遅い朝餉(あさげ)となった。

車掌長のグループは、7:45に宿を出た。空は快晴、寒いくらいの山の空気が清々しかった。
昨日来た道を途中で分岐し、姥ケ平経由で牛ヶ首へ。ここは、ロープウェイで上ってきた人も沢山おり、眺望絶景のスポットであった。

その後、あちこちで噴気が立ち上る無間地獄を通り、峰の茶屋に出た。
火山独特の樹木のない山容は、眺望を遮るものがないので、とにかく眺めが良い道中であった。

11:30、無事に駐車場到着。
昨日とは打って変わり、凄い車の数。そして、情報通りの駐車場待ちの大渋滞が発生していた。
その距離からして、渋滞の最後尾にいた車が駐車場に入れるのは、夕方近いのでは…

末筆ながら、皆さんお疲れ様でした。
総会・納会の諸々の準備や各会員への連絡等でご尽力いただいた高田事務局長、ありがとうございました。
また、三斗小屋往復を同行させていただいた飯出代表はじめ、Iさんご夫妻、TSUさん、TEさんありがとうございました。

TEさんには帰路の途中、車掌長の靴底のゴムが剥がれた際、携帯の接着剤で修理していただき、大変助かりました。ありがとうございました。
それにしても、温泉のみならず接着剤マニアであられることも知り、感銘いたしました。

末筆ながら、また来年お会いするまで、お体に気を付けてお互いに温泉を楽しみましょう!

【車内放送】
本日(10/13)21時~、TBS「マツコの知らない世界」で、温泉達人会のメンバーが出演します。
同会事務局長のT氏父娘が、マツコさんとオススメの温泉についてトークを繰り広げます。
ぜひ、ご覧ください!
 

ゆずの宿(哲×鉄車掌区慰安旅行)

カテゴリー:⑥番線:温泉方面 2015年8月17日 05:15

車を香美市から北川村へ向け走り始めた。

北川村と聞いて高知のどこにあるのか、わからない方も多いだろう。
ざっくりと地図上の位置で言えば、高知県東端の室戸岬の左斜め上辺り。

阪神ファンの方なら、安芸市の右斜め下辺り…と言えばわかりやすいだろうか。
安芸市は1965年から、阪神タイガースのキャンプ地として知られている。

その北川村では、車掌長のお目当てが2つあった。

1つ目は、「北川村モネの庭マルモッタン」を訪ねること。
2つ目は、「北川村温泉ゆずの宿」に泊まること。

モネの庭と言えば、本家はフランスのパリ郊外にあるジベルニー村にある「モネの家と庭」だ。
ここは、印象派絵画の巨匠"クロード・モネ"が晩年を過ごした家がそのまま残り、モネが丹精込めて手入れした庭が今も大切に継承され、モネが見た景色を味わうことができる。

そんなモネの庭が、世界にもう1つ、高知県にある。
それが「北川村モネの庭マルモッタン」だ。

門外不出の「モネの庭」の名称が、なぜ、高知県の一村に贈られることになったのか…

当初は、工業団地の誘致をするはずだったが、挫折し失敗に終わったそうだ。
そこで考えを180度転換。モネの庭造成に向け、本家ジベルニー村との交流を図ったことがきっかけだったという。

一方、「ゆずの宿」は、元々は隣の馬路(うまじ)村にある馬路温泉に泊まる予定だったが、付近を色々調べていた際に、グッと心を惹きつけられるロケーションにあることを知り、宿泊先を変更した。

そのロケーションについては後述するが、もう1つここに今夏泊まりたかったのは、8月末で一旦営業を終え、約1年かけて建て替えると知ったのも大きな理由となった。

香美市から北川村へは、約2時間とナビが所要時間を計算してくれた。
とても親切だが、なんと面白味のない便利さだろう…

普段、仕事で使ったり、わかりづらい住宅街や商業地域のようなピンポイントな目的地に辿り着くのには大変ありがたいツールだが、旅行に来てまで、時間的な拘束を指図されているようで、不愉快に思えた。

目的地への大雑把な道順は頭の中に入っている。
あとは、偶然の出会いや意外性を求めたく、ナビの案内をキャンセルした。

ナビは切っても、ダッシュボードのモニターに地図は表示される。
縮尺を思い切り広域にしたら、南東に向かっている室戸岬を目指して北上している体裁になった。

地図は「北が上」にあるのが、車掌長の常識だが、この地図を見てオーストラリアで見た世界地図を想い出した。
それは、南北が逆さまになった地図で、観光用に売られているものだが、これはこれで常識の世界観から抜け出られるような新鮮な面白さがあった。

モネの庭には、昼前に到着。
入園窓口の男性が、午後になると睡蓮が閉じてしまうので、先ず「水の庭」へと教えてくれた。

ほぼ南中となった太陽は、容赦なく頭上から照らし、全身の汗腺から汗が噴き出す感覚…
水の庭へは坂道が続いたが、木陰は随分と涼しく感じられた。

いざ、水の庭に到着すると、可憐な睡蓮を確認できた。
花が閉じつつある睡蓮もあったが、モネが夢見たという「青い睡蓮」を見ることができたのは良かった。

青い睡蓮は、モネがジベルニー村で咲かせたいと願いつつ、咲かせることができなかった花…
ジベルニー村は夏が涼しく、青い睡蓮は熱帯性のため、咲かせることができなかったそうだ。
北川村では、開園初年の夏から咲かせることができたという。

他の色の睡蓮と違うのは、花の咲く位置が高いこと。
茎が真っ直ぐ伸びた先に、凛として咲く一輪の青い睡蓮は、エーデルワイスを連想する。

エーデルワイスは「気高き白」という意味で、オーストリアの国花である。
高山植物なので街中には存在せず、危険な崖下などに自生するそうだ。

そんな花を愛の証明として、命懸けで採取し女性に捧げるというエピソードもあり、オーストリアではプロポーズに贈る花として男性の人気アイテムでもあるとのこと。

青い睡蓮は平地の水辺に咲くが、その凛とした姿に不思議な気高さを感じるのは共通だ。

猛暑の中、その気高き青い花は一服の清涼感を与えてくれたが、さすがに車掌見習も暑さに嫌気がさしたか不機嫌になり、涼を求めてレストランへ向かった。

食後、同じ敷地にあるパビリオンという施設で、「魚梁瀬森林鉄道ジオラマ展」が開催されていることを知り、立ち寄った。
館内は冷房が効いて、木製の森林鉄道を模したレイアウトがあり、車掌見習がすぐに遊び始めた。

館内にはこの地域で昭和30年代まで活躍した森林鉄道を紹介。
パネル展示や貴重なビデオを上映しており、車掌長もそれらに食いついてしまった。
なぜなら、この森林鉄道こそが、北川村で泊る大きな理由だったからだ。

一通りの展示を見たところで、パビリオンを後にした。
いよいよ、ゆずの宿に向かうが、途中で工事の為、30分ほどの時間通行止めに出くわした。
こればかりは仕方ない。聞くところによると、昨年の台風被害の復旧とのこと。

さて、これ以降の話は、温泉達人会が毎秋発行する会報9号をご覧いただきたい。
車掌長も毎年拙稿しているが、今年は「ゆずの宿」を紹介している。
子連れで楽しむ温泉の紹介も、これで3年目となる。

発行及び販売時期、購入可能書店については、追って哲×鉄でご案内したい。
 

温泉達人会 volume08

カテゴリー:⑥番線:温泉方面 2014年12月 6日 05:47

今年も温泉シーズンがやってきた

そして、この時季に発行され一部の有名書店にも置かれる、知る人ぞ知る小冊子がある。
温泉達人会の「会報」だ。

今季で8年目、すなわち8冊目となった。
回を重ねるごとに頁数も増え、128ページとなった。

温泉達人会の会員は現在33名。
うち今回は17名が寄稿し、車掌長も稚拙ながら毎回掲載していただいている。

温泉同好の仲間が、この1年間に訪れた温泉についての報告や紹介が楽しみで、今年はどんな「湯」を味わえるかワクワクしてしまう。

自分自身ではなかなか行くことのできないような温泉が多く、それぞれの会員の独特な角度・視点から発せられるコメントも大変興味深い。

どの年の会報にも言えることだが、各会員の文章は、まさに個性豊かな「源泉」そのもの。
各自の温泉への想いや慈しみ、楽しみ方のツボまで、掛け流しで惜しみなく注がれ溢れている。

また、この小冊子の特筆すべきは、ビジネスが第一の大手出版社では、まず掲載されることのない温泉や旅館がふんだんに掲載されていること。

このような温泉の存在を知ると、本当に温泉が好きな人であれば、きっとすぐに訪れたくなる所ばかりだ。
または、今まで訪れていた温泉の「価値観」が180度、540度転換する契機になるかもしれない…

特に、今回の会報で車掌長が行ってみたいと思ったのは、某金融機関で温泉の広報係(!?)をなさっているT氏の紹介してくださった伊豆の秘湯。

あえて、その内容はここで紹介しないが、湯の国「伊豆」にもこのような秘湯があったことを知り、とても新鮮な清々しい想いを読後に抱けた。
ここはぜひ、近々訪れたい。

ところで、今回車掌長が掲載した温泉地・宿は、乗鞍高原温泉の某旅館。
昨年の№7から子連れで楽しめる(楽しめた)旅館を、昔の当該温泉地の想い出も含めて紹介している。

なお、温泉達人会の会報はどこでも簡便に手に入るものではない。
そんな入手の不便さも、アクセス困難な「秘湯」に似ており、書店で巡り逢えたり、手にできた時の感慨は一入(ひとしお)だ…

もし、興味のある方は、温泉達人会のホームページをご参照願いたい。

定価:700円+税
 

 

層雲峡は秋の気配(哲×鉄車掌区慰安旅行)

カテゴリー:⑥番線:温泉方面 2014年8月24日 05:16

三笠市を出発後、宿泊地である層雲峡温泉を目指す。

今回の慰安旅行では、車掌見習のペースや体調管理を最優先にした。
宿には早目に入ることと、普段の生活リズムをなるべく崩さないように心掛けた。

途中、上川町のスーパーで車掌見習用の食事等を調達。
店内には、お盆用の品々が店頭に置かれ、帰省中らしき若い人の姿も見うけられた。

層雲峡には16時過ぎに到着。
フロントで先に送っておいた荷物を受け取り、部屋に案内してもらった。

先ずは、昨夜風呂に入っておらず汗臭い車掌見習を入浴させ、18時に夕食とした。
北海道の宿は、概ねバイキング形式が多いが、小さな子ども連れだと慌ただしすぎて、何を食べたかわからない状況になるので、部屋食のプランにしておいた。

上げ膳、据え膳で座っているだけで食事を楽しめるのは、ささやかながら、いつも家で食事の支度をしてくれる専務車掌への感謝の気持ちとお礼でもある…

ゆっくり食事を済ませ、車掌見習を寝かせたる態勢に入った。
今晩は20:30から花火大会があり、屋上の観覧席で楽しむことにしていた。

普段の生活リズムだと、車掌見習も一緒に見せてあげられるギリギリの時間であったが、なにせ花火は初体験であるし、大きな音を怖がって、長岡の「三尺玉」や片貝の「四尺玉」よりも大きな「かんしゃく玉」を爆裂させる懸念もあり、寝かせることにした。

そんな親心が伝わったのか、すんなりと寝息をたてご就寝…
車掌見習を抱っこして屋上に行ってみると、夜風の寒さに驚いた専務車掌は、急遽部屋に戻って上着や厚めのタオルを持ってきた。
気温は16℃ほどとのこと。

花火は観覧席から真正面に見え、10階のホテルの屋上という高さがちょうど見やすい、首の疲れない具合であった。
のどかに1発1発上がっては開く小ぶりな花火に、浮世離れした時間がゆっくりと過ぎてゆく…

スターマインの速射連発で派手な花火も大好きだが、これはこれで風情があって良かった。
それでも、終了間際には何発か同時に打ち上げられ、フィナーレを盛り上げていた。

一度眠りに入った車掌見習は、深い峡谷に響く花火の音にビクともせず寝ていた。

花火観賞後、専務車掌と交替で温泉を楽しむ。
露天風呂では外気が肌寒く、秋の気配…

温泉の湯が恋しい感覚を、例年よりも一足早く味わった。