花火~人の夢は儚きこそ美しい~

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2016年5月16日 20:38

眼前に朝凪の穏やかな海が目に映る…
前の晩、夜空を彩った幾つもの大輪が幻影だったように…

日の出の早いこの季節、まだ眠っている温泉街を、気の早い太陽が照らし始めた。

そして、もう一人、日の出の早まりに連動して早起きの車掌見習が、一日の行動を始め出した。
車掌長は、そんな太陽と車掌見習を見ながら、目を細め穏やかな心持ちでいた。

先週末、「哲×鉄」車掌区と保線区と合同で、時刻表神社創建の打ち上げを行った。
場所は熱海、花火大会のある日に「打ち上げ」を掛け合わせた。

懇意にしている旅行会社経由で、部屋から花火観賞できるホテルを取っておいた。
通常、花火開催日は宿泊代も高騰するが、365日同一料金のホテルなので叶った夢だった。

保線区のメンバーも多忙の中、予定を繰り合わせ当地で会うことができた。
心より感謝申し上げたい。

車掌見習は、遊び相手になってくれるお二人を慕い、ご満悦の様子。
それを見て専務車掌が、「あぁ楽だわ…」と呟き、これまた安堵の様相。

日頃、目の離せない車掌見習の動きからしばし開放され、保線区メンバーに感謝。

宿には早目にチェックインし、夕食までの間、それぞれに寛ぎのひとときを過ごす。
車掌区はサンビーチのレインボーデッキへ足を運び、車掌見習が目下夢中のストライダーに興じた。
保線区はホテルの温泉で湯浴みをしていたようで、日頃の本業の疲労を癒せたなら幸いだ。

夕食は17時開始と早かったが、争奪戦のようなドタバタの食事であった。
これもまた一興…

食後、いよいよお目当ての花火大会だが、車掌見習には知らせず、寝かしつけることにした。
ホテルは打ち上げ場所からの距離も近く、温泉街背後の山々に反響する、熱海独特な轟音と震動に、車掌見習はきっと驚いて泣くだろうと案じた次第であった。

そんな親心を見透かされたか、珍しくなかなか寝付かず焦ったが、打ち上げ5分前に撃沈。
20:20から花火大会の幕は切って落とされた。

視界いっぱいに広がる花火と、腹の底に響くと同時に、一発ごと胸のすく想いが心を満たす…
1つの1つの花火は、鮮やかに花を開かせては消える、そんな「儚さ」が美しいのだろう。

人の夢も、きっと、叶った瞬間こそが、美しい…

そして、永続しないからこそ、人はまた、何かを打ち上げ、花開くときを待つのかもしれない。
ただ、そのためには丹精込めて、打ち上げる「花火玉」を作らなければならない。

保線区メンバーとは、そんな大輪の花を共に愛でる楽しみをいつまでも持ち続けたい。

熱海の花火を観て、そんな想いを抱いた。

数年後、次はどんな大玉を打ち上げましょうか…と、心の中で呟いてみたりする。
 

愛の手帳とボックスシート

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2016年4月29日 05:21

繁忙の4月が終わろうとしている。

車掌長の仕事のリズムは、年間を通して繁忙と閑散が明確だ。
中でも、4月は超繁忙期。
桜の開花発表があった頃を覚えていても、桜を愛でる余裕はなかった。

昨日、仕事を終え車を走らせていると、垂れ下がる濃い紫色の房が目に留まった。
このひと月、先を急ぐ風景しか見えなかったが、もう藤の花が咲く季節へと時間は進んでいた。
そして、車掌長自身の心にも、少し余裕が出てきたことを実感できた。

しかしながら、どんなに忙しい日々であっても、心が洗われたり、励みになったのは、この春幼稚園児となった車掌見習の話を、帰宅後に専務車掌から聞くことだった。

車掌見習にとっては、おおきな、大きな環境の変化の連続だったことだろう。
入園後数日は、専務車掌との別れ際にシクシクとなり、後ろ髪を引かれる想いもあったそうだが、最近は笑顔でバイバイ!をするそうだ。

専務車掌曰(いわ)く、嬉しいやら淋しいやら…と。

当幼稚園は、保護者の園への関わりも多く、専務車掌は毎日のように、決まった役割分担の連絡や、今後たくさん予定されている行事の準備も忙しいようだ。

また、午前は幼稚園、午後の週3回は民間の療育施設への通所もあり、専務車掌も多忙の中で、家事もこなしてくれていることに、感謝の気持ちでいっぱいだ。

そんな当車掌区の4月が終わろうとしていた昨日、隣接区の児童相談所へ専務車掌と車掌見習が訪れた。

目的は通院している発達外来の小児科医から、「愛の手帳」の申請を勧められ、その判定を受けに行くことであった。

「愛の手帳」とは東京都における名称だが、全国的には「療育手帳」というそうだ。
交付の対象となるのは、「発達期に何らかの原因により知能遅滞が起こり、(中略)福祉的配慮を必要とされる方」とあった。

判定は精神科医、心理判定員との面談や知能検査、行動観察などがあり、その日のうちに協議及び判定が行われる。

結果は「交付」であった。

その結果は結果として、そのまま受け止め、今後も日々の成長を楽しみながらのんびりと、その日その日流れる風景を見つめてゆこうと思う。

そんな旅の車窓は、向かい合わせのボックスシートが似合いそうだ。

今ではあまり見られなくなったが、国鉄時代の急行列車の普通車や、地方を走っていた客車列車、ディーゼル車で、膝を突き合わせ向き合って座った座席…

進行方向窓側は、車掌見習を座らせてこれから近づく「未来」の車窓を見せてあげたい。
その、向かいとなる進行方向逆の窓側は、車掌長が座り、流れ去る「過去」を見つめ、感慨に耽(ふけ)りたい…

ときに、人生は「旅」そのもの…と、多くの人が口にする。

また、「心持ち」次第で、目に映る人生や旅の風景も、良くも悪くもなるのだろう…
その「心持ち」とは、自分自身の強さや、弱さ、価値観等に影響されやすいのだと感じる。

自分にとって「良し」とできる時間を過ごすことが、「心持ち」の豊かさにつながるのだろう。

「愛の手帳」は、きっと、その心持ちを強くしてくれるのだと思う。

 

哲×鉄ブログ本線車内放送⑭

カテゴリー:⑪番線:哲×鉄 車内放送 2016年4月 5日 03:45

本日、「哲×鉄」はおかげさまで開設5周年を迎えました。

5年前、平成23年4月5日の語呂並びに合わせました。
そして、長年愛読し収集してきたJTB時刻表のご紹介や、それにまつわる事柄を、私的なエピソードやテーマで気ままに綴るサイトとして標榜し、現在に至ります。

目下、時刻表アーカイブの全線開通を大きな目標にしておりますが、なかなかまとまった時間が確保できず、工事の進捗が芳しくないことは課題だと思います。

一方、日々の出来事や心に触れたことを、「時間旅行」という概念で記録してゆく乗務日誌は、車掌長のライフスタイルでもある"コツコツ”と地道に歩めております。

乗務日誌は「変わり者」を自認する車掌長自身の生活記録のように思います。
ゆえに、自身の想いや考えを勝手気ままな切り口で綴っていますので、お見苦しかったり、お読みになる方々と異なる価値観も多々あろうかと思います。

そのような不十分さをご承知の上で、今後も末永くともに、お付き合いいただければ幸甚です。

また、先日も車内放送でお知らせいたしましたが、「哲×鉄」開設5周年も絡めた一里塚として、「時刻表神社」を創建できましたことは、保線区の方々に心からお礼申し上げます。

「哲×鉄」が最終的に目指したいとボンヤリ思うことは、時刻表が単に交通機関の時刻や料金を調べる媒体ではなく、「時間の使い方」や「人生の生き方」をプランニングするのに欠かせない相棒であることを、「形」にしたい…ということです。

その「形」は、今後のんびりと姿を現すことになろうかと思いますが、ともに、そのような「時間旅行」をお楽しみいただければ嬉しいです。

たった一度きりの人生、その終焉を迎えたときに初めて、ひとは自身の人生の通知簿を授かるように思います。

ちなみに、車掌長は子どもの頃から、学期末ごとにもらう通知簿に「優秀」とは無縁でした。

むしろ、ボトムに近い科目をたくさん背負いながら、落胆したり、負担に感じたり、面白くなかったりしたものです。

そんなときに、自身を慰めたり、励ましてくれたり、気晴らしになった「心の友」が、日本交通公社(現JTB)時刻表でした。

人生の大半の時間は、上手くゆかないことばかりであることを、経験上心得ています。

だからこそ、将来少しでも、自分の「時間」や「心持ち」を有意義にするために、「今」が大切であり、「過去」の数々の失敗も自分なりに糧にして、「未来」を見据えることが可能になると思います。

子どもの頃、運動会や球技で校庭に白い線を描く「ライン引き」という道具がありました。

誰かが薄っすらと書いた上をなぞるだけであれば、容易に直線が引けますが、自身で直線を引くためには、さきほど引いた軌跡を振り返り、これから向かう場所を確認しないと、真っ直ぐな線を引くのは困難です。

しかしながら、自分なりに真っ直ぐ引けたなぁ…と実感できると、喜びも大きかったように思います。

人生のライン引きも、真っ直ぐ引きたいのに、紆余曲折してしまうのが常であるように感じます。
他人が薄っすらと導いてくれる下書きをなぞったり、多くの人が引いた線の跡を引くのは、面白くないようにも思います。

そんなことを「時刻表」は教えてくれました。

今後も、後を振り返りながら、前をよく見ながら、真っ直ぐな線を引けるように、努力しようと思います。

そして、いつの日か最後に授かる通知簿を、納得のゆくものにできるよう、コツコツ歩んでゆこうと思います。
 

時刻表神社

カテゴリー:⑪番線:哲×鉄 車内放送 2016年3月26日 03:33

本日、仮想空間上に「時刻表神社」を公開いたしました。

北海道から九州までが、新幹線で結ばれた鉄道史に残る日に合わせ、日本初の「時刻表神社」を創建できましたこと、嬉しく思います。

小学1年生のときに、時刻表の使い方を父から教わり40年余り。
初めは単に行きたい場所への手段を調べる1冊の本でしたが、そこから同じ目的地へ行くにも、色々な選択肢があり、それぞれに愉しさがあることを実感いたしました。

ときに、その選択で苦難や苦労があっても、そこから学ぶ「糧」を得ることができました。

時刻表から「生き方」を学ぶことに気付いたとき、ふと、時刻表の中に神様が宿っていると思うようになりました。

日本は古来より「八百万の神」が御座(おわ)すと信じられており、この想いは、ごく自然な成り立ちでした。
そして、その個人的な「信じる」想いは、時刻表への「感謝」と、時間を大切にする「心持ち」、今後の旅や人生の「安全」を願うことにもつながっております。

ここに、その想いの結実として、時刻表神社という「形」にできたことは、無上の感慨です。

このような成り立ちの神社ですが、多くの方々にお立ち寄りいただければ幸いです。

なお、神社内では、おみくじをご用意いたしました。
その日の運試しに、列車名に因んだくじを引いていただき、お楽しみいただければと思います。

「大吉」が出る確率はかなり低いですが、出た時の喜びは一入(ひとしお)です。
 

コメント(2件)

たくちゃんさんからのコメント(2016年3月28日 08:01投稿)

こちらにはご無沙汰です。保線担当です。

今回の造営工事は、デザインからアップまで実質72時間という、
大変タイトな工事となりましたが、
無事、期日に間に合い、ほっとしております。

ここからまた新しい世界が広がることを祈念しつつ
本日もワタクシの持ち場で奮闘いたすことにします。

本日は、「中吉」
いいことがありそうな予感がします。

車掌長さんからのコメント(2016年3月28日 19:16投稿)

たくちゃん 様

毎度ご乗車ありがとうございます。

このたびの、時刻表神社創建の大工事、誠にありがとうございました。
実質72時間とのことですが、たくちゃんさんの仕事密度の濃密さは重々存じておりますので、相当なご苦労だったことをお察しいたします。

北海道新幹線開業日に間に合わせていただいたご尽力に、心からのお礼を申し上げます。

ぜひ、遠くない日に保線区&車掌区で「打ち上げ」をしましょう!

それにしましても、たくちゃんさんの「土木工事」並びに「保線」はさすがですネ!
車掌長はたくちゃんさんの仕事の大ファンであります。
今後も末永く、よろしくお願いいたします。

また、時刻表神社の仮想上の御社を制作してくださったA様に、この場を借りてお礼申し上げます。

緻密な線画での制作に、多大な時間をかけて下さったとお察しいたします。
A様にもお忙しい中、時刻表神社創建に、お力をいただき誠にありがとうございました。

話は変わりますが…
おみくじで「中吉」が出たとのこと、おめでとうございます!

「中吉」が出る確率は、豪華寝台列車「ななつ星」の抽選に当たるよりも難しいのです。

車掌長は、3日連続して「平」ばかりです…

いつの日か、「大吉」を引き当ててみたいものです。

ちなみに「大吉」が出る確率は、たくちゃんさんはご存知ですが、これをお読みの皆様には、各自のご想像にお任せしたいと思います。

なお、「末吉」に設定した8本の列車も個人的には好きです。

2件のコメントがあります → まだまだコメントお待ちしてます!

哲×鉄ブログ本線車内放送⑫

カテゴリー:⑪番線:哲×鉄 車内放送 2016年3月25日 04:39

明日、北海道新幹線が開業します。

北海道から九州まで、新幹線で結ばれることになります。
無論、新函館北斗から鹿児島中央駅まで直行する列車はありません。

しかし、乗換時間を考えず、単純に所要時間を合算すると、10時間ほどで行くことができます。
上野から青森まで、在来線特急で9時間近くを要していた時代を知る者にとっては、隔世の感があります。

そんな、日本の鉄道史において大きな節目となる明日、「哲×鉄」もダイヤ改正を実施予定です。
どのような内容になるかは、明日以降、ご確認いただければ幸いです。

車掌長が40年以上にわたって時刻表を愛読し、その時間の蓄積の中で享受した有形無形の心の財産に感謝し、「形」にする試みとも言えそうです。

 

前の5件 2728293031323334353637