CASSIOPEIA乗車

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2021年4月27日 04:31

先日、当車掌区で寝台特急「カシオペア」に乗車した。

車掌見習がいつか乗りたい、乗りたい…と、常々言っていた切望を叶えることができた。
「いつか」というのは半永久の未来的願望と捉えがちだが、現実には「走っているうち」であり、鉄道車両の耐久年数や鉄道会社の都合でいつ運行終了になるか、それはわからないもの…

乗車のチャンスを狙いつつ、可能性があった際は躊躇なく実行しようと思っていた。

その強い意志は、車掌長自身が過去に「いつか」「いつか」と自身に言い聞かせるように、先送りして乗車せずに廃止になった列車への幾度とない後悔が背景にあった。

しかしながら、このカシオペア乗車のコストは高い…
躊躇なくとは上述したが、予約時は清水の舞台から飛び降りるくらいの覚悟であった。

だが、旅行を終えてみると、そのコストは、将来いくらお金を積んでも手に入れられないような体験と価値を「思い出」という形に変えて、充足感に溢れたものになっていた。

今回利用したのは、JR東日本の旅行会社が企画した子供向けの旅行商品であった。
「カシオペア乗車」を目玉にしつつ、目的地では季節を愛でながら、自然の中での体験を組み込んだツアー内容であった。

参加者も親子連れが原則であり、車掌見習と同じ小学生の参加が多く、同じ志向の者同士、すぐにカシオペア車内で仲良くなり、子どもが本来持つコミュニケーション力の高さを感じさせられた。

個室内で食べたカシオペア弁当や、夜更かしして、憧れのダイニングカー(食堂車)でのパブタイムも、貴重な体験になったようだ。

翌朝、名残惜しくカシオペアとお別れし、降車駅からバスで30分ほどの温泉地で朝食&入浴。
この温泉の露天風呂での朝風呂が、また心地よかった。

1か所目の観光地となった桜並木こそ、小雨に見舞われたが、その後天候は急回復し、午前後半からの小岩井農場での見学や散策は、清々しい青空の下でのんびりと過ごすことができた。

とくに、例年であればGW以降が見ごろの桜が、まさに満開で出迎えてくれたことは、今春、東京での花見ができなかったこともあり、心が癒される思いがした。

また、午後に行われた「100年の森散策」では、案内をしてくださったガイドの佐藤さんと斎藤さんが素晴らしかった。

子どもたちを、グイグイと自然体で森の中へ引き込んでくださり、子ども同士、あるいは親子同士の有意義な時間を過ごすことができた。

車掌見習も、ひとりであれば怖がってやろうともしない丸太を架けただけの橋も、他の子にツラれてあっけなく渡ってしまい、専務車掌や車掌長を驚かせた。

またぜひ、季節を変えて訪れてみたいと思わせる素敵なガイドの方々であった。

カシオペアに乗るのは、今回が最後になったと思うが、この旅での貴重な思い出や体験が、車掌見習にとって有用なものになったなら、今回のサプライズも成功だったと思いたい。

ちなみに、車掌見習に今回のツアーを発表したのは、前日の夜のことであった。
 

新幹線車内公衆電話の廃止

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2021年3月22日 05:01

先日、新聞である記事に目が留まった。

それは、「新幹線内の公衆電話6月に廃止」との、小さな見出し…

読めば、携帯電話普及による利用客減少に加え、2020年12月までにJR各社の全新幹線で携帯電話の電波が入らない「不感地帯」が解消されたため、とあった。

最近は、コロナ禍で売上が急減した「車内販売」の廃止を目にしたばかり…
記事のとおり、多くの利用客には影響や関心の無いことのように思われるが、何でも廃止でよいのか…との個人的所感は否めない。

それは、さておき、新幹線の公衆電話の歴史を、手元の時刻表で調べてみた。
1965年6月号を見ると、「今月のお知らせ」にはこう書かれてあった。(以下抜粋)

「ひかり」「こだま」に公衆電話が設けられます。
6月1日から、東海道新幹線の「ひかり」と「こだま」の車内と、東京・横浜・名古屋・京都及び大阪等の各地区の電話と通話ができるようになりました。
車内からかける場合、あるいは車内へのかけ方など、55頁の「列車電話案内」をご覧ください。

引続き、55頁をみると…

車内からのかけ方:ビュッフェにある電話室で、車内の電話係に通話先の電話番号をお申し込みください。
車内へのかけ方:次の番号へ申し込んでください。

以上であるが、通話料金は「列車の位置」と「通話先局名」によって、3分あたり100~400円の区分が記載されていた。

参考までに、当時の物価を調べると、銭湯28円、映画350円、新聞購読料が月極450円等とあり、新幹線内の電話料金がいかに高かったか、察しがついた。

車掌長個人としても、新幹線公衆電話は懐かしい思い出がある。
それは、中学時代の親友がひとり旅の帰路、名古屋から新幹線に乗ることを事前に知っており、サプライズで自宅から車内へ掛けたこと。

電話に出た友人に聞けば、車内放送で「東京都〇〇区からお越しの〇〇様、お電話が入っております…」などと呼ばれ、ビックリするやら恥ずかしいやら…でも、貴重な体験をした、と言っていた。

当時は、プライバシーや個人情報というものが、今日ほど、その扱いに敏感ではなかったこともあるが、たしか差し支えなければ、呼ばれる人の所属会社名も車内放送でアナウンスされていた記憶もある。

その後、そのサプライズに目覚めた車掌長は、新幹線に乗る親や他の人にも、幾度か掛けたりしたものだが、自宅の固定電話代がかさんだことは、「時効」としていただこう。

そんな昔の記憶が、古き良き頃の鉄道旅行時代を知る自分を慰めてくれるのが、せめてもの救いでもある。
なにはともあれ、時代の流れには抗えない…

そして、自分が歳をとったことも、無論、逆らえない…

 

N700S、185系踊り子、小田急GSEの課外授業

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2021年2月26日 04:38

先日、当車掌区の課外授業を敢行。

きっかけは、小田急ロマンスカーGSEの展望席最前列が取れたため。
日常、アテもなくこの類の空席状況を調べているが、思いがけず空きを見つけ即予約した。

予約後、当車掌区メンバーの予定を調べる。
平日なので、車掌長も車掌見習も仕事や学校があるが、それはそれでどうにかなる。
むしろ、この好機を逃す方が当車掌区の考えとしては、損失だ。

さて、せっかく行くのであれば、GSEをメインディッシュとしつつ、旅程全体もコース料理のように、物語として組み立てねばならないが、これを考えることが面白い。

ちなみに、車掌見習は新幹線好きでもあるが、N700Sに乗ることを切望していた。
今春3月13日ダイヤ改正以降は、時刻表上にも記載があり、簡単にN700S使用の列車がわかるが、現在有効の2月号では、どの列車か不明だ。

しかしながら、JR東海のインフォメーションで尋ねると、あくまで乗車当日の案内にはなるが、N700Sを使用予定の新幹線を教えていただける。

すると…GSEと絡められる頃合いの「こだま」をご教示いただけた。

次に、頭に浮かんだのが、同ダイヤ改正を機に無くなる185系踊り子の「お別れ乗車」だった。
これも、N700Sで熱海へ向かい、熱海から小田原までの短区間であるが、乗車可能と判明。

かくして、N700S+185系踊り子+小田急ロマンスカーGSE展望席のミニツアーが出来上がった。

しかしながら、車掌見習への告知は実施当日。事前に言うと、色々な方面に支障を来すので…

当日、学校へは連絡帳で給食を食べて早退する旨伝え、車掌長も事前に午後は有給休暇を申請。
東京駅で待ち合わせをして、当車掌区の課外授業の幕は切って落とされた。

これは車掌長の持論なので、他のお子さんやご家庭には推奨しないが、こうした体験は学校の授業も勿論大切なことは承知の上で、なおかつ、それに勝るとも劣らない「旬の価値」が多大にあると、車掌長は経験上認識している。

実際、どの列車においても、短い時間ながら再生不可能なドラマが生まれ、学校の教室では味わえない時間を過ごせたように思う。

とくに、小田原から新宿までのGSE車内では、たまたま隣席となった御方と楽しいひと時を過ごさせていただいた。

車掌見習とそのご子息が自然に打ち解け、彼らの鉄道談義に耳を傾けながら、次第に暮れなずむ夕刻から夜へと、切れ目なく流れるグラデーションの前面車窓を堪能することができた。

ご一緒させていただいたママ鉄様とご子息様に、この場をお借りしてお礼申し上げます。

 

コメント(3件)

GSE同乗親子さんからのコメント(2021年3月19日 11:17投稿)

頂いた名刺を慌ててしまったので、探して辿り着きました。(GSE展望席切符と一緒に、息子のリュック内ポケット奥底に大切に眠っておりました。)

ブログで私達親子のことにも触れて頂き、大変嬉しく拝読いたしました。
あれから数週間経ちましたので、読みながら光景が蘇り、息子と車掌見習いさんの大人顔負けの鉄道談義が思い起こされます。

鉄道や時刻表とは無縁だった私も、息子きっかけで見様見真似でツアーでは叶えられない日本津々浦々を体感中です。

車掌見習いさんと同様で、息子もN700S乗車を熱望しており近々計画中ですが、当日いきなり車両変更がないか今から心配です。当日変更はどこかのサイトでわかるものか、車掌さんにアドバイス頂いたいところですm(__)m

昨日も時刻表と格闘しまして、N700S⇒翌日500系、そして別日の移動でサンダーバードに乗れることを見つけました。
我が家も同じく学校生活に支障をきたしますので、息子は私の格闘をまだ知りません(笑) 

車掌長さんからのコメント(2021年3月19日 21:12投稿)

GSE同乗親子 様

このたびは、「哲×鉄」にご乗車いただき、誠にありがとうございました。

先日のGSE親子様との旅路は、短い時間ながらも、何かグッと凝縮された鉄分補給に心が満たされる思いがいたしました。

鉄道旅行の醍醐味は、好きな列車や路線に乗ることもそうですが、GSE親子様との出逢いのようなドラマチックな御縁にも魅力を感じ得てなりません。

それにしましても、GSEママ鉄様(勝手な呼称、御無礼します)の時刻表との格闘と申しましょうか…そのご奮闘ぶりは敬服いたします!

ご子息がきっかけで…とは、申されておりますが、既に独学でかなり時刻表を使いこなされていることとお察しいたします。

N700S→翌日500系とのこと…
私も手元の時刻表で何となくイメージはできましたが、翌日は、なかなかの早朝ですネ。

もしくは、その次のハローキティ500系でしょうか…

いずれにしても、机上旅行のプランニングをご自身でもお楽しみいただいているようで、僭越ながら素晴らしいことと感心しておりました。

なお、車両変更の有無につきましては、公式にアナウンスしているサイト等は無いと思われます。

しかしながら、よほどの運行障害がない限りは、時刻表等でお調べになったN700S表示のある列車で大丈夫だと思います。

戴いたコメントの最期の一文、大変共感いたしました。
当方も、4月に或るプランを仕込み、手配も済ませましたが、まだまだ伝えるには早すぎ、せいぜい2日前くらいかな…と思っているところです。

また、ぜひどこかでお会いできますこと、楽しみにしております!車掌見習も、時折、あの時のことを話題にします。

なお、時刻表に関するお問合せ等、僭越ながら適宜受させていただきます。

GSEママ鉄様のご子息へのサプライズプランの一助になれれば幸甚に存じます、笑。

GSE同乗親子さんからのコメント(2021年3月21日 19:52投稿)

貴重なご助言のお返事ありがとうございます。
そして私達旅路のお見立て流石です!
車掌長さんも新たな企画がおありなのですね。
またこちらで拝読できることを楽しみにしています。

そして、今後もアドバイス頂けるとこのお言葉、心強いです。まだまだ息子は大人の私の手の内です。巣立つ時まで私の格闘は続きそうですので(笑)
その折は宜しくお願いいたします。

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ピアノ売ってちょ~だい

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2021年2月21日 09:15

今朝、8時からピアノ搬出作業があった。

車掌長の両親居住のフロアに、妹のピアノが置いてあったものを引き取ってもらった。
ピアノ本体に収納してあった記録を見ると、1997年夏の購入だったことがわかった。

まず、どの業者に引き取ってもらおうか、見積もり依頼を4社に送った。
問い合わせ同日に返答があったのは、T社。

テレビCMでも、♪「ピアノ売ってちょ~だい」と、独特なコミカルさが好きだったが、ここが迅速であった。
翌日、翌々日にかけ他2社から返答があり、残り1社は返答すらなかった。

物の売買には、何でも見積りを複数とるのが大事だが、結果としてはT社が最も高かった。
ピアノの型番や購入年月、程度など、同じ情報を提供しているのだが、他2社の倍の見積り額であった。具体的な金額は申しかねるが…

購入から24年経って、これほどの高い金額で引き取ってもらえるなら、大事に使ったピアノも報われる想いがした。

両親宅も複雑な造りになっており、ピアノがあった部屋はメゾネット部分の2階。
作業員が6名も来ていただき、人力で1フロア分を降ろしてくださった。

その大変さは、圧巻かつ敬服のプロの仕事であった。

このピアノ搬出によって、先日の乗務日誌に綴った「形」をつくる第一歩を踏み出した。
まだまだ、先は長いが、一歩一歩を着実に踏んでゆこうと思う。
 

五十知命...道半ば

カテゴリー:④番線:日々雑感方面 2021年2月19日 05:15

本日、53歳の誕生日を迎えた。

また、ひとつ歳を積み上げた喜びとともに、この歳、この一年をどう過ごそうか…と考える。
幾度か、この乗務日誌にも綴ってきたが、誰にも共通の「新年」である年明けも心地良いものだが、車掌長は自身の「新歳」の方が、緊張感を伴いつつもワクワクさせられる。

緊張感とは、来年は「54」という歳を迎えられますように…という意味合いである。

コロナ禍という状況にはあるが、どんな時代も、困難さは付きもの…
それは、ひとりひとりの人生においても、同じことのように思える。

時代のせいにも、誰かのせいにもできるものではないし、したところで自分が惨めなだけだ。
せめて、心持ちだけでも、明るく、前向きにもっていたい…と自身には言い聞かせる。

「五十知命」という偉人の言葉がある。
「五十にして天命を知る」という、孔子が我が人生を振り返った際に遺したものだ。

車掌長は五十という齢(よわい)を意識し始めた頃から、都度、頭の中にある言葉だ。
故事に出逢ったり、知っていると、先人の貴重な経験則を活かせるので有難い限り…

さて、車掌長における「五十知命」…
それは、自身の中で気づいているし、取り組んでいるが、道半ばである。

今歳はそれを「形」にしてみたいと思う。

コロナ禍を前向きに、かつ、「一度きりの人生」を、日々悔いなく過ごすための糧となるように…
 

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