快適な旅のために

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2013年7月 7日 05:49

梅雨も明け、もうすぐ夏休み。
お子さんのいるご家庭では、家族旅行を計画中の方も沢山おられることだろう。

先日、今夏の旅行動向をJTBが発表し、国内旅行人気が近年になく過熱しているそうだ。
中でも富士山の世界遺産登録をはじめ、開業1年が経過した東京スカイツリーや定番のディズニーリゾートを擁する関東近郊への人気が高いという。

今朝の新聞では、そんな子供連れの旅を少しでも快適に過ごす工夫を伝授する記事があった。
特に利用の多い新幹線や飛行機のことが記事の中心であったが、「ぐずり」への備えや車両設備の特徴を親切に書いてあったと思う。

東海道新幹線を例にすると、長い16両編成の中に多目的室や多目的トイレを備えた車両がある。
子連れの方々には、つとに知られている知識だが「11号車」が指名買いだ。
中でも、すぐに通路に出られて隣に他の方が座る可能性が低い「C席」が狙い目。

今年は専務車掌の御父上が亡くなられ、車掌見習も既に新幹線に5回(片道ベース)乗っているが、専務車掌もみどりの窓口で慣れた口調でその席の切符を買っている。

あいにく、車掌長はまだ一度も車掌見習と新幹線に乗ったことがないが、見送りや出迎えに行くと、11号車は子連れが多くお互いに安堵感があるという。

しかしながら、そんな事情を知らずに乗るお客もいる。
特に車内で仕事などしたいと思っていたビジネスマンには、「何だこの車両は?」というハメに陥るかもしれない。

ところで、子連れに限らず自由席に乗車する方には、ぜひ頭に入れておいた方が良い知識がある。
それは、東海道新幹線であれば「偶数号車」が狙い目であること。
何故ならば、時刻表の「おもな車両の席番ご案内」というページを開くと、「化粧室は奇数号車の東京寄りにあります」というのがヒントだ。

つまり、奇数号車には化粧室設備のため座席数がそもそも少ないことがわかる。
具体的には、奇数号車は17列であるのに対し、偶数号車は20列。
1列が5席であるから、計15席分の座れる可能性が高まることになる。

ちなみに「のぞみ」であれば2号車、「ひかり」なら2,4号車だ。
ホームの自由席の列の状況を見て、同じような長さであればこの知識は役に立つと思う。

何はともあれ、夏のご旅行を快適にするためには、事前の調べや準備が大切であることは言うまでもない。
 

クルーズトレイン

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2013年6月 7日 05:29

先日、JR東日本が豪華寝台列車を新造するとの発表を新聞で知った。
3年後の2016年春、東日本エリアを皮切りに営業運転を開始するそうだ。

今秋デビューするJR九州の「ななつ星in九州」の二番煎じは否めないが、車両の外観や内装を手掛けるデザイナーも異なるし、将来的には自社エリアに限らない運行を予定している点は評価したい。

ちなみにデザイナーは奥山清行氏。
カーデザイナーとして有名な御方だが、どんな車両になるのか楽しみだ。

そもそも、日本ほど世界に誇れる観光資源や四季折々の美しさを堪能できる「箱庭的な国」は希少であるのに、江戸時代のような自藩事情に囚われて世界にアピールできない点はもったいない。
本気で観光立国を目指すなら、「オールJR体制」で運行するくらいの気概が必要だろう。

また、この新造列車は10両編成で架線からの電力以外に、ディーゼル発電機による自家発電でも走行できるシステムを国内で初めて採用するという。

これは風光明媚だが、非電化のローカル線を走れることを意味する。
この走行システムこそ「ハイブリッド」だと言える。

路線の保安システムや路盤の強度の点で、どんなローカル線まで入れるのかわからないが、とても魅力的だ。

しかしながら、「クルーズトレイン」と名乗るのであれば、そもそも本家である"クルーズ客船"に倣うのも一興であろう。
つまり、寄港地の沖合でテンダーボートに乗り換えて、大型船が直接接岸できない魅力的なスポットを訪れるように、ローカル線との分岐駅で実際に走る魅力的なローカル線に乗り換えるということだ。

これは、"盲腸線"と呼ばれる行き止まりの路線でなければ、ローカル線の旅を終える駅まで回送し、乗客を待ち受けるという、鉄道ならではの技も活かせる。

豪華な車両も贅沢さを味わえて良いかもしれない。
しかしながら、「本当の豊かさ」とはテレビCMではないが、"プライスレス"なところに存在するのだと、車掌長は考える。

つまり、どのような「心の満たし」を得られるか…ということだ。
高額な料金設定をして、その価格に見合った納得感を演出をするために、いかにもお金がかかっている見栄えにこだわったり、コテコテの人的サービスをアピールしたり提供するのは、時代遅れだと思う。

一言で表現すれば、「さりげない癒し」。

そのクルーズが、その人の人生にどんな喜びや発見、出逢いをもたらすのか…
JR東日本の企画力に期待したい。

余談ではあるが、このクルーズトレインにしても、ななつ星にしても、時刻表上にそのダイヤを掲載されたら素晴らしいなと思う。

定期列車でも臨時列車でもないので難しいかもしれないが、時刻表愛読家としては、今後このような列車の需要が増えることを想定し、誌面上でも机上旅行が味わえたら…と考えてしまう。
 

コメント(2件)

たくちゃんさんからのコメント(2013年6月10日 05:41投稿)

ずいぶんお久しぶりなたくちゃんでございますよ。
本日も満員電車でGOでございます。
で、出勤前に。

奥山清行さんですか。
車掌長はご存知でしたか?
彼はワタクシの車のデザイナーでもあることを…。

いや、実に楽しみです。

車掌長さんからのコメント(2013年6月12日 19:29投稿)

たくちゃん 様

毎度ご乗車ありがとうございます。

ただいま茨城県内陸部の或る町で短期滞在しておりまして、お返事が遅くなりました。

目の錯覚か、その町に向かう途中、筑波山がハワイのダイヤモンドヘッドに見えるような地域です。

さて、もちろんながら奥山氏がたくちゃんさんの愛車のデザイナーであること、存じておりましたヨ。
(正確に申し上げますと、いつでしたかたくちゃんさんにお聞きしたことがあります。)

その奥山氏が手掛ける鉄道車両というのも、大変興味深いですネ。
ぜひ、そのクルーズトレインは時間を忘れさせるような魅力的な列車であることを期待します。

個人的には、携帯やスマホetcの電子通信機器は持ち込み禁止くらいの拘(こだわ)りがあっても良いと思います。

これからの時代、そんな時間を所有できる人が本当に豊かなんだと感じます。

たくちゃんさんの方も、お忙しいこととお察しいたします。
またぜひ、そちらのお話も聞かせてくださいませ。

2件のコメントがあります → まだまだコメントお待ちしてます!

鉄道落語

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2013年3月27日 19:53

先日、哲×鉄をご愛読いただいているM美大さん(仮称)から、1冊の新書をいただいた。
先週末、東京で桜が満開となった折、突然お誘いした目黒川お花見クルーズでのことだった。

M美大さんは、これにハマってしまったので、ぜひ車掌長にも!とオススメいただいた。
そして、車掌長も見事にそのツボにハマってしまった。

その新書とは、交通新聞社から出された「鉄道落語~東西の噺家4人によるニューウェーブ宣言」なる本。
4人の噺家が、渾身の鉄道ネタ満載の落語を誌上で炸裂!
ついつい、その場面を自分と重ねたり、共感したり…の連続であった。

車掌長は、1両目(トップバッター)の「鉄道戦国絵巻」で早くもノックアウトされて割腹絶倒となった。
しかも、所用で移動中の地下鉄内で読んでいたのだが、夢中になり過ぎて2つ駅を乗り越してしまう有様…

前回の乗務日誌で綴った「行動のアドバンス」のおかげで、アポイントには間に合ったが、想定外の失態に少々焦ってしまった。

他にも「都電物語」や「鉄の男」、「鉄道スナック」、「鉄道親子」も笑わせていただいた。

読了し、鉄道が落語のネタになるのも頷いた。
それは、鉄道がオタクやマニアに限らず、ごく普通の人々の日々の生活と密接に関わっていたり、人生のあらゆる場面に浸透していたり、時には脇役として心憎い演出をしているのだと感じた。

全国に鉄道ファンは、およそ200万人と言われる。
だが、一言で「鉄道ファン」と言っても、その生態系は様々だ。
撮り鉄、乗り鉄、模型鉄、音鉄、時刻表鉄、子鉄、ママ鉄…etc
ちなみに車掌長は乗り鉄&時刻表鉄の世界に生息。

本来、どの「鉄」であっても暗さは否めないが、人に迷惑をかけるような存在ではなかったはず。
しかしながら、昨今は特に「撮り鉄」のマナーが悪いと聞き、残念でならない。
人一倍、鉄道事業者とは紳士的な関係を保たなければ、歓迎されるようなお客にはなれない。

くれぐれも警察にお世話になるような「捕り鉄」にはならないよう、願うばかりだ。

(追伸)
この場を借りて、落語の新たなジャンルを教えていただいたM美大さんに感謝いたします。
ありがとうございました。

今度はぜひ、大阪の繁昌亭に一緒に行ってみましょう。
 

ありがとう新幹線200系

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2013年3月15日 05:48

毎春実施されるJRのダイヤ改正。
今回は東北新幹線「はやぶさ」の320㎞/h営業運転開始や、秋田新幹線に「スーパーこまち」デビューなど、華々しいトピックスが注目される。

一方、「昭和の顔」がまた一つ消える寂しさもある。
上越新幹線で活躍していた200系の引退だ。

1982年6月の東北新幹線開通(大宮~盛岡)、同年11月の上越新幹線開通(大宮~新潟)から、30年余の功労であった。

初代東海道新幹線0系譲りの「丸目」「丸鼻」「丸顔」は、車掌長世代にとっては「新幹線といえばこの顔」と言い切れる美顔の象徴だ。

余談だが、車の丸顔も最近は見られなくなってきた。
乗り物の丸顔は不思議と心が和む気がする。
つりあがった目のようなライトやシャープなデザインは、スマートかもしれないが、人懐っこさや人間味がないように思う。

車も人と同様、長年大切に愛したり、使い続けられるような愛嬌があっても良いと感じる。

話を戻そう。
200系車両は、0系で培った技術や装置を駆使し、特に雪国対策を施した床下を覆うカバーは、エアロパーツの趣きであった。
相当の降雪でも時間通り運行される新幹線は、雪国、北国の方々にとっては、頼もしい存在だったに違いない。

車掌長が200系で想い出深いのは、車内放送で各駅到着前に流れた「ふるさとチャイム」だ。
これは開業当初から、1991年の東京駅延伸直前まで使用されていた。

各駅にちなんだ民謡やゆかりの曲が用いられ、東海道新幹線にはない「旅情」を満喫できた。
帰省客にとっては、故郷に帰ってきたことを実感できる瞬間でもあったことだろう。

車掌長は高校生の時に、全駅のふるさとチャイムを収めたカセットテープを買った。
もちろん、今でも聴けるように保存している。
たまにこのテープを聴くと、新幹線にも「旅情」や「長閑さ」があった頃を懐かしむことができる。

今日をもって引退する200系車両に、心からその活躍を労うと共に感謝の意を表したい。
 

岳南鉄道&つけナポリタン

カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2013年2月27日 06:21

先日、温泉達人会としては異色的存在となる、高級旅館に泊まる分会に参加し伊豆を訪れた。

その帰りがてら、皆とは伊豆高原で別れ、一人のんびり「鉄分」補給。
熱海で帰路とは逆となる、東海道本線を西へ乗り換え寄り道した。
目的は…
①かねてより興味のあった、富士市のB級グルメ「つけナポリタン」を食してみたかった。
②岳南鉄道の応援乗車

お目当てのB級グルメは、元祖つけナポリタンを称する「喫茶アドニス」で初対面した。
吉原本町駅から雁木状の屋根がガラスで明るい印象の商店街を歩き、10分ほどで到着。

店内は東京ではなかなか見られなくなった「コーヒーショップ」の雰囲気に、昭和心がくすぐられた。
しばらく待って出てきた「つけナポリタン」は、チーズ入りのスープがよく絡むちじれた太い麺。
なるほど、今までにない食感と食べ方に、B級グルメならではの新鮮味を覚えた。

駅への帰り道は、商店街を散策。
一昔前は相当な賑わいだったことを随所に感じた。
しかしながら、今も1軒1軒に魅力的なあじわいがあることも感じ取れた。
そんなことを楽しみながら、江戸時代の吉原宿から営んでいるという「鯛屋旅館」内の資料館を訪れた。

そこで素敵な御方に出会い、短い時間だったが色々と吉原の説明をしていただいた。
この御方はMさん。
つけナポリタン大志館の外交官であり、岳南鉄道のサポーターズクラブも運営されているとのこと。
この日は時間がなくて、ゆっくりお話ができなかったが、ぜひ再訪したいと思った。

岳南鉄道は昨年、JR貨物の合理化のため、主力であった貨物輸送を終えた。
沿線の地場産業である製紙工場の輸送を長い間担い、魅力的な電気機関車が活躍していただけに残念であった。

10キロ足らずの鉄道に10駅があり、1両きりの電車が行ったり来たり…
沿線は「工場萌え」にも魅力的な風景が広がっている。

車掌長と同年代以上の「鉄」の方ならイメージが湧くと思うが、国鉄時代の清水港線に似た旅情がある。
走るロケーションや運転本数は違うが、短い営業距離の中にも鉄道の旅の魅力が凝縮されていることは共通だ。

また、吉原駅を出て右へ大きな弧を描き、富士山へ一直線に向かうあたりは絶景!
ぜひ前方運転台右側の席を陣取り、堪能したいオススメの眺めだ。

こんな電車でのんびり気ままに揺られる時間こそ、今やとても価値のある「贅沢な時間」だとつくづく感じた。

ささやかながら、岳南鉄道を応援し続けたい。
 

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